夏休みのキャンプ
契約期間も残り二週間。
「せっかくだから、夏休みらしい思い出を作ろう!」
さくらの提案で、四人は一泊二日のキャンプへ出かけることになった。
山のふもとにあるキャンプ場。
テントを張ることになったが——。
「説明書が難しい……。」
悠真が頭を抱える。
「貸して!」
美咲が手伝うが、骨組みが逆になってしまった。
その様子を見ていたひまりはため息をつく。
「……違う。」
ひまりは慣れた手つきでポールを組み立て、あっという間に立派なテントを完成させた。
「すごい!」
「子どもの頃、お父さんに教えてもらったから。」
そう言って微笑むひまりを見て、悠真は少し意外そうな表情を浮かべた。
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夕方。
四人でカレーを作ることに。
「お兄ちゃん、野菜切って!」
「任せろ!」
しかし、じゃがいもの皮を厚くむきすぎてしまい、さくらに笑われる。
「もう、お兄ちゃんったら!」
「料理は苦手なんだよ。」
「じゃあ私がやる。」
ひまりが包丁を持つと、野菜は次々ときれいな大きさに切りそろえられていく。
「ひまりって、料理も上手なんだな。」
「……普通。」
そう言いながらも、少しうれしそうだった。
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夜。
満天の星空の下で四人は焚き火を囲んだ。
パチパチと薪が燃える音だけが静かに響く。
さくらが口を開いた。
「みんな、十年後は何をしてると思う?」
美咲は笑顔で答える。
「私は保育士かな!」
悠真は少し考えてから言った。
「誰かの役に立てる仕事をしていたい。」
そして、ひまりは夜空を見上げながら静かに答えた。
「……私は。」
「大切な人と笑って暮らせたら、それでいい。」
その言葉に、悠真は思わずひまりの横顔を見つめた。
ひまりは気づくと、照れ隠しに焚き火へ視線を戻した。
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その夜遅く。
みんなが眠ったあと、さくらは一人で外へ出た。
そこには、黒いスーツ姿の女性が待っていた。
「朝比奈さくらさん。」
「最終選択の日程が決まりました。」
「契約終了まで、あと七日です。」
さくらは静かにうなずく。
「……わかりました。」
女性は最後に一言だけ告げた。
「対象者が選べるのは、一人だけです。」
その言葉に、さくらの表情が曇る。
(悠真くんが選ぶのは……私? それとも、ひまり?)
夏の夜風が、静かに木々を揺らしていた。




