表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
72/120

未接続の星から来た少女

銀河中央の大交流会から三日後。


悠真たちは、いよいよ「未接続の星」について調べていた。


「星の名前はありません。」


ミナが報告する。


「通信もありません。」


カナも首をかしげる。


「でも、観測データを見ると、どうやら大気は存在するみたいです。」


あかりが言う。


「じゃあ、誰か住んでいる可能性もある?」


「あります。」


---


その時だった。


ピコン。


銀河中央の通信装置が突然反応した。


「え?」


ひかるが画面を見る。


「未接続の星から?」


しかし、通信内容は今までとは違っていた。


『こちらへ来ないでください。』


一同が凍りつく。


続けて、もう一つのメッセージ。


『私たちは、あなたたちと関わる準備ができていません。』


悠真はすぐに答えた。


「分かりました。」


「無理に交流するつもりはありません。」


すると、しばらく沈黙が続いた。


---


その日の夜。


銀河中央の入口に、誰かが立っていた。


あかりが気づく。


「あれ……誰?」


黒いマントのような服を着た、小柄な少女だった。


少女は周囲を警戒しながら、ゆっくり歩いてくる。


「あなたが……悠真?」


「そうだけど。」


少女は少し迷ってから言った。


「私は、リラ。」


「未接続の星から来ました。」


---


全員が驚く。


「どうやってここまで?」


リラは答える。


「昔の航路を知っているから。」


「でも、あなたの星は通信を拒否していたんじゃ?」


「……はい。」


リラはうつむいた。


「私たちの星では、昔、外から来た人たちと大きな問題が起きたんです。」


それ以来、星の人々は外部との交流を避けてきた。


「だから、誰も来てほしくない。」


「そう言われています。」


---


あかりが尋ねる。


「じゃあ、どうしてあなたは来たの?」


リラはしばらく黙っていた。


そして、小さな声で答える。


「……友達がほしいから。」


その言葉に、誰も笑わなかった。


---


リラは、ずっと一人で悩んでいた。


外の星々には、たくさんの「みんなの家」がある。


地球。


月。


アステリア。


ネオラ。


銀河中央。


どこにも、仲間と交流できる場所がある。


でも、リラの星にはない。


「私も、誰かと話してみたかった。」


「でも……勝手に交流したら、みんなに怒られる。」


悠真は少し考えてから言った。


「じゃあ、今日は交流会をしなくてもいいよ。」


リラが驚く。


「え?」


「ここにいて、見ているだけでもいい。」


あかりも笑う。


「話したくなったら話せばいいし、帰りたくなったら帰ってもいい。」


「無理に姉妹になる必要もない。」


「仲良くする必要だってない。」


リラは目を丸くした。


「……そんなことをしてもいいの?」


「もちろん。」


---


その日、リラは銀河中央の「みんなの家」を見て回った。


月面基地の模型。


アステリアの大きな木。


ネオラの星の光。


地球の写真。


たくさんの星から集まった記念品。


そして、昔の「最後の姉妹レンタル」の記録。


リラは、それをじっと見ていた。


「失敗したことも、記録に残しているんだ。」


悠真が答える。


「うん。」


「失敗したことを隠すより、次に同じことをしないために残しておくんだ。」


リラは小さく笑った。


「……変なの。」


---


しばらくして。


リラが、展示室にあった地球の写真を指差した。


「これ、何?」


「桜だよ。」


「桜?」


あかりが説明する。


「春になると、花がいっぱい咲くんだ。」


リラは興味津々。


「見てみたい。」


「じゃあ、写真を送ろうか?」


「……うん。」


リラが初めて笑った。


---


翌朝。


リラは帰ることになった。


「ありがとう。」


「こちらこそ。」


リラは出口で振り返る。


「また来てもいい?」


悠真が笑う。


「いつでも。」


---


リラが帰った直後。


未接続の星から通信が入った。


『リラが戻りました。』


全員が画面を見る。


続いて、メッセージ。


『あなたたちは、リラを無理に引き止めませんでした。』


『それが、私たちには不思議でした。』


さらに――。


『もう少しだけ、話を聞かせてください。』


あかりが嬉しそうに笑う。


「一歩進んだね。」


悠真も頷く。


「うん。」


未接続だった星と、初めて正式な通信がつながった。


まだ「みんなの家」はできていない。


でも――。


その星にも、小さな扉が開き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ