最後の姉妹レンタル
「最後の姉妹レンタルが失敗した……。」
悠真たちは、古い施設のホログラムを見つめていた。
銀河中央にあるという「みんなの家」。
そこでは、かつて銀河中の星々から人々が集まり、交流をしていたらしい。
しかし、ある日を境に閉鎖された。
その原因が――。
最後の姉妹レンタル。
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「もっと記録を探してみよう。」
ミナが施設のデータベースを調べる。
すると、数百年前の記録が見つかった。
タイトルは、
『銀河大交流祭・最終日』
そこには、たくさんの星から集まった人々が映っていた。
みんな笑顔だ。
地球の「みんなの家」と、よく似ている。
しかし最後の部分だけ、映像が途切れていた。
「ここから先が見られない……。」
ルナが困った顔をする。
その時、ネオラのトルが声を上げた。
「待ってください!」
「映像ではなく、音声データが残っています。」
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音声を再生する。
最初は楽しそうな声。
しかし、途中から少しずつ雰囲気が変わっていく。
『どうして、私の気持ちを分かってくれないの?』
『あなたたちとは、もう一緒にできない!』
そこで音声が途切れる。
あかりが言う。
「けんか……?」
悠真がうなずく。
「たぶん。」
つまり、最後の姉妹レンタルは――。
仲良くなるどころか、参加者同士が大きく対立してしまったのだ。
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「じゃあ、どうして銀河中央の施設まで閉鎖したんだろう?」
ひかるが疑問を口にする。
ミナが答える。
「それは、まだ分かりません。」
さらに記録を探す。
すると、最後の記録が見つかった。
そこには、当時の責任者が残した言葉があった。
『姉妹レンタルは、誰かを無理に仲良くさせる制度ではない。』
『相手を理解しようとする気持ちがなければ、どれだけ同じ場所にいても意味がない。』
『私はそのことを忘れていた。』
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悠真はしばらく黙っていた。
やがて言う。
「なるほど。」
「姉妹レンタルが失敗したのは、仲良くなれなかったからじゃない。」
「仲良くなることを、無理に求めてしまったからなんだ。」
あかりも頷く。
「今まで私たちがやってきたことと、逆だね。」
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すると、古い施設の奥から新しい扉が開いた。
ウィーン……。
扉の向こうには、一つの部屋。
中央に、小さな箱が置かれていた。
箱には、
『未来の姉妹レンタルへ』
と書かれている。
ルナが慎重に箱を開ける。
中に入っていたのは、一枚のカードだった。
そこには――。
『姉妹になれなくてもいい。』
『仲間になれなくてもいい。』
『ただ、相手を知ろうとした時間だけは、無駄にならない。』
全員が静かにカードを読む。
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あかりが笑った。
「これ、今の私たちにも必要な言葉だね。」
悠真も頷く。
「うん。」
そして、銀河中央の施設についての新しい記録が表示された。
『施設閉鎖の解除条件』
その条件は一つだけだった。
『もう一度、誰かと誰かが出会うこと。』
「え?」
ひかるが驚く。
どうやら施設は、完全に壊れていたわけではない。
ずっと誰かが再び交流を始めるのを待っていたのだ。
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悠真は通信を開いた。
地球。
月。
アステリア。
ネオラ。
すべての「みんなの家」をつなぐ。
「じゃあ、もう一度やってみよう。」
「今度は『姉妹』になることを目的にしない。」
「ただ、初めて会う人同士が話してみる。」
世界中から賛成の声が届く。
そして銀河中央の施設でも、最初の光が灯った。
ポッ。
次に――。
ポッ。
そして、施設全体がゆっくりと明るくなっていく。
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その瞬間。
銀河中央の巨大な扉が開いた。
その向こうには、銀河中から集まった無数の通信が表示されている。
何千。
何万。
いや――。
もっとたくさん。
あかりが息をのむ。
「こんなにたくさんの星が……。」
悠真が笑う。
「まだ、誰ともつながっていない星もいっぱいあるんだ。」
その時、施設から新しいメッセージが表示された。
『銀河中央・みんなの家――再開。』
続いて――。
『新しい参加者を待っています。』
世界中の「みんなの家」から歓声が上がった。
長い間閉ざされていた場所が、再び開いたのだ。
そして悠真たちは、銀河中央で最初の交流会を開くことを決めた。
ただし今回は――。
「姉妹」になることを目標にしない。
初めて会った人たちが、ただ一緒に過ごす。
それだけの交流会。
それが、銀河中央の新しい第一歩になる。




