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アステリアの灯り

「助けてください。」


アステリアのルナから届いた緊急通信。


世界ネットワークの画面には、アステリアの都市が映っていた。


いつもなら中央の大きな木の周りに光が灯っている。


しかし今は――。


真っ暗だった。


あかりが心配そうに尋ねる。


「何が起きたの?」


ルナが答える。


「『みんなの輪』の中心にある通信装置が止まってしまったんです。」


「それだけなら修理できないの?」


「問題は、原因が分からないことです。」


---


地球側から技術チームが調査を始める。


月面基地からもカナたちが参加。


エマの島の通信塔も中継地点として使われる。


世界中の「みんなの家」が、一つの調査チームになった。


リンがデータを確認する。


「通信そのものは生きています。」


ルカが続ける。


「電力も完全には止まっていません。」


サミが首をかしげる。


「じゃあ、どうして動かないんだ?」


しばらく調べたあと、ミナが一つの異常を発見した。


「このデータ……。」


「何?」


「誰かが停止させた記録がありません。」


全員が黙る。


つまり、故障でも操作ミスでもない。


---


ルナが「みんなの輪」の中心へ向かう。


そこには巨大な木がある。


木の根元には、丸い装置が埋め込まれていた。


ルナが手を触れる。


すると、ほんの一瞬だけ光る。


「反応しました!」


悠真が画面越しに叫ぶ。


「その装置、何かを待っているのかもしれない。」


---


そこで、アステリアの古い記録を調べることになった。


ルナが図書館へ向かう。


古い本を探していると、一冊の記録が見つかった。


タイトルは――。


『最初の輪』


そこには、こんな記録があった。


『みんなの輪は、一人の力では動かない。』


『誰かが困った時、別の誰かが手を差し伸べることで、灯りが生まれる。』


ルナが驚く。


「これって……。」


悠真が答える。


「『みんなの輪』は、ただの機械じゃないんだ。」


---


その時。


世界中の「みんなの家」に連絡が入った。


『アステリアのために、何か一つ送ってください。』


何を送るのかは自由。


写真。


言葉。


絵。


音楽。


思い出。


世界中から次々とデータが送られる。


日本からは、みんなの家の写真。


台湾からは、十人姉妹チームの集合写真。


エマの島からは、通信塔の映像。


北の村からは、オーロラ。


月面基地からは、地球の映像。


---


アステリアにも、少しずつ届き始める。


ルナが受け取った写真を見る。


「これは……地球?」


「そう。」


カナが答える。


「月から見た地球だよ。」


ルナは微笑む。


「きれい……。」


---


そして、アステリアの人々も地球へ何かを返した。


子どもが描いた絵。


町の風景。


家族で作った料理。


「みんなの輪」で行われていた祭りの音楽。


一つ。


また一つ。


世界中から思いが集まる。


すると――。


ポッ。


中央の木に、小さな光が灯った。


「ついた!」


ルナが叫ぶ。


さらにもう一つ。


ポッ。


そしてまた一つ。


世界中から送られた思いが届くたびに、光が増えていく。


やがて――。


大きな木全体が、柔らかな光に包まれた。


---


アステリアの「みんなの輪」が復活した。


しかし、装置を直したわけではない。


世界中から届いた「つながり」が、再び灯りをともしたのだ。


ルナは涙を浮かべながら笑う。


「ありがとう。」


悠真は答える。


「こちらこそ。」


「これで、アステリアも本当の意味で仲間になったね。」


---


その夜。


アステリアの空には、いつもより明るい二つの月が浮かんでいた。


大きな木の下には、地球から届いた写真が飾られている。


そして中央には、新しいプレート。


『ここは、遠く離れた仲間とつながる場所。』


---


ところが翌朝。


世界ネットワークの画面に、またしても異常が表示された。


今度はアステリアではない。


さらに遠く。


地球から見ても、アステリアから見ても未知の方向。


そこに、巨大な光が一つ現れた。


ルナが画面を見る。


「これは……私たちも知らない星です。」


悠真が驚く。


「アステリアより、さらに遠く?」


画面に新しいメッセージが表示される。


『アステリアへ。』


『地球へ。』


『月へ。』


そして――。


『私たちも、仲間になりたい。』


宇宙のさらに遠くから、新たな声が届いた。


「姉妹レンタル」の輪は、まだまだ広がっていく。

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