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月面の姉妹レンタル

月面基地との通信が始まった。


スクリーンに映っているのは、灰色の月面。


その向こうに、真っ黒な宇宙と青い地球が浮かんでいる。


「わあ……。」


あかりが思わず声を漏らす。


「本当に月から見えてるんだ。」


画面の向こうでは、カナたち月面基地のクルーが手を振っている。


「地球のみんな、聞こえています!」


悠真も手を振る。


「こちらも聞こえています!」


---


今回のイベントには、世界中の「みんなの家」が参加していた。


台湾。


イタリア。


アフリカ。


南米。


エマの島。


北の村。


そして日本。


世界中の画面が一つにつながる。


カナが笑う。


「こんなにたくさんの人と話せるなんて、すごいですね。」


リンが答える。


「こちらこそ、月の生活を聞いてみたいです!」


すると大地が画面に近づいた。


「月って、思ったより静かなんですよ。」


「それから――。」


ミナが笑う。


「地球がとてもきれいです。」


---


最初の企画は、自己紹介。


世界各地から一人ずつ、自分の好きなものを紹介する。


台湾からは料理。


イタリアからは音楽。


アフリカからは伝統的な遊び。


南米からは手作りの工芸品。


北の村からは、オーロラの写真。


そして月面基地からは――。


「これです。」


カナが小さな写真を見せる。


そこには、地球の写真。


青い星が、月の地平線の上に浮かんでいる。


世界中から、


「きれい!」


という声が上がった。


---


次は、姉妹レンタル恒例のゲーム。


しかし今回は、地球と月で別々のチームになる。


「月チーム、準備はいい?」


「もちろん!」


「地球チームも?」


「はい!」


画面越しにクイズが始まる。


最初の問題は――。


『世界で一番大切なものは何でしょう?』


答えは決まっていない。


そこで、それぞれが答える。


「友達!」


「家族!」


「仲間!」


「笑顔!」


月面基地のミナは少し考えてから答えた。


「帰る場所。」


画面が静かになる。


そして、あかりが笑った。


「それ、すごくいい答えだね。」


---


イベントの最後。


悠真がマイクを持った。


「今日は、月と地球が一緒に姉妹レンタルをしました。」


「距離は遠いけど、話すことはできる。」


「笑うこともできる。」


「一緒に時間を過ごすこともできる。」


「だから――。」


悠真は画面の向こうを見る。


「月面基地も、今日から『みんなの家』の仲間です。」


カナたちが拍手する。


そして月面基地の壁に、新しいプレートが取り付けられた。


『みんなの家・月面基地』


---


通信終了の時間。


「また話しましょう!」


「次はもっと大きなイベントにしよう!」


「地球のみんな、元気で!」


最後にカナが手を振る。


「おやすみなさい!」


通信が切れる。


画面が暗くなる。


しかし、世界ネットワークの地図には新しい光が残っていた。


月面基地――接続完了。


あかりが嬉しそうに笑う。


「地球の外にも、みんなの家ができたね。」


ひかるも頷く。


「次はどこかな?」


悠真は冗談めかして答える。


「さすがに次は宇宙人……とか?」


その瞬間。


ピコン。


世界ネットワークに新しい通信が入った。


全員が固まる。


画面には、これまで見たことのない記号。


そして自動翻訳された文章が表示された。


『地球のみなさんへ。』


『あなたたちの「姉妹レンタル」を観測しました。』


『私たちも、仲間になれますか?』


あかりが目を丸くする。


「……宇宙人?」


ひかるが画面を指差す。


「まさか……。」


悠真は、しばらく画面を見つめていた。


そして――。


「まずは、話してみよう。」


世界ネットワークの光は、ついに地球と月を越えた。


未知の存在との交流。


新しい「姉妹レンタル」の物語が、始まろうとしていた。

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