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初対面の三姉妹

「三人とも、一度も会ったことがない……?」


悠真たちは依頼書を囲んでいた。


三人の名前は――


長女・あおい


次女・千夏ちなつ


三女・美玲みれい


三人とも同じ日に生まれたわけでも、同じ学校に通っているわけでもない。


住んでいる場所もバラバラだった。


それなのに、なぜ「三姉妹」として依頼されたのか。


理事長にも詳しいことは分からなかった。


「依頼主は、三人のおばあさんです。」


「三人を一度会わせたい、と。」


---


最初に到着したのは長女の葵。


落ち着いた性格で、料理が得意だった。


「こんにちは。」


続いて千夏。


活発で、何でも挑戦したがるタイプ。


「よろしくお願いします!」


最後に美玲。


静かで、本を読むのが好きだった。


「……よろしく。」


三人が同じ部屋に集まる。


しかし――。


「……。」


「……。」


「……。」


誰も話さない。


あかりが小声で言う。


「すごく静か……。」


ひかるも苦笑する。


「初対面だから仕方ないよ。」


---


最初の活動は、三人で昼食を作ること。


葵が料理を担当しようとすると、千夏が手を挙げた。


「私も料理できます!」


美玲も小さく手を挙げる。


「私も……少しなら。」


三人とも自分のやり方がある。


結果――。


「私はこっちを切るね。」


「じゃあ私はこっち。」


「私は……これをやる。」


誰も相手に任せようとしない。


厨房は、まるで小さな作戦会議になった。


---


ところが、料理を始めてしばらくすると問題が起きた。


「調味料、どこ?」


千夏が探す。


「棚の上じゃない?」


葵が答える。


「違う。こっち。」


美玲が見つける。


「……あった。」


千夏が笑う。


「美玲ちゃん、すごい!」


「え?」


美玲は驚いた顔をする。


「よく見てるんだね。」


「……本が好きだから、細かいところを見るのが得意なの。」


少しずつ会話が増えていく。


---


昼食が完成すると、三人でテーブルを囲んだ。


千夏が一口食べる。


「おいしい!」


葵が笑う。


「三人で作ったからね。」


美玲も静かにうなずく。


「……一人で作るより楽しいかも。」


三人の間に、初めて自然な笑顔が生まれた。


---


午後。


今度は三人で「みんなの家」の庭に、小さな木を植えることになった。


葵が穴を掘る。


千夏が土を運ぶ。


美玲が木の周りを整える。


作業をしながら、少しずつ自分たちのことを話し始める。


「葵さんは、将来何をしたいの?」


千夏が聞く。


「料理に関係する仕事をしてみたい。」


「私はスポーツ関係!」


美玲が二人を見る。


「私は……図書館で働いてみたい。」


三人とも、それぞれ違う夢を持っていた。


でも、違うからこそ話は面白かった。


---


夕方。


植えた木の前に、小さなプレートを立てる。


そこには三人で名前を書いた。


『三姉妹の木』


千夏が笑う。


「本当の姉妹じゃないのに、三姉妹って変な感じ。」


葵が答える。


「でも、今日だけはそう呼んでもいいんじゃない?」


美玲も微笑んだ。


「うん。」


---


帰る時間。


三人はそれぞれの家へ帰らなければならない。


すると、千夏が突然言った。


「ねえ。」


「また会わない?」


葵が驚く。


「いいの?」


「もちろん!」


美玲もスマートフォンを取り出す。


「連絡先、交換しよう。」


三人は連絡先を交換した。


そして最後に、三人で写真を撮る。


パシャッ。


写真の中の三人は、もう初対面の表情ではなかった。


---


その夜。


世界ネットワークの記録に、新しいページが追加された。


『葵・千夏・美玲――初対面から始まった三姉妹。』


あかりが記録を見ながら笑う。


「最初はどうなるかと思ったけど、ちゃんと姉妹みたいになったね。」


ひかるも頷く。


「一日だけの予定だったのに、これからも会うことになったし。」


悠真は笑った。


「姉妹レンタルって、予定通りに終わらないことが多いな。」


その時、受付の電話が鳴った。


プルルル……。


理事長が電話を取る。


「はい、『みんなの家』です。」


しばらく聞いたあと、理事長の表情が変わった。


「……え?」


電話を切る。


悠真たちが振り向く。


「どうしたんですか?」


理事長は一枚の依頼書を持ってきた。


「今度は、四人です。」


「四姉妹のレンタル依頼です。」


あかりが目を丸くする。


「四人!?」


しかも依頼書には、さらに一文が書かれていた。


『四人のうち、一人だけが自分を姉妹だと思っていません。』


新しい姉妹レンタルは、ますます不思議な依頼になってきた。

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