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本当の姉妹じゃなくても

翌朝。


「みんなの家」の受付に、二人の少女がやってきた。


一人は背が高く、落ち着いた雰囲気。


もう一人は小柄で、少し緊張した様子だった。


「こんにちは。」


背の高い少女が頭を下げる。


「私、**りん**です。」


隣の少女も続ける。


「私は**花音かのん**です。」


あかりが笑顔で迎える。


「今日は姉妹レンタルのお申し込みですか?」


二人は顔を見合わせる。


「はい。」


凛が答えた。


「でも……私たちは、本当の姉妹ではありません。」


---


二人は同じ町に住んでいる友達だった。


学校も同じ。


趣味も似ている。


いつも一緒にいるので、町の人からは、


「本当の姉妹みたいだね」


と言われることが多かった。


ところが最近、花音の家族が遠くへ引っ越すことになった。


「離れてしまう前に、最後に一緒に何かをしたいんです。」


花音が話す。


「だから、姉妹レンタルに応募しました。」


---


理事長は少し考えてから言った。


「今回の目的は、『本当の姉妹になる』ことではありません。」


「二人が大切な友達として、最後の一日を一緒に過ごすことです。」


凛と花音はうなずいた。


「お願いします!」


---


二人が選んだ活動は、「みんなの家」の庭づくりだった。


古くなった花壇を整理して、新しい花を植える。


凛は計画を立てるのが得意。


花音は作業が得意。


最初は順調だった。


ところが――。


「こっちに植えたほうがいいよ。」


「でも、私はこっちがいいと思う。」


二人の意見がぶつかった。


「いつもそう!」


花音が言う。


凛も少しムッとする。


「花音だって、いつも急に決めるじゃん!」


二人は黙り込んでしまった。


---


その様子を見ていた美月と結衣が近づいてきた。


美月が言う。


「姉妹でも、意見が違うことはあるよ。」


結衣も笑う。


「むしろ、違うから一緒にできることもある。」


凛と花音は顔を見合わせる。


花音が小さく言った。


「……ごめん。」


凛も答える。


「私も。」


そして二人は、もう一度花壇を見る。


「じゃあ、半分ずつにしよう。」


「うん!」


---


夕方。


花壇はきれいに完成した。


色とりどりの花が並んでいる。


中央には、小さなプレートが立てられた。


『友だちの花壇』


花音が笑う。


「これなら、引っ越してからも思い出せるね。」


凛もうなずく。


「うん。」


---


帰る時間。


花音は少し寂しそうだった。


「明日から、今までみたいには会えないんだよね。」


凛は少し考えてから言った。


「でも、友達じゃなくなるわけじゃないよ。」


「離れていても、連絡できる。」


「いつか、また会える。」


花音が笑う。


「そうだね。」


---


その夜。


二人は正式に「姉妹レンタル」の記録を残した。


『凛&花音――友達として、姉妹のような一日を過ごしました。』


あかりはその記録を見ながら言った。


「姉妹って、血がつながっていることだけじゃないのかもしれないね。」


ひかるが笑う。


「大切に思う気持ちがあれば、いろんな形があるんだよ。」


その時、受付のベルが鳴った。


チリン。


新しい依頼が届く。


今度は――。


『三人で姉妹レンタルをしてほしい。』


悠真が目を丸くする。


「三人?」


画面には、三人分の名前が表示されていた。


長女・次女・三女。


しかし、三人には一つ大きな問題があった。


「三人とも、お互いに一度も会ったことがない。」


あかりとひかるが顔を見合わせる。


「これは……かなり変わった依頼だね。」


新しい三姉妹の物語が始まろうとしていた。

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