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最後の空白を探して

レオが見せてくれた古い地図。


そこには、世界中の「みんなの家」が細い線でつながれていた。


日本。


台湾。


イタリア。


アフリカ。


南米。


エマの島。


そしてレオの島。


しかし、地図の北側に一つだけ、何も描かれていない場所がある。


「ここは?」


悠真が尋ねる。


レオは静かに答えた。


「昔から、誰も正確な場所を知りません。」


「ただ、『北の光が見える場所』とだけ伝えられています。」


あかりが首をかしげる。


「北の光……?」


ひかるが地図を見る。


「もしかして、オーロラ?」


レオはうなずいた。


「そうかもしれません。」


---


その夜。


レオは古い本を持ってきた。


表紙には、


『世界のみんなの家・記録帳』


と書かれている。


ページをめくると、昔の活動記録が並んでいた。


その最後のページには、こんな文章が残されていた。


«『いつか世界中の「みんなの家」がつながった時、最後の家にも明かりを灯そう。』


『その場所は、北の光の下にある。』»


あかりが目を輝かせる。


「じゃあ、そこを見つければ……。」


悠真が続ける。


「世界ネットワークが、本当の意味で完成する。」


---


翌朝。


世界中の仲間たちに連絡を取った。


リンは古い航海記録を調べる。


ルカはヨーロッパの地図を確認する。


サミは過去の探検記録を調べる。


ルシアは南半球から見た星の位置を調べる。


エマは通信塔を使って、北へ向けて信号を送った。


そして――。


返事が届いた。


ピッ……。


画面に、一つの座標が表示される。


「見つかった!」


エマが叫ぶ。


しかし、表示された場所は現在の地図には載っていない。


レオが古い記録と照らし合わせる。


「ここです。」


「昔、『北の村』と呼ばれていた場所です。」


---


数日後。


悠真たちは新しい旅へ出発した。


今度は北へ。


海を越え、さらに北へ。


気温が下がるにつれて、景色も変わっていく。


「あ、雪!」


あかりが窓の外を見る。


ひかるは厚い上着を着ながら笑う。


「寒いけど、楽しみだね。」


やがて空が暗くなった。


そして夜。


遠くの空に、緑色の光が現れた。


「オーロラ……。」


全員が言葉を失う。


空いっぱいに広がる光は、ゆっくりと形を変えていた。


レオが地図を広げる。


「この方向です。」


---


雪原を進んでいくと、遠くに小さな建物が見えた。


屋根には雪が積もっている。


壁には古い看板。


悠真が近づく。


そこには――。


『みんなの家』


と書かれていた。


「あった……。」


しかし、建物は真っ暗だった。


扉を開けると、中には誰もいない。


机。


椅子。


本棚。


そして、壁には世界地図。


その地図には、世界中の「みんなの家」が描かれている。


最後の空白だった場所にも、すでに小さな星印がついていた。


「誰かがここにいたんだ。」


ひかるがつぶやく。


すると、机の上に一枚の手紙が置かれていることに気づいた。


悠真が手に取る。


そこには――。


『ここまで来てくれて、ありがとう。』


そして、その下にこう書かれていた。


『次は、あなたたちがこの家に明かりを灯してください。』


---


悠真たちは建物を掃除し、暖房を整え、本棚に新しい本を並べた。


あかりは壁に大きな世界地図を飾る。


ひかるは日本から持ってきた小さな飾りを入口に取り付けた。


レオは、最後の一枚のシールを世界地図に貼った。


日本から始まった光が、世界中を一周した。


そして――。


悠真がスイッチを入れる。


パッ。


建物の明かりが灯る。


窓から漏れる光が、雪原を照らす。


その瞬間、世界ネットワークの画面にメッセージが表示された。


『全拠点、接続完了。』


世界中から一斉に歓声が上がる。


あかりは涙ぐみながら笑った。


「本当に……全部つながったんだ。」


悠真も世界地図を見つめる。


「うん。」


しかし、その直後。


世界ネットワークの画面に、見たことのない文字が浮かび上がった。


『接続完了を確認しました。』


「……誰?」


画面には、さらに一行が表示される。


『次の扉を開いてください。』


世界地図の中央に、見たことのないマークが現れた。


それは――。


世界のどこにも存在しない場所を示す、不思議な扉のマークだった。


悠真たちは顔を見合わせる。


世界ネットワークの完成。


その先に待っていたのは、新たな謎だった。

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