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地図にない町

世界ネットワーク完成記念式典の翌朝。


悠真たちは、本部の会議室に集まっていた。


テーブルの上には、一枚の世界地図。


その中央に、赤い点が一つだけ表示されている。


しかし、その場所には国名も町の名前も記録されていない。


「このメッセージ、本当にここから届いたの?」


あかりが尋ねる。


理事長はうなずいた。


「間違いありません。」


「ただし、通信が非常に不安定です。」


ひかるが画面を見る。


そこには、短い文章だけが残っていた。


『ここにも、みんなの家が必要です。』


そして最後に――


『待っています。』


---


悠真はすぐに答えを出した。


「行きましょう。」


あかりが立ち上がる。


「うん!」


しかし、今回はこれまでの旅とは違った。


地図に正確な場所が載っていない。


現地の情報もほとんどない。


そこで、世界ネットワークの仲間たちに協力を求めることになった。


台湾のリンから現地の古い地図。


イタリアのルカから航路の情報。


南米のルシアから山道についての資料。


アフリカのサミから通信設備に詳しい人を紹介してもらう。


世界中から少しずつ情報が集まってくる。


---


数日後。


悠真たちは、ある小さな港町へ到着した。


そこから先は船でしか行けないという。


港の船長が地図を見て首をかしげる。


「この場所に行きたいのか?」


「はい。」


「昔は、この先に小さな町があったと聞いたことがある。」


「でも、最近は誰も行っていない。」


あかりが不安そうにする。


「本当に町があるのかな?」


悠真は笑った。


「だから、確かめに行こう。」


---


船で海を進む。


数時間後。


霧の向こうに、小さな島影が見えてきた。


「島だ!」


ひかるが指をさす。


島に近づくにつれて、古い建物が見えてきた。


港。


学校。


小さな広場。


そして――。


広場の中央には、大きな家が建っていた。


玄関には、古びた看板。


『みんなの家』


「あった……。」


悠真たちは驚いた。


地図にない場所なのに、ここにも「みんなの家」が存在していた。


---


建物の中へ入ると、誰もいない。


机の上には、たくさんの手紙が置かれている。


一番上の手紙を、ひかるが読む。


«『私たちは、外の世界を知りません。』


『でも、誰かとつながりたいと思っています。』


『もし、この手紙を見つけた人がいたら――』


『どうか、私たちの仲間になってください。』»


あかりが胸に手を当てる。


「ここからメッセージを送ったんだね。」


その時。


建物の奥から物音がした。


ガタン。


全員が振り返る。


「誰かいる?」


悠真が声をかける。


すると、隠し扉の向こうから一人の少女が現れた。


「……あなたたち、本当に来てくれたんだ。」


少女は驚きながら笑う。


「私の名前は――エマ。」


---


エマは、この島で暮らす子どもたちの代表だった。


「私たちはずっと、この『みんなの家』を守ってきました。」


「でも、島の外と連絡する方法がなくなってしまったんです。」


悠真は尋ねる。


「どうして、この場所を知っていたの?」


エマは壁に掛けられた古い写真を指差した。


そこには――。


若い頃の白石誠一とアントニオ。


そして、見知らぬ女性が写っていた。


「昔、この島に来た人が残してくれたんです。」


写真の裏には、短い言葉が書かれていた。


『いつか世界とつながる日が来る。』


悠真たちは顔を見合わせる。


ここもまた、姉妹レンタルの歴史につながっていた。


---


しかし、エマは少し困った顔をする。


「お願いがあります。」


「この島には、大きな問題があるんです。」


「みんなの家を守るために、どうしても必要なものがあります。」


「それは――」


エマが窓の外を指差す。


島の奥にそびえる山。


その山頂には、巨大な古いアンテナが立っていた。


「通信塔です。」


「これが動けば、島は世界中とつながれます。」


悠真は山を見上げた。


「じゃあ、まずは通信塔を直そう。」


世界ネットワークの新たな仲間。


そして、地図にない島。


次の冒険が始まる。

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