契約の真実
花火大会の帰り道。
人混みの中で、黒いスーツ姿の男女と向かい合うひまり。
「契約に関する大切なお話があります。」
「……ここで?」
「はい。」
男性は静かに一枚の封筒を差し出した。
ひまりが開くと、中には一枚の通知が入っていた。
『契約対象・春川悠真の適性判定が最終段階に入りました。』
「適性判定……?」
女性が説明する。
「『姉妹レンタル』は、ただのレンタルサービスではありません。」
「家族として誰かと過ごし、その人の優しさや思いやりを確かめるための制度なのです。」
「契約が終わる頃には、依頼人に最もふさわしい未来を選ぶことになります。」
ひまりは小さく息をのむ。
「……未来?」
「はい。」
「家族として別れるのか、それとも新しい関係へ進むのか。」
その言葉を聞いたひまりは、何も答えられなかった。
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その頃、悠真は必死にひまりを探していた。
「ひまりー!」
「どこにいるんだ!」
ようやく見つけたとき、ひまりは一人で橋の上に立っていた。
「よかった……心配したぞ。」
悠真が駆け寄ると、ひまりは少しだけ笑った。
「……ごめん。」
「迷子になっただけ。」
もちろん、それは本当ではなかった。
契約のことは話せない。
第一ルールがあるからだ。
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家へ帰る途中。
さくらは二人の様子を見て安心したように笑う。
「みんなそろってよかった。」
美咲もほっと胸をなで下ろした。
「次は四人で海にでも行こうよ!」
「いいね!」
さくらが賛成すると、悠真も笑顔でうなずく。
「夏休みらしいこと、いっぱいしよう。」
その言葉を聞いたひまりは、少しだけ胸が痛んだ。
(この時間が……ずっと続けばいいのに。)
しかし、その夜。
運営本部から二人に新しい通知が届く。
『契約期間、残り21日。対象者が姉妹のどちらかに恋愛感情を抱いた場合、最終選択を実施します。』
さくらとひまりは顔を見合わせた。
「……とうとう、この日が近づいてきたね。」
「うん。」
二人は窓の外に輝く満月を見上げる。
誰もまだ知らない。
この「姉妹レンタル」の契約が、四人の運命を大きく変えることになることを――。




