始まりの写真
会議が終わった後。
悠真たちは、写真を持ってきた少女と交流センターの一室に集まっていた。
少女の名前はミア。
ミアは写真をテーブルの上に置いた。
「この人が、私のおじいちゃんです。」
写真には、若い頃の白石誠一と、もう一人の男性が写っていた。
二人の間には、大きな世界地図が広げられている。
「おじいちゃんの名前は、アントニオ。」
「昔、白石さんと一緒に活動していたそうです。」
あかりが写真をじっと見る。
「お父さんが、こんな若い頃から世界を回っていたなんて……。」
ひかるも驚いていた。
---
ミアは、祖父から預かった古い箱を取り出した。
「これは、私が日本へ来る時に渡されたものです。」
箱の中には、古いノートと一枚の鍵が入っていた。
ノートの表紙には、
『笑顔の地図』
と書かれている。
悠真がページを開く。
そこには世界各地の町の名前と、その町で人々が助け合うための仕組みが記録されていた。
台湾。
イタリア。
アフリカ。
南米。
そして――日本。
「これって……。」
美咲が驚く。
「今まで私たちが訪れた場所が全部書かれてる。」
---
さらにページをめくると、ある文章が見つかった。
«『世界中の人々が、家族のように支え合える仕組みを作る。』
『血のつながりだけではなく、互いを思いやる気持ちで結ばれた家族を作る。』»
あかりが目を見開く。
「これって……姉妹レンタルの考え方そのものだよ。」
ひかるも静かにうなずく。
「じゃあ、お父さんは最初からこの計画を……?」
---
そこへ白石誠一が入ってきた。
「そのノートを見つけたんだね。」
悠真が尋ねる。
「知っていたんですか?」
誠一は静かにうなずいた。
「アントニオと私は、若い頃にこの計画を始めた。」
「でも、当時はまだ時代が早すぎた。」
「人と人をつなぐ方法も、今ほど多くなかった。」
誠一はノートを見つめる。
「だから私は、日本で小さな活動から始めることにした。」
「それが、姉妹レンタルだった。」
---
あかりは父を見つめた。
「じゃあ、私たちがやってきたことは……。」
誠一は微笑んだ。
「私が始めた計画の続きを、君たちが完成させてくれたんだ。」
ひかるは少し照れながら笑った。
「なんだか、不思議な感じ。」
「でも……嬉しい。」
---
その時、ミアがノートの最後のページを開いた。
そこには、今まで誰も見たことのない文章があった。
«『最後の鍵は、日本にある。』
『この鍵が見つかった時、世界の「みんなの家」は一つにつながる。』»
「日本に鍵が……?」
悠真たちは顔を見合わせる。
ミアが持っている古い鍵を見る。
すると、あかりが突然気づいた。
「この鍵……。」
「前に見たことがある。」
ひかるも驚く。
「どこで?」
あかりは答えた。
「お父さんの工房。」
---
一行は急いで日本へ戻ることになった。
そして白石誠一の工房で、古い木箱を探す。
「これかな?」
悠真が棚の奥から箱を取り出した。
鍵穴にミアの鍵を差し込む。
カチッ。
箱が開く。
中には、一枚の古い地図が入っていた。
そこには日本各地の「みんなの家」が記されている。
しかし、その中心に一つだけ大きな印があった。
場所は――。
最初の「姉妹レンタル」が生まれた場所。
誠一は地図を見つめる。
「ここに……最後の答えがある。」
世界をつなぐ計画。
姉妹レンタルの原点。
そして、父が長年隠していた秘密。
すべてが一つにつながろうとしていた。




