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星の鐘

山の奥から響いた鐘の音。


ルシアは、しばらく動けなかった。


「本当に……鳴った。」


あかりが不思議そうに尋ねる。


「この鐘って、そんなに珍しいの?」


「うん。」


ルシアはうなずいた。


「私のおばあちゃんから聞いた話では、昔この村には『星の鐘』があったの。」


「村のみんなが困った時、鐘を鳴らして知らせるためのものだった。」


ひかるが台座を見る。


「でも、今は鐘がない。」


「そうなんです。」


---


悠真たちは、さっき見つけた金属片を調べた。


その形は、古い鐘の部品によく似ていた。


ルカ……ではなく、今回の案内役であるルシアが驚く。


「それ、もしかすると星の鐘の一部かもしれません。」


「だったら、鐘はどこにあるんだろう?」


みんなで周囲を探す。


すると、展望台の壁に小さな文字が刻まれているのを、ひまりが見つけた。


『星が最も明るくなる夜、鐘への道が開く』


「星が最も明るくなる夜……?」


さくらが空を見上げる。


「今日じゃない?」


---


その夜。


村の人たちと一緒に展望台へ戻ると、満天の星空が広がっていた。


山の上から見る星は、まるで手が届きそうなほど近い。


突然、古い壁の一部が淡く光り始めた。


「えっ!」


あかりが驚く。


光に照らされた場所には、小さな扉が現れていた。


「こんなところに扉が……。」


悠真が慎重に開ける。


中には古い木箱が一つだけ置かれていた。


ルシアが箱を開ける。


そこには、昔の村人たちが書いた手紙が入っていた。


---


一番上の手紙には、こう書かれていた。


«『星の鐘は、宝物ではない。』


『誰かが困った時、みんなが助けに来るための合図だ。』


『だから、鐘がなくなっても約束だけはなくさないでほしい。』»


ルシアは手紙を胸に抱えた。


「おばあちゃんが言っていたことと同じ……。」


その時、村の長老が現れた。


「やはり、ここに残っていたか。」


「知っていたんですか?」


悠真が尋ねる。


長老は静かにうなずいた。


「昔、星の鐘は村の争いの中で壊れてしまった。」


「それ以来、誰も修復しようとはしなかった。」


「しかし、本当に失われたのは鐘ではない。」


長老は村の人たちを見る。


「互いに助け合うという気持ちだった。」


---


翌日。


悠真たちは、集会所の修復と同時に、村の人たちと新しい鐘を作ることにした。


古い金属片は大切に保存する。


新しい鐘には、村の子どもたちが星の絵を描いた。


そして完成した鐘を、集会所の前に取り付ける。


ルシアがロープを握る。


「鳴らしていい?」


「もちろん。」


ルシアが鐘を鳴らす。


カーン……。


澄んだ音が山々に響き渡った。


村の人たちは笑顔になった。


今度の鐘は、困った時だけではない。


みんなが集まりたい時にも鳴らす鐘。


新しい約束の始まりだった。


---


その夜。


悠真たちは星空を眺めながら、これまで訪れた町のことを話していた。


台湾。


イタリア。


アフリカ。


そして、この南米の山村。


あかりが言う。


「世界中に、少しずつ『みんなの家』が増えてきたね。」


ひかるも笑う。


「いつか全部の町がつながったら、すごいだろうな。」


その時、理事長から連絡が入った。


「皆さん。」


「次の依頼は、これまでとは少し違います。」


悠真が尋ねる。


「どんな依頼ですか?」


理事長は答えた。


「これまで皆さんが訪れた町の代表者たちから、共同で大きなプロジェクトを始めたいという申し出がありました。」


「世界中の『みんなの家』を、一つのネットワークでつなぐ計画です。」


悠真たちは驚いた。


世界中の仲間たちをつなぐ、新しい挑戦。


旅は、次の段階へ進もうとしていた。

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