イタリアの小さな町
台湾での活動を終えた悠真たちは、次の目的地へ向かった。
飛行機を乗り継ぎ、長い旅の末に到着したのは、イタリアの山あいにある小さな町。
町の名前はベルモンテ。
石造りの家々が並び、広場の中央には古い噴水があった。
「きれいな町!」
あかりが目を輝かせる。
「映画の中みたい。」
ひかるも周囲を見回した。
しかし、町はどこか静かだった。
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広場で待っていたのは、現地の青年ルカだった。
「ようこそ、ベルモンテへ。」
ルカは日本語を勉強しているらしく、簡単な日本語で挨拶してくれた。
「今回、皆さんを呼んだのは、この町に子どもたちが集まれる場所を作りたいからです。」
ルカが案内したのは、広場の隅にある古い建物だった。
「ここが昔の図書館です。」
「でも、何年も使われていません。」
悠真たちは中へ入った。
古い本棚。
埃の積もった机。
壁には、昔の子どもたちが描いた絵が残っている。
「ここなら、『みんなの家』にできそう!」
さくらが笑顔になる。
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翌朝から、改修作業が始まった。
「まずは掃除!」
あかりが張り切る。
ひかるは本棚を整理し、美咲は机を磨く。
ひまりは壁に残っていた子どもたちの絵を大切に保存する。
悠真とルカは壊れた棚を修理した。
ところが――。
町の老人が一人、建物の前で立ち止まった。
「その場所を使うのか。」
ルカが振り返る。
「はい。」
老人は少し寂しそうに答えた。
「そこには、昔の思い出がたくさんある。」
「だからこそ、誰にも触れてほしくなかった。」
悠真は作業を止めた。
「大切な思い出なんですね。」
老人はうなずく。
「私の娘も、ここで本を読んでいた。」
「でも、もうこの町にはいない。」
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その夜。
悠真たちは建物の中に残された古い写真を整理していた。
一枚の写真に、幼い女の子が写っている。
手には一冊の本。
裏には名前が書かれていた。
『エレナ』
ルカが驚く。
「エレナ……。」
「この町に、同じ名前の女の子がいます。」
ひかるが写真を見る。
「もしかして、この人の娘さん?」
ルカは首をかしげる。
「分かりません。」
その時、建物の外から声が聞こえた。
「その写真……。」
振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。
少女は写真を見つめ、驚いた表情を浮かべる。
「それ、私のお母さんです。」
「えっ?」
少女の名前も――エレナだった。
そして彼女は、古い図書館を見つめながら言った。
「私のお母さんは、ここで働いていました。」
「でも、ある日この町を離れてしまったんです。」
少女は一冊の古い本を取り出す。
「この本を残して。」
本の表紙には、手書きでこう書かれていた。
『いつか、またみんなが集まれる場所になりますように。』
長い間眠っていた図書館に、もう一度人が集まる日は近いのかもしれない。
しかし、そのためには町の人たちが向き合わなければならない、過去の出来事が残されていた。




