世界の境界を開く扉!七人を待つ未知の世界
記憶の源が七色の光を放つなか、奥にそびえる巨大な扉が、ゆっくりと動き始めた。
ゴゴゴゴゴ……!
扉の表面には、見たこともない無数の文字と、星のような模様が浮かび上がっている。
「な、なんだよ、あの扉……! 記憶の源の奥に、まだ何かあるのか?」と、ハルが驚いた。
「さっきの声は、世界の境界を開くって言ってたよね」と、ナナが不安そうに扉を見つめる。
アヤは三本の記憶の鍵を確かめた。
「過去の記憶、現在の記憶、未来への記憶……。この三本が、また必要になるのかもしれないわ」
そのとき、扉の中央に残っていた小さな黒い点が、突然、脈打つように光った。
ピシッ!
黒い点から細い亀裂が伸び、扉全体に広がっていく。
「みんな、下がって!」
セイが叫んだ。
次の瞬間、扉の隙間から黒い霧が吹き出した。霧は床を這い、七人の足元を取り囲む。
「この霧……さっきの黒い影とは違う!」と、ミオが声を上げた。
ルミは胸元を押さえた。
「わかる……。これは、記憶を消そうとしていたあの老人の力じゃない。もっと古くて、もっと大きな何か……」
すると、扉の向こうから低い声が響いた。
『記憶の源を修復した者たちよ。よくぞ、ここまでたどり着いた』
「誰だ!」と、ソラが問いかける。
『我は境界の番人。世界と世界の間に生まれた、すべての道を見守る者』
巨大な扉の模様が輝き、その中央に七つの星が現れた。
『だが、記憶の源が目覚めた今、封じられていた境界にも変化が起きた。お前たちが進まなければ、いずれ第∞世界そのものが、別の世界と混ざり合うだろう』
「世界が混ざり合うって……どういうこと?」と、ナナが尋ねた。
『本来、交わるはずのない世界がつながる。異なる時間、異なる歴史、異なる存在が一つになれば、何が起こるかは誰にもわからぬ』
ユウマは仲間たちを見渡した。
「だったら、扉の向こうへ行って原因を確かめよう。ここまで来たのに、放っておくわけにはいかない!」
「うん。みんな一緒なら、きっと方法は見つかるよ」と、アヤがうなずいた。
ハルも拳を握りしめる。
「よし! 未知の世界だろうと、みんなで調べてやる!」
「ただし、無茶はしないこと。何が起きるかわからないんだから」と、ミオが釘を刺した。
「もちろん!」と、ハルは答えたものの、少しだけ肩をすくめた。
セイはルミの隣に立った。
「ルミ、君は本当に大丈夫?」
「うん。怖くないと言ったら嘘になる。でも、もう自分の記憶から逃げないって決めたの」
ルミはセイを見て、微笑んだ。
「それに、今はみんながいるから」
セイも静かにうなずいた。
七人が扉の前に並ぶと、三本の記憶の鍵がそれぞれ青、銀、紫の光を放った。セイが持つ銀色の結晶も、それに呼応するように輝き始める。
扉の中央に、七人の姿が映し出された。
『境界を開くには、七つの心が必要だ』
「七つの心……?」
ユウマが手を伸ばすと、仲間たちも次々と手を重ねた。
「過去を忘れない心!」と、アヤ。
「今を大切にする心!」と、ナナ。
「明日を信じる心!」と、ハル。
「違いを受け入れる心!」と、ミオ。
「仲間を信じる心!」と、ソラ。
「そして、自分の記憶と向き合う心……!」と、ルミ。
最後にユウマが宣言した。
「どんな世界が待っていても、僕たちは自分たちの意思で進む!」
七人の手から光が広がり、扉の七つの星へと吸い込まれていく。
ドオオオオオン!
巨大な扉が完全に開いた。
その向こうに広がっていたのは、空に無数の扉が浮かび、地面には透き通った川が流れる、不思議な世界だった。
遠くには、上下が逆さまになった街が見える。空を泳ぐ魚の群れが、星の間を通り抜けていった。
「うわあ……! すごい景色……!」と、ナナが目を輝かせた。
「きれいだけど、何だか落ち着かないな」と、ソラが周囲を見回す。
そのとき、足元に一冊の本が落ちていることに気づいたルミが、それを拾い上げた。
本の表紙には、こう書かれていた。
『境界記録――存在しなかった世界の一覧』
「存在しなかった世界……?」
ルミがページを開くと、そこには数え切れないほどの世界の名前が記されていた。
そして、最後のページには、たった一行だけ文字が残されていた。
『第∞世界もまた、かつては存在しなかった』
「えっ……?」
ユウマたちは顔を見合わせた。
その瞬間、空に浮かぶ扉が一斉に開き、そこから無数の光が流れ出した。
光の中には、見知らぬ街、見知らぬ人々、そして、まだ出会ったことのない自分たちによく似た姿が映っていた。
さらに、遠くの空に巨大な黒い輪が現れた。
境界の番人の声が、再び響く。
『気をつけよ。境界の向こうには、世界をつなごうとする者がいる。そやつがすべての扉を開けば、世界は元の姿を保てなくなる』
「世界をつなごうとしている人物……。いったい何者なんだ?」と、ユウマがつぶやいた。
ルミは本をぎゅっと抱きしめた。
「もしかしたら……私たちが忘れていることと、関係があるのかもしれない」
セイが黒い輪を見上げる。
「なら、確かめるしかないね」
七人は新たな世界へと一歩を踏み出した。
その背後で、巨大な扉が静かに閉じていく。
そして、誰もいなくなった扉の表面に、見知らぬ文字が浮かび上がった。
『第一の境界、開放完了』
黒い輪の中心で、誰かが小さく笑った。
「さあ、始めよう。次は、お前たち自身の世界の秘密を見せてやる……」
こうして七人は、世界と世界をつなぐ新たな冒険へと足を踏み入れたのだった。




