光をなくした星の湖
風が止まった風車の谷を救い、緑色の星晶を手に入れた悠真たち。
青い星と緑色の星晶。残るは、金色の星だけだった。
悠真、アヤ、ナナ、ハル、ミオ、ソラ、そしてルミとユウトの一行は、地図を頼りに徒歩で次の目的地へ向かっていた。
「この先に、光をなくした星の湖があるんだね」とナナ。
「そうだよ。そこで金色の星を見つければ、三つの星がそろうはずだ」と悠真が答えた。
ユウトは手のひらに浮かぶ青い星と緑色の星晶を見つめた。
「お姉ちゃんと一緒に星を見るまで、あと少しだ……!」
「最後まで一緒に頑張ろうね」とアヤが微笑んだ。
## 星のない湖
山道を越え、森を抜けると、大きな湖が姿を現した。
湖の周囲には白い花が咲き、岸辺には古い石造りの塔が立っている。しかし、水面は暗く、空の光をまったく映していなかった。
「ここが星の湖……?」
ミオが水面をのぞき込んだ。
空には薄い雲が流れているものの、湖には星どころか、月の光さえ映っていない。
「本当に光がなくなっているんだね」とハル。
そのとき、湖の向こうから、小さなランタンを持った少女が歩いてきた。
「あなたたちは旅人ですか?」
少女はセナと名乗った。湖のそばにある村で暮らし、星の湖を守っているのだという。
「この湖は、昔は夜になると金色に輝いていたんです。でも、ある日を境に光が消えてしまいました」
「何があったんですか?」とソラが尋ねた。
セナは湖を見つめながら答えた。
「湖の底にある『星の神殿』から、金色の光が消えてしまったんです。それ以来、湖は星を映さなくなりました」
「星の神殿か……。そこに金色の星があるのかもしれないな」と悠真。
セナはうなずいた。
「ただし、神殿へ入るには湖の門を開かなければなりません。その門は、三つの星の光がそろったときにだけ開くと伝えられています」
ユウトが手のひらを開くと、青い星と緑の星晶が輝いた。
「ということは、最後の金色の星を見つければいいんだね!」
しかし、湖の門には青と緑の模様しか現れなかった。
金色の模様だけが、空白のままだった。
## 湖に浮かぶ小さな光
夕方、一行は湖畔の村で休むことになった。
村人たちは星空を失ってから、夜になるとランタンを灯して過ごしていた。
「星が見えなくなってから、夜がずいぶん寂しくなりました」とセナ。
「星が戻れば、またみんなで夜空を眺められるね」とアヤが言った。
夕食を終えたあと、ユウトは一人で湖の岸辺へ向かった。
「お姉ちゃん……今、どこにいるのかな」
手のひらの青い星を湖へ向けると、水面に小さな青い光が映った。
ところが、その光はすぐに消えてしまった。
「どうして……?」
ユウトがもう一度星をかざした、そのとき。
湖の中央から、かすかな声が聞こえた。
「……願いを……忘れないで……」
「誰?」
水面に、小さな金色の光が現れた。
光は魚のように湖の上を泳ぎ、やがて岸辺の古い石碑へと向かった。
ユウトは急いで仲間たちを呼びに戻った。
「みんな! 湖に金色の光が現れたんだ!」
悠真たちはランタンを持って湖へ駆けつけた。
石碑には、古い文字が浮かび上がっていた。
『失われた光を取り戻すには、忘れられた約束を見つけよ』
「忘れられた約束……?」とナナ。
ルミは石碑の文字を読みながら、考え込んだ。
「この湖には、昔から大切な約束が伝わっていたのかもしれません」
すると、セナの表情が変わった。
「もしかして……おばあちゃんが話してくれた伝説のこと?」
## 湖に残された約束
セナは村の家から、古い記録を持ってきた。
そこには、かつてこの湖のそばで暮らしていた二人の姉妹の物語が記されていた。
姉妹は毎晩、湖に映る星を眺めながら、ある約束を交わしていたという。
『どんなに遠く離れても、同じ星を見上げようね』
ユウトは、その言葉を聞いて息をのんだ。
「それって……僕とお姉ちゃんの約束と同じだ!」
セナは驚いた顔でユウトを見た。
「あなたにも、お姉さんがいるの?」
「うん。今は離れて暮らしているんだ。でも、いつか一緒に星を見るって約束したんだよ」
ユウトの青い星が、温かな光を放った。
すると、石碑の文字が少しずつ変化していった。
『約束は、離れた心をつなぐ光』
その瞬間、湖の中央に金色の道が現れた。
水面の上に、星の形をした光が一つずつ浮かび上がっていく。
「道ができた!」とミオ。
しかし、金色の道は途中で途切れていた。
その先には、湖の底へと続く階段がかすかに見えている。
「星の神殿へ続く道だ……!」とソラ。
悠真は仲間たちを振り返った。
「明日の朝、あの道の先を調べよう。金色の星を見つけて、星空を取り戻すんだ!」
一同は力強くうなずいた。
その夜、ユウトは湖のそばで、青い星と緑の星晶を大切に握りしめた。
湖の中央では、金色の光が静かに瞬いていた。
まるで、誰かが一行の到着を待っているかのように。




