表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/120

失われた約束

時計塔の前に集まった悠真たち。


蒼は震える手で古い鍵を鍵穴へ差し込んだ。


カチリ。


長い間閉ざされていた扉が、ゆっくりと開く。


「入ろう。」


悠真を先頭に、みんなは時計塔の中へ入った。


らせん階段を上ると、小さな部屋にたどり着く。


そこには古い木の机と、一冊の分厚いノートが置かれていた。


表紙には、金色の文字でこう書かれていた。


『未来への約束』


---


ひかるがそっとノートを開く。


そこには、昔の町の人たちの名前と、たくさんの願いが記されていた。


«「困った時は助け合おう。」»


«「子どもたちが安心して遊べる町にしよう。」»


«「どんな誤解があっても、話し合うことを忘れない。」»


さくらは静かにつぶやく。


「みんな、本当に仲が良かったんだね。」


しかし最後のページだけ、文字が途中で終わっていた。


そこにはこう書かれていた。


«『約束を守れなかった。本当にすまない。』»


署名は、町長の名前だった。


---


その時、一人の年配の男性が部屋へ入ってきた。


「そのノートを見つけたんだね。」


蒼が驚く。


「町長さん……。」


現れたのは、現在の町長・黒田だった。


黒田はゆっくりと語り始める。


「昔、この町では大きな災害が起きた。」


「助け合う約束をしていたのに、混乱の中で誤解が生まれ、人々は互いを責め合ってしまった。」


「それ以来、『人を信じないほうが傷つかない』と思う人が増えてしまったんだ。」


悠真は静かにうなずく。


「だから町が閉ざされてしまったんですね。」


黒田は悲しそうに笑った。


「そうだ。」


---


蒼は拳を握りしめた。


「俺も……人を信じるのが怖かった。」


「でも。」


蒼は悠真たちを見る。


「君たちは何日断られても、この町を見捨てなかった。」


「それを見て、少しだけ考えが変わった。」


あかりは笑顔で言う。


「じゃあ、一緒に新しい約束を作ろう!」


ひかるもうなずいた。


「昔と同じじゃなくてもいい。」


「今の町のみんなで、新しい一歩を踏み出そう。」


---


その日の夕方。


時計塔の広場に、町の人たちが少しずつ集まり始めた。


黒田町長はみんなの前で深く頭を下げる。


「長い間、過去に縛られていました。」


「今日からは、未来へ進みたいと思います。」


町の人たちは顔を見合わせる。


やがて、一人が拍手を始めた。


その拍手は少しずつ広がり、広場いっぱいに温かな音が響いた。


蒼は悠真に向かって笑った。


「ありがとう。」


「俺、この町でもう一度友達を作ってみる。」


悠真も笑顔で答えた。


「応援してるよ。」


その瞬間、止まっていた時計塔の大きな時計が再び動き出した。


ゴーン……。


町に響く鐘の音は、新しい未来の始まりを告げているようだった。


そしてその夜、理事長から一通のメッセージが届く。


«『皆さんへ。全国各地に広がった「みんなの家」の仲間が、一つの町に集まる日が決まりました。』»


«『次はいよいよ、全国交流会です。』»


悠真たちは顔を見合わせ、笑顔になった。


「今まで出会ったみんなに、また会えるんだ!」


新たな再会が、六人を待っていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ