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歌う山への道

「歌う山って、どんな山なんだろう?」


ソラが虹色の道を見上げた。


音のない町を出発した悠真、アヤ、ナナ、ハル、ミオ、ソラの六人は、空に現れた虹色の道を歩いていた。


道は空中に浮かんでいる。


けれど、不思議と足元が揺れることはなかった。


「この世界、本当に不思議だね」


ミオが周囲を見渡す。


「町の人たちも、最初は音がなかったなんて信じられないくらい元気になったね」


ナナが笑う。


遠くから、音のない町の風鈴の音が聞こえてきた。


――チリン。


「見送りの音かな」


悠真が振り返る。


「きっとそうだよ」


アヤが手を振った。


「また会おうねー!」


すると、町から小さな音が返ってきた。


――チリン、チリン。


六人は笑顔で前へ進んだ。


しばらくすると、虹色の道の先に巨大な山が現れた。


頂上は雲の中に隠れている。


山の斜面には、無数の白い石が並んでいた。


「これが……歌う山?」


ハルが首をかしげる。


しかし、山からは歌声どころか、何の音も聞こえない。


「もしかして、また音がなくなってるのかな?」


ソラが言った。


その瞬間――。


「ラ……」


かすかな声が聞こえた。


全員が立ち止まる。


「今、聞こえた?」


ナナが尋ねる。


「うん」


悠真が頷く。


「誰かが歌ってる」


六人は声のする方向へ進んだ。


山の中腹まで登ると、小さな洞窟を見つけた。


入口には石碑がある。


【歌を探す者へ】


「ここだ!」


アヤが洞窟に入る。


中にはたくさんの石が並んでいた。


どの石にも、小さな穴が空いている。


ソラが近づいて耳を澄ます。


「……ここから声が聞こえる」


「石から?」


ハルが驚く。


ソラが一つの石に触れた。


すると――。


「ラ……ラ……」


小さな歌声が響いた。


「本当に歌ってる!」


ミオが驚く。


けれど、その歌は途中で途切れてしまった。


「どうして止まったんだろう?」


悠真が考える。


石碑の文字が光った。


【歌は、一人では完成しない】


「一人では完成しない……」


ナナがつぶやく。


すると洞窟の奥から、さらに小さな歌声が聞こえた。


「ラ……」


別の石だ。


「じゃあ、石と石を一緒に鳴らせばいいのかも!」


アヤが気づいた。


六人はそれぞれ別の石に触れた。


「せーの!」


一斉に触れる。


――ラ。


――ラ。


――ラ。


最初はバラバラだった。


しかし、何度も試しているうちに、少しずつ音が重なっていく。


ソラが声を合わせる。


「ラ……ラ……」


すると洞窟全体に、美しい歌声が響き始めた。


「すごい……」


ハルが目を輝かせる。


やがて山の外からも歌声が返ってきた。


「山全体が歌ってる!」


六人が洞窟の外へ出ると、山の斜面に並んでいた白い石が、一つずつ光り始めた。


山の頂上から大きな歌声が響く。


そして、雲が左右に分かれた。


その向こうには――。


巨大な白い塔。


塔の入口には、文字が浮かんでいる。


【歌を完成させた者へ】


悠真たちは顔を見合わせた。


「行ってみよう」


六人は山頂を目指して歩き始める。


ところが――。


塔の入口まであと少しというところで、突然、山全体が揺れ始めた。


ゴゴゴゴゴ……。


「何?」


ミオが驚く。


山の頂上から、低い声が響いた。


「まだ……歌は……完成していない……」


六人は足を止めた。


白い塔の扉がゆっくり開く。


その奥から、巨大な影が姿を現した。


そして影は、静かに言った。


「最後の一音を、探しなさい」


歌う山の本当の物語は――まだ始まったばかりだった。

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