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最初の出会い

「私たちが最初に出会った場所……」


アヤは腕を組んで考えていた。


ナナも思い出そうとしている。


「私は……アヤお姉ちゃんと一緒に、この仕事を始めたことは覚えてる。でも、その前のことが……」


「僕も、二人と出会った最初の日だけ、なぜか思い出せない」


悠真も不思議そうに言った。


三人はレンタル姉妹サービスの建物へ戻った。


すると、入口に見慣れない小さな箱が置かれていた。


箱の蓋には、


――「最初の記憶を探す人へ」


と書かれている。


「また誰かが置いていったのかな?」


アヤが箱を開ける。


中には、一枚の古い地図と、三つの小さな鍵が入っていた。


「鍵が三つ……」


ナナが一つずつ手に取る。


鍵には、それぞれ違う模様が刻まれていた。


星。


鳥。


そして――笑顔。


地図には三つの場所が記されている。


「まずは星の鍵の場所へ行ってみよう!」


アヤが地図を持って歩き出した。


最初の場所は、町の小さな時計台だった。


時計台の下には古い扉がある。


星の鍵を差し込む。


カチャッ。


扉が開いた。


中には、たくさんの写真が並んでいた。


三人がそれぞれ別々に撮られた写真。


アヤが笑っている写真。


ナナが誰かに手を振っている写真。


そして悠真が、知らない場所で空を見上げている写真。


「これ……全部、僕たち?」


「そうみたい」


ナナが写真を一枚持ち上げる。


裏には、


――「まだ出会っていない三人」


と書かれていた。


「まだ出会ってないのに、どうして写真があるの?」


悠真が首をかしげる。


その瞬間、写真の中の景色が淡く光った。


すると、三人の前に一つの映像が浮かび上がった。


まだ三人が出会う前。


アヤは一人で町を歩いていた。


ナナも別の場所で、自分の道を歩いている。


悠真も同じ町で、一人で過ごしていた。


三人は同じ町にいた。


でも、まだ出会っていなかった。


「じゃあ、私たちは同じ場所にいたのに……」


アヤが驚く。


映像が進む。


三人が何度もすれ違っていく。


公園。


駅。


商店街。


図書館。


ほんの少し時間が違うだけで、出会わない。


そして最後に、三人が同じ広場へ向かって歩き始めた。


「ここ……」


悠真が気づく。


「僕たちが初めて出会った町の広場だ」


しかし、映像はそこで途切れた。


ナナが時計台の奥を見る。


「まだ続きがあるよ」


奥には、二つ目の扉があった。


鳥の模様が刻まれている。


「次は鳥の鍵だね」


三人は扉を開けた。


その先には、小さな部屋があった。


中央には、一枚の紙。


そこには、


――「出会いは偶然ではなく、歩いてきた道の先にある」


と書かれている。


アヤが静かに笑った。


「私たち、出会うまでに何度もすれ違ってたんだね」


「うん」


悠真がうなずく。


「だからこそ、出会ったことが大切なのかもしれない」


そして最後の部屋。


笑顔の鍵を使って扉を開ける。


そこには――


三人が初めて出会った日の映像が残されていた。


広場。


夕方。


アヤがレンタル姉妹サービスのチラシを持って立っている。


ナナが隣にいる。


そこへ悠真がやって来る。


「レンタル姉妹……?」


「そう! 一緒に町を歩いたり、お話したりするサービスだよ!」


アヤが説明する。


ナナが少し恥ずかしそうに笑う。


「よかったら、一緒にやってみませんか?」


その場面を見た三人は、顔を見合わせた。


「これが……」


「私たちの最初の出会い……」


悠真は笑った。


「思い出した」


その瞬間、部屋いっぱいに光が広がった。


思い出帳の白かったページに、三人の最初の出会いが書き込まれていく。


――『最初の出会いは、特別な出来事ではなかった』


――『ただ、一緒に歩き始めた』


――『それが、すべての物語の始まりだった』


ナナがページを閉じる。


「これで、私たちの記憶も見つかったね」


アヤが笑う。


「うん!」


しかし、悠真が最後のページを見ると、そこにはまだ一行だけ文字が残っていた。


――『そして、最初の出会いの先には、まだ知らない世界がある』


「……まだ続くんだ」


三人は顔を見合わせる。


アヤが笑った。


「もちろん!」


ナナも頷く。


「これからも、三人で探していこう」


悠真は思い出帳を大切に閉じた。


最初の出会いを思い出した三人。


けれど、それは終わりではなかった。


――レンタル姉妹の新しい物語は、ここからまた始まる。

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