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星が消えた夜

「今、星が消えたよね……?」


ナナが空を見上げた。


さっきまで輝いていた星が、一つだけ消えている。


アヤは思い出帳を開いた。


ページには、さっきまでなかった地図が浮かび上がっていた。


「見て! 星の形をした印がある!」


地図の場所は、町から少し離れた山の上だった。


「行ってみよう」


悠真たちは、星が消えた理由を探すため山へ向かった。


山道を進んでいると、森の中に小さな天文台が見えてきた。


「ここかな?」


古い扉を開けると、中には大きな望遠鏡が置かれていた。


壁にはたくさんの星の地図が貼られている。


しかし、その中の一枚だけ、星が一つだけ黒く塗られていた。


ナナが近づく。


「この星……今消えた星と同じ場所だよ」


すると、天文台の奥から声が聞こえた。


『その星は、誰かの大切な記憶です』


「誰かの記憶?」


悠真が尋ねる。


『忘れられた記憶が一つ消えるたび、空の星も一つ消えていくのです』


アヤが驚く。


「じゃあ、星を戻すには、その記憶を見つければいいんだね!」


『その通りです』


机の上に、一枚の古い写真が現れた。


写真には、夜空を見上げる一人の少女が写っている。


裏には、


――「約束した夜」


と書かれていた。


「この女の子を探せばいいのかな?」


三人は町へ戻り、写真について調べることにした。


古い図書館で記録を探すと、写真と同じ少女について書かれた記事を見つけた。


少女は昔、この町で天体観測をしていたらしい。


毎年ある夜になると、丘の上から星を見る。


そして誰かを待っていた。


「誰を待ってたんだろう?」


ナナが記事を読む。


最後の一文に、答えがあった。


――『いつか一緒に、あの星を見よう』


しかし、その約束が果たされた記録は残っていなかった。


三人は少女が星を見ていた丘へ向かった。


そこには古いベンチが一つだけ残っていた。


ナナがベンチの下を見る。


「これ……箱?」


小さな箱を取り出すと、中には古い手紙が入っていた。


悠真が読む。


『約束の日に来られなくても、空を見上げてください』


『同じ星を見ている限り、きっと私たちはつながっています』


アヤが静かに言う。


「約束を忘れたんじゃなかったんだ」


「うん」


悠真もうなずく。


「離れていても、ずっと覚えていたんだね」


その瞬間、夜空に光が走った。


消えたはずの星が、少しずつ輝きを取り戻していく。


やがて――


キラッ。


元の場所に、星が戻った。


ナナが嬉しそうに笑う。


「記憶が戻ったんだ……」


すると、天文台の方向から光が飛んできた。


その光は思い出帳に吸い込まれ、新しい文章になった。


――『忘れられた記憶は、思い出す人が一人いれば、もう一度輝ける』


三人は空を見上げた。


今度は、たくさんの星が輝いている。


アヤが伸びをする。


「今回も大成功!」


「うん」


ナナが笑った。


「でも……」


ナナが空の一点を指差した。


「あそこだけ、まだ暗いよ」


三人が見る。


星空の中に、一つだけ大きな空白がある。


そして思い出帳の最後のページに、新しい文字が浮かび上がった。


【次の依頼――星空から消えた、最後の一つを探してください】


悠真は驚いた。


「最後の一つ……?」


アヤが空を見上げる。


「まだ終わってないんだね」


ナナは少し緊張しながら、それでもしっかりとうなずいた。


「探そう。最後の星の記憶を」


三人は天文台を後にした。


星空には、一つだけ大きな空白が残っている。


その星が消えた理由には、これまでの記憶とは違う――


大きな秘密が隠されていた。

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