新しい姉妹との出会い
第∞+3世界での長い旅を終え、悠真たちは久しぶりに町へ戻ってきた。
「やっぱり、町って落ち着くね」
ミチが大きく伸びをする。
ユイも周囲を見回した。
「でも……なんだか前と少し違わない?」
「そうだね」
悠真も気づいていた。
町の中心に、見慣れない建物が建っている。
看板には、大きくこう書かれていた。
【レンタル姉妹サービス】
「レンタル姉妹?」
ミチが首をかしげる。
悠真が入口を覗くと、中から元気な声が聞こえてきた。
「いらっしゃいませ!」
そこには、二人の姉妹が立っていた。
姉は、明るく落ち着いた雰囲気の少女。
「私はアヤ。お姉ちゃん役をしています」
妹は、少し人見知りしながらも笑顔を見せた。
「私はナナ……妹役です」
二人は悠真たちに頭を下げた。
「今日から、この世界でレンタル姉妹を始めることになりました!」
「レンタル姉妹って、何をするの?」
ユイが尋ねる。
アヤが答えた。
「一緒に町を歩いたり、お話をしたり、困っている人のお手伝いをしたり……」
ナナが続ける。
「一人で寂しいときに、一緒にいてあげることもできます」
悠真は看板を見る。
「なるほど。誰かと一緒に過ごす時間をレンタルするんだね」
「そうです!」
アヤが元気よく答えた。
すると店の奥から、一枚の依頼書が飛んできた。
【依頼――新しい町を見てほしい】
アヤが依頼書を読む。
「さっそく依頼が来てる!」
ナナも嬉しそうにする。
「行ってみよう、お姉ちゃん!」
「もちろん!」
悠真たちも同行することになった。
町を出ると、丘の向こうに小さな集落が見えてきた。
そこでは、住民たちが困った顔をしている。
「どうしたんですか?」
アヤが尋ねる。
一人の住民が答えた。
「この町はできたばかりなんです。でも、まだ誰も町の名前を決められなくて……」
ナナが町を見渡す。
「名前がなくても、町は町じゃないの?」
住民は驚いた。
「え?」
「名前が決まっていなくても、ここで暮らしている人がいるなら、もう大切な場所だと思う」
アヤもうなずく。
「名前は急いで決めなくてもいいんじゃないかな」
悠真は二人を見て笑った。
「なんだか、僕たちが旅してきた世界と同じだね」
すると町の中央に、小さな看板が現れた。
【名前――まだ決めない】
住民たちが笑顔になる。
「それでもいいんだ!」
その瞬間、町に花が咲いた。
ナナが嬉しそうに笑う。
「私たち、ちゃんとお手伝いできたかな?」
「うん」
悠真が答える。
「二人らしいやり方だったと思うよ」
アヤは胸を張る。
「じゃあ、これからもレンタル姉妹として頑張ろう!」
ナナも元気に手を上げる。
「おー!」
帰り道。
悠真たちの前に、今度は別の依頼書が落ちてきた。
【依頼――姉妹と一緒に、失われた町の記憶を探してほしい】
悠真は依頼書を見つめる。
「……新しい冒険が始まりそうだね」
アヤとナナが顔を見合わせる。
「行こう!」
「うん!」
新しい姉妹とのレンタル生活。
そして、失われた町の記憶を探す旅が、今始まろうとしていた。




