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姉妹レンタル  作者: なんなん


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自分を見つけ続ける者

新しい扉を抜けた瞬間、悠真たちは広い草原に立っていた。


空には、いくつもの光が浮かんでいる。


しかし、その光は一つずつ違う方向へ動いていた。


「なんだろう、あの光……」


ミチが空を見上げる。


すると、一つの光が悠真たちの前に降りてきた。


「ようこそ」


光はそう言った。


「ここは、自分を見つけ続ける世界です」


「自分を……見つけ続ける?」


悠真が尋ねる。


光はうなずいた。


「ここでは、自分を一度見つけたら終わり、ではありません」


「どういうこと?」


「昨日の自分と今日の自分が違うように、明日の自分も変わるからです」


その言葉と同時に、草原に一本の道が現れた。


道の両側には、無数の扉が並んでいる。


【昔の自分】


【今の自分】


【知らない自分】


【なりたい自分】


【まだ見つけていない自分】


「こんなにあるの?」


ユイが驚く。


「全部開ける必要はありません」


光が答えた。


「どの扉を見るかも、自分で決められます」


悠真は一番近くにあった扉を開けた。


そこには、幼いころの自分に似た姿がいた。


その姿は少し寂しそうに座っている。


「どうしたの?」


悠真が声をかける。


「僕は、もう必要ないのかな」


悠真は首を横に振った。


「そんなことないよ」


「でも、今の僕とは違う」


「違っていていいんじゃないかな」


幼い姿が顔を上げる。


「……本当に?」


「うん。昔の自分がいたから、今の自分がいるんだから」


幼い姿は、少し笑った。


すると扉の向こうに小さな花が咲いた。


悠真たちは次の扉へ向かう。


そこには【知らない自分】と書かれていた。


扉を開けると、真っ暗だった。


「何も見えないね」


ミチが言う。


すると暗闇から声がした。


「僕は、まだ何者なのか分からない」


悠真は答える。


「分からなくてもいいと思うよ」


「それでも、自分なの?」


「もちろん」


その瞬間、暗闇の中に小さな光が灯った。


「分からない自分も、自分なんだ」


声が嬉しそうに響く。


そして、光はゆっくりと道になった。


ところが、そのとき――。


遠くから大きな音が聞こえた。


ゴゴゴゴゴ……。


草原全体が揺れる。


空に浮かんでいた光たちが、一斉に止まった。


「何が起きてるの?」


ユイが叫ぶ。


案内役の光が、初めて不安そうな声を出した。


「……自分を見つけすぎています」


「え?」


「たくさんの可能性を見つけたことで、この世界に存在する『自分』が増えすぎてしまったのです」


空を見る。


そこには、無数の姿が現れ始めていた。


昔の自分。


今の自分。


未来の自分。


まだ知らない自分。


そして――


「僕は……どれなんだ?」


無数の声が重なった。


悠真は空を見上げた。


そして静かに言った。


「全部じゃないかな」


すると、無数の声が一瞬止まった。


「一つに決めなくてもいい」


悠真の言葉に、空の光が少しずつ落ち着いていく。


だが、一つだけ巨大な光が残った。


その光には、まだ何も書かれていない。


【???】


悠真はその光を見つめる。


「……あれは?」


案内役の光が答えた。


「この世界でも、まだ誰も見つけたことのない自分です」


巨大な光が、ゆっくりと扉の形に変わる。


扉には、新しい文字が浮かび上がった。


【第七十五の歴史――まだ見つけていない自分】


そして扉の向こうから、声が聞こえた。


「僕を見つけに来て」


悠真たちは顔を見合わせる。


まだ見たことのない自分。


その先に何が待っているのか――。


悠真は一歩、扉へ近づいた。

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