見つけた者が歩き出す未来
悠真たちが扉を抜けると、そこには広大な草原が広がっていた。
空は青い。
風も吹いている。
しかし、誰の姿もない。
子どもが辺りを見回す。
「ここには、誰もいないの?」
「……そうみたいだね」
悠真が答えた。
そのとき――。
遠くの丘の上で、小さな光が動いた。
「あそこ!」
一行は丘へ向かって歩き始めた。
近づいてみると、光のそばには小さな足跡が続いていた。
けれど、その足跡は途中で消えている。
ユイがしゃがみ込む。
「ここで止まってる」
ミチが周囲を見る。
「誰かが歩いてきた。でも、その先がない」
すると光が、ぽつりと言った。
「僕が歩いたんだ」
悠真が振り返る。
「君が?」
「うん。でも、どこへ行けばいいのか分からなくなった」
「それで、ここにいるの?」
「そう」
光は少し寂しそうに揺れた。
「僕は、誰かを見つけたい。でも、自分がどこへ行けばいいのか分からない」
悠真は足跡を見る。
「だったら、まず一歩だけ進んでみよう」
光が驚く。
「一歩だけ?」
「うん。目的地を決めなくてもいい。歩きながら見つけてもいいんだ」
光はしばらく考えた。
そして――。
ゆっくり前へ進んだ。
すると足元に、新しい道が生まれた。
「道ができた!」
子どもが喜ぶ。
光はさらに一歩進む。
道が伸びる。
もう一歩。
さらに伸びる。
やがて丘の向こうに、小さな森が現れた。
その森の中から、かすかな声が聞こえる。
「……誰かいる?」
光が立ち止まった。
「いた!」
悠真たちも耳を澄ませる。
「ここにいるよ!」
森の中から返事が聞こえた。
「本当に?」
「うん!」
光は嬉しそうに森へ向かう。
すると森の入口に、別の小さな存在が現れた。
「君が僕を見つけてくれたの?」
「うん」
「どうして?」
光は少し考えた。
「僕も、誰かに見つけてもらったから」
その言葉に、悠真は微笑んだ。
すると森の木々が一斉に光り始めた。
草原から森へ。
森から丘へ。
丘から町へ。
まだ存在していなかった道が、次々につながっていく。
空に文字が浮かんだ。
【見つけた者は、次の誰かを見つけられる】
さらに、その下に――。
【未来は、受け取るだけではなく渡すこともできる】
ユイが空を見上げる。
「これまでの世界で見てきたことが、全部つながってきたね」
悠真は頷いた。
「見つけてもらう未来」
「見つける未来」
「そして、その次に誰かへ渡す未来……」
その瞬間、世界の中央に大きな橋が現れた。
橋の向こうには、まだ知らない世界がある。
しかし橋の入口には、文字が書かれていた。
【ここから先は、一人では作れない】
子どもが首を傾げる。
「みんなで行くってこと?」
悠真は橋を見つめる。
「たぶん、それだけじゃない」
「じゃあ、何?」
悠真は笑った。
「誰かと一緒に作りながら進むってことだと思う」
そのとき、橋の向こうからたくさんの光が現れた。
草原の光。
森の光。
見つけてもらった光。
そして、まだ名前のない光。
みんなが橋の前に集まってくる。
すると空に新しい文字が浮かび上がった。
【第六十七の歴史――見つけた者が歩き出す未来】
その下に、さらに一行。
【第六十八の歴史――一緒に作る未来】
悠真は橋の最初の一歩を踏み出した。
すると、橋そのものが少しずつ伸び始めた。
まだ存在しない場所へ。
まだ誰も知らない未来へ。
一行は、みんなと一緒に歩き始めた。




