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見つける者

暗闇へ続く道を、悠真たちはゆっくり進んでいた。


道の両側には何もない。


音もない。


光もない。


ただ遠くから、かすかな声だけが聞こえている。


「……ここ……」


悠真が立ち止まった。


「今、聞こえた」


ユイも頷く。


「うん。こっちから」


一行は声のする方向へ進んだ。


すると、暗闇の中に小さな光が浮かんでいた。


しかし、その光はとても弱い。


「僕を……見つけて」


悠真が近づく。


「見つけたよ」


光が驚いたように揺れた。


「本当に……?」


「うん」


「どうして?」


悠真は少し考えて答えた。


「君が呼んだから」


光は黙り込んだ。


やがて、小さな声で言う。


「僕は、ずっと誰かに見つけてもらいたかった。でも、自分から声を出すのが怖かった」


ユイが尋ねる。


「どうして?」


「もし誰にも聞こえなかったら……自分がいないみたいに感じるから」


悠真は光のそばに座った。


「声が届かなかったとしても、君がいないことにはならないよ」


光が少しだけ明るくなる。


「……本当?」


「本当だよ」


すると、暗闇の中に一本の細い線が現れた。


その線は、光から悠真たちのところまで伸びてくる。


「道……?」


ミチが呟く。


光が答えた。


「僕が声を出したから、道ができた」


悠真は頷く。


「じゃあ、今度は僕たちが声を出してみよう」


「何を?」


「『ここにいる』って」


悠真が暗闇に向かって言った。


「ここにいるよ!」


ユイも続く。


「ここにいる!」


ミチも言う。


「僕もいる!」


ハジメも声を上げる。


「ここにいるよ!」


すると――。


暗闇のあちこちから、声が返ってきた。


「ここにいる」


「私も」


「僕もいる」


「わたしたちも」


一つだった光が、二つ、三つ、十、百――。


無数の小さな光へ変わっていく。


誰にも見つけられなかった存在たちが、少しずつ姿を現していく。


子どもが驚く。


「こんなにたくさんいたんだ!」


悠真は笑った。


「うん。でも、最初からいなかったんじゃない。見つけられていなかっただけなんだ」


すると暗闇がゆっくり消えていく。


そこには広い広場が現れた。


広場の中央には、大きな石碑。


そこに新しい文字が刻まれる。


【見つけることは、作ることではない】


その下に、さらに文字が現れる。


【そこにいる者を、そこにいると知ること】


悠真は静かに頷いた。


「見つけるって……そういうことなんだ」


すると石碑の向こうに、新しい道が生まれた。


道の先には、まだ見えない世界。


しかし、そこから一つの声が聞こえてくる。


「次は……僕が誰かを見つけたい」


悠真たちは顔を見合わせる。


光たちも、その声の方向を見つめている。


やがて空に文字が浮かんだ。


【第六十六の歴史――見つける者】


そして、その下には新しい扉。


【第六十七の歴史――見つけた者が歩き出す未来】


悠真は扉を見つめる。


「見つけてもらったら、今度は自分が誰かを見つけに行く……」


ユイが頷いた。


「未来って、こうやって受け渡されていくのかもね」


悠真は扉を開いた。


その先には、まだ誰にも見つけられていない世界が広がっていた。


そして――


その世界のどこかで、誰かが初めて歩き始めた。

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