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姉妹レンタル  作者: なんなん


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今から始まる世界

悠真は目を閉じた。


目の前には、これまで出会った無数の世界が浮かんでいる。


未来を選んだ世界。


未来を選ばなかった世界。


名前を探している者。


まだ名前を持たない者。


帰る場所を作った者。


遠くへ旅立つ者。


そして、時間が生まれたばかりの世界。


悠真は静かに考えた。


「僕は……今、何をしたいんだろう」


すぐには答えが出なかった。


ユイも黙って待っている。


オボロも、ミチも、ハジメも何も言わない。


誰も答えを急かさなかった。


やがて悠真が目を開いた。


「僕は……みんなと一緒に、この先を見てみたい」


扉が小さく光った。


しかし――開かない。


「……あれ?」


悠真が驚く。


すると扉から声が響いた。


「それは『未来』です」


「未来?」


「あなたが選んだのは、これから先にしたいこと。けれど、今のあなたがどうするのかは?」


悠真は考え直した。


そして、周りを見た。


ユイがいる。


ミチがいる。


ハジメがいる。


オボロがいる。


そして、時間の中で生まれたばかりの子どももいる。


悠真は笑った。


「じゃあ……今は、ここにいる」


その瞬間。


扉が大きく開いた。


「開いた!」


子どもが嬉しそうに叫ぶ。


扉の向こうには、まったく新しい世界が広がっていた。


そこには過去がなかった。


未来も決まっていない。


けれど、今だけは確かに存在している。


地面には一つの小さな石。


空には一つの白い雲。


そして遠くには、まだ誰も住んでいない町。


悠真が一歩踏み出す。


すると地面に文字が浮かんだ。


【今から始める】


ユイが笑う。


「ずいぶんシンプルだね」


「うん」


悠真も笑った。


「でも、今までで一番大事な言葉かもしれない」


子どもが石を拾う。


「これ、どうする?」


悠真は答える。


「好きにしていいよ」


子どもは少し考えて、町の入口に石を置いた。


すると町に小さな明かりが灯った。


一つ。


二つ。


三つ。


誰も住んでいなかった町に、少しずつ「今」が生まれていく。


そのとき、空から一枚の白い紙が落ちてきた。


紙にはこう書かれている。


【この世界には、まだ歴史がありません】


そして、その下に――


【最初の歴史を、誰が作りますか?】


悠真は紙を見つめる。


「誰が……?」


子どもが手を挙げる。


「僕!」


ユイも笑う。


「私も」


ミチも頷く。


「僕も一緒にやる」


ハジメが続く。


「みんなで作ろう」


その瞬間、紙の文字が変わった。


【みんなで作る】


世界に風が吹いた。


町の道が伸びる。


草原が広がる。


遠くに森が生まれる。


そして、空の彼方に新しい星が現れた。


悠真はその星を見上げる。


「ここからまた、新しい歴史が始まるんだ」


しかし――。


星のさらに向こう。


まだ誰にも見つかっていない場所で、一つの小さな光が目を覚ました。


「……ここは、どこ?」


その声と同時に、新しい扉が現れる。


そこには、こう書かれていた。


【第六十四の歴史――最初の歴史を見つける者】


悠真たちの新しい旅が、静かに始まろうとしていた。

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