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姉妹レンタル  作者: なんなん


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今を選ぶ者

悠真たちは、時間の流れる世界に現れた塔へ向かって歩いていた。


隣では、先ほど出会った子どもが楽しそうに歩いている。


「塔の上には何があるのかな?」


「それを確かめに行こう」


悠真が答えた。


やがて塔の入口に到着する。


扉には、こう書かれていた。


【過去を選ぶことはできない】


【未来を完全に選ぶこともできない】


【では、何を選べる?】


ミチが答えを考える。


「……今?」


扉が静かに開いた。


中へ入ると、巨大な部屋があった。


中央には三つの道が伸びている。


一つ目には、


【立ち止まる】


二つ目には、


【進む】


三つ目には、


【戻る】


と書かれている。


子どもが迷う。


「どれを選べばいいの?」


悠真は首を横に振った。


「正解を探さなくてもいいんじゃないかな」


「え?」


「どの道を選ぶかより、自分が今どうしたいかを考えてみよう」


子どもは三つの道を見つめた。


しばらくして――。


「僕は……」


一歩前へ出る。


「ここにいたい」


すると、三つの道の間に、小さな四つ目の道が現れた。


【ここにいる】


「……!」


ユイが驚く。


「選択肢になかった道が出てきた」


オボロが笑った。


「今を選ぶって、用意されたものから選ぶことだけじゃないらしいな」


子どもは新しい道を歩き始めた。


その瞬間、塔全体が明るくなる。


壁に無数の光が現れた。


過去の光。


未来の光。


そして――今の光。


三つは別々に存在しているようで、一本の線につながっていた。


悠真がその線に触れる。


すると、声が響いた。


「過去は記憶になる」


「未来は可能性になる」


「そして今は――」


声が一度途切れる。


「選択になる」


悠真は静かに頷いた。


「だから、今の選択が未来を変えていくんだ」


すると塔の最上階へ続く階段が現れた。


しかし、その階段には文字が一つもない。


ユイが不思議そうに言う。


「今度は名前も説明もないね」


悠真は階段を見上げる。


「きっと、ここから先は……自分たちで確かめる場所なんだ」


一行は階段を上り始めた。


最上階に到着すると、そこには大きな窓があった。


窓の外には、これまで旅してきた無数の世界が見える。


海の未来。


森の未来。


町の未来。


名前のない未来。


選ばれなかった未来。


まだ存在しない未来。


そして――時間が生まれる前の世界。


子どもが驚く。


「全部、つながってる……」


悠真は頷いた。


「どの世界も、誰かが『今』を選んだところから始まったんだ」


そのとき、窓の中央に新しい扉が浮かび上がった。


扉には、こう書かれている。


【第六十三の歴史――今から始まる世界】


悠真は扉に手を伸ばす。


しかし、扉は開かなかった。


「……?」


すると扉から声がする。


「この扉を開けるには、一つだけ必要です」


「何?」


「あなた自身の『今』を選ぶこと」


悠真たちは顔を見合わせた。


これまで数え切れないほどの未来を見てきた。


けれど――


自分たち自身の今を、まだ選んでいなかった。


悠真は静かに目を閉じた。


そして、自分が今したいことを考え始めた。

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