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姉妹レンタル  作者: なんなん


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未来を選べない存在

【第五十八の歴史】


白い道を進んだ悠真たちは、霧に包まれた世界へ入った。


そこには、無数の分かれ道がある。


右へ行く道。


左へ行く道。


真っ直ぐ進む道。


戻る道。


そして、道のない場所。


しかし――。


どの道にも誰も進んでいなかった。


ユイが不思議そうに尋ねる。


「ここにいる人たちは、どうして進まないの?」


すると霧の中から、一つの光が現れた。


「選べないんだ」


「どうして?」


「どの道を選んでも、間違いだったらどうしようって思うから」


悠真は光の前に立った。


「じゃあ、全部の道を見てみるのはどう?」


光が驚く。


「全部?」


「うん。選ぶ前に、少し見てみる」


光は右の道を少しだけ進んだ。


そこには、青い海があった。


「海……」


次に左の道へ。


そこには、深い森。


真っ直ぐな道の先には、大きな町。


戻る道の先には、昔の景色。


光は次々と道を見ていく。


「どれも違う……」


ユイが聞く。


「どれか一つを選ばなくちゃいけないと思ってる?」


「うん」


「でも、今は選ばなくてもいいんじゃない?」


光は黙り込んだ。


悠真が続ける。


「『まだ選ばない』という選択もあるよ」


「でも、それすら選べない……」


その言葉に、悠真は少し考えた。


そして道ではなく、地面を指差した。


「だったら、道じゃないところを歩いてみよう」


光は驚いた。


「道じゃないところ?」


「うん」


光が一歩、草原へ踏み出す。


すると――。


何もなかった場所に、小さな道が生まれた。


「えっ……?」


もう一歩。


また道が生まれる。


三歩目。


さらに道が伸びる。


ユイが笑った。


「選択肢の中から選ぶだけじゃなくて、自分で新しい道を作ることもできるんだ!」


光は少しずつ歩いていく。


海にも行かない。


森にも行かない。


町にも行かない。


ただ、自分が歩きたい場所へ進んでいく。


やがて、そこに小さな丘ができた。


丘の上からは、すべての未来が見える。


光はその景色を見つめた。


「ここがいい」


悠真が聞く。


「ここを未来にする?」


光はうなずいた。


「うん。でも、いつか別の場所へ行きたくなったら、そのときはまた歩く」


その瞬間、丘から無数の道が伸びていった。


海へ。


森へ。


町へ。


まだ存在しない場所へ。


選べなかった光が、自分の道を作ったことで、ほかの未来への道まで生まれたのだ。


世界の意思が静かに言った。


「選べないことは、何もできないことではありませんでした」


悠真が笑う。


「うん。選択肢がなくても、自分で作れる未来があるんだ」


空に文字が浮かんだ。


【未来は、用意された道から選ぶだけではない】


そして――。


【自分で道を作ることも、未来を選ぶこと】


ユイが空を見上げる。


「また新しい未来が生まれたね」


すると、丘の向こうに巨大な光が現れた。


その光は、これまでの未来をすべて映している。


海。


森。


町。


旅。


一人の未来。


みんなの未来。


決めない未来。


選べない未来。


そして、自分で作った未来。


光の中心から、声が響く。


「では――すべての未来が存在したら、その先には何がある?」


悠真は答えを探した。


しかし、まだ答えは見つからない。


やがて光の前に、新しい扉が現れた。


【第五十九の歴史――すべての未来の先】


悠真は扉を見つめる。


「すべての未来の……先?」


ユイが小さくつぶやく。


「その先には、未来じゃない何かがあるのかもしれない」


扉がゆっくり開く。


その向こうには――。


未来も過去も存在しない、不思議な空間が広がっていた。


悠真たちは、新たな世界へ足を踏み入れた。

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