↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉妹レンタル  作者: なんなん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
275/409

そのまま引き継ぐ

【第四十九の歴史】


黒い扉を抜けた悠真たちの前には、小さな町があった。


その町は、さっき世界の意思が作った町とよく似ていた。


けれど、一つだけ違っていた。


町の中央に、大きな広場があり、その真ん中に一本の巨大な木が立っている。


木の枝には、無数の光る実がなっていた。


ユイが見上げる。


「これ……未来なのかな?」


世界の意思が木に近づく。


すると、一つの実が落ちた。


ぽんっ。


地面に触れた瞬間、実から小さな光景が現れる。


そこには海辺の町が映っていた。


「これが、誰かの未来?」


悠真が尋ねる。


木から声がした。


「そう。これは、前の世界から受け継がれた未来です」


悠真は驚いた。


「木が話した?」


「私は、この世界に残された未来を守る木です」


ユイが聞く。


「未来を守るって、どういうこと?」


木は静かに答えた。


「前の世界が大切にしたものを、次の世界へ渡すことです」


悠真は実を一つ見つめた。


「じゃあ、この未来は変えちゃいけないの?」


「いいえ」


木の枝が揺れる。


「未来を受け継ぐとは、同じものをそのまま繰り返すことではありません」


すると、海辺の光景が変わった。


海辺に新しい橋ができる。


町の人々がその橋を渡って、森へ向かっていく。


ユイが気づいた。


「受け継いだ未来に、自分たちの未来を足していくんだ」


「その通りです」


そのとき、町の向こうから数人の住民がやってきた。


一人が木を見上げる。


「僕たちも、この未来を受け継いでいい?」


世界の意思はうなずいた。


「もちろん」


別の住民が聞く。


「でも、僕たちは前の人たちと違う未来を選びたい」


悠真が答える。


「それでもいいと思う」


「前の未来を変えてしまっても?」


「未来は誰か一人の所有物じゃないからね」


その言葉を聞いた木が、大きく枝を広げた。


たくさんの実が光り始める。


海の未来。


森の未来。


町の未来。


旅の未来。


そして――。


まだ決めていない未来。


住民たちは、それぞれ一つずつ実を選んだ。


すると、選ばれた実から新しい道が生まれていく。


しかし、一人だけ実を選ばない住民がいた。


「僕は……まだ決められない」


悠真はその住民に近づいた。


「決めなくてもいいよ」


「でも、みんなは未来を選んでいる」


「だからこそ、君は君の速さで選べばいい」


住民は安心したように笑った。


すると、その人の前にも一つの実が現れた。


そこには、


【まだ選ばない】


と書かれていた。


ユイが笑う。


「それも一つの未来なんだね」


町全体が静かに輝き始める。


そして巨大な木の幹に、新しい文字が刻まれた。


【未来は、受け継いだ瞬間から新しくなる】


悠真はその言葉を読み上げた。


「受け継ぐことは、過去に戻ることじゃない」


世界の意思も続ける。


「次の誰かが、自分の未来を作ることなんだ」


その瞬間――。


町の外に、新しい道が一本現れた。


道の先には、巨大な門がある。


門にはこう書かれていた。


【第五十の歴史――未来を渡す者】


悠真はユイを見る。


「次は、誰に未来を渡すんだろう?」


すると門の向こうから、小さな声が聞こえた。


「僕に……渡してくれる?」


悠真たちは門の前に立った。


そして、ゆっくりと門が開いていく。


その先には――。


まだ誰にも未来を渡されたことのない、真っ白な世界が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。