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姉妹レンタル  作者: なんなん


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第二十六の歴史ーー最後ではない住民

巨大な扉の前に、悠真たちは立っていた。


扉には、


【第二十六の歴史――最後ではない住民】


と刻まれている。


「最後ではない住民……?」


ミチが首をかしげる。


「つまり、この町にはまだ新しい住民が来るってことかな?」


記録者が本を開いた。


しかし、ページは真っ白だった。


「記録できません」


「どうして?」


「この扉の向こうにいる存在が、まだ『住民になる』と決まっていないからです」


すると、先ほど広場にいた【???】の影が前へ出た。


「僕のこと……なのかな?」


悠真が頷く。


「たぶんね」


影は扉に手を触れた。


すると扉に文字が浮かぶ。


【住民になる条件】


その下には、たった一つ。


【ここにいたいと思うこと】


影はしばらく黙った。


「それなら……僕はもう条件を満たしてる」


扉が開いた。


中には、真っ白な部屋があった。


何もない。


机も椅子もない。


ただ、中央に小さな光が浮かんでいる。


影が光を見る。


「……あれは?」


記録者が答える。


「未来の可能性です」


光が三つに分かれた。


一つ目。


【名前を持つ未来】


二つ目。


【名前を持たない未来】


三つ目。


【誰かと一緒に名前を探す未来】


影は三つの光を見つめる。


「どれを選べばいい?」


悠真は答えなかった。


代わりにミチが言った。


「選ばなくてもいいんじゃない?」


「え?」


「僕も最初は未来を一つに決めなかった。探しながら進んだんだ」


影はミチを見る。


「……じゃあ、僕も探す」


三つの光が一つになる。


【未来――探索】


その瞬間、影の姿が少しだけ変わった。


白い服。


少年の姿。


そして胸には、新しい紋章。


【住民候補】


「まだ住民じゃないの?」


ソラが尋ねる。


記録者が答えた。


「本人がまだ、自分で決めていないからです」


少年は頷いた。


「僕は……もう少し、この町を見てから決めたい」


悠真は笑った。


「それでいいよ」


少年と一緒に部屋を出る。


すると――


町が変わっていた。


今までなかった道が、いくつも伸びている。


【名前を探す道】


【未来を探す道】


【記憶を探す道】


【まだ知らないものを探す道】


そして最後に――


【誰も歩いていない道】


「最後の道、なんだろう?」


アオが近づく。


すると道の入り口に、小さな文字が現れた。


【この道には、まだ名前がない】


ミチが笑う。


「この町らしいね」


悠真たちは、その道を歩くことにした。


しばらく進むと、景色が変わった。


町が遠くなる。


空がなくなり、白い霧に包まれる。


やがて霧の中から、古い家が一軒現れた。


家の前には看板がある。


しかし文字は読めない。


記録者が看板を見る。


「……これは、今までの第∞+3世界の文字ではありません」


キオクが看板に触れる。


「記憶にもありません」


イマが周囲を見る。


「今、という感じもしない」


トキの時計も止まっている。


アスが空を見上げた。


「未来も見えない」


悠真は家を見つめた。


「じゃあ、ここは……」


そのとき、家の中から声がした。


「ずっと待っていました」


全員が振り返る。


扉がゆっくり開く。


中には――


一冊の本が置かれていた。


表紙には、


【第∞+3世界――町より前の記録】


と書かれている。


悠真が本を手に取る。


最初のページには、


【この町ができる前、この世界には一つだけ存在していた場所がある】


と書かれていた。


ミチが息をのむ。


「町より前……?」


ページをめくる。


そこには、何もない白い世界の絵。


その中央に、一つだけ小さな点が描かれている。


そして次のページ。


【最初の問い――ここに、誰かいる?】


さらに次。


【答え――まだ分からない】


そして最後のページには――


【だから、町が生まれた】


悠真は本を閉じた。


「町は、最初からあったんじゃない」


「うん」


ミチが答える。


「誰かが『ここに誰かいる?』って尋ねたから始まったんだ」


すると、部屋の奥に新しい扉が現れた。


扉には、


【最初の問いをした者】


と書かれている。


少年が扉を見る。


「この向こうに……僕のことも書いてあるのかな?」


悠真は頷いた。


「確かめてみよう」


扉に手をかける。


その瞬間――


町の時計が、遠くで鳴った。


ゴーン――。


そして空に、新しい文字が浮かぶ。


【第二十六の歴史――最後ではない住民】


【この町には、まだ始まりがある】


扉が開く。


その向こうには――


第∞+3世界が生まれる、さらに前の場所が広がっていた。

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