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姉妹レンタル  作者: なんなん


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未来の自分

「やっと、ここまで来たね」


未来から現れた少年は、静かに笑っていた。


目の前にいる【名前――未定】の少年と、姿はほとんど同じ。


ただ一つ違うのは、その胸にある紋章だった。


【名前――決定済み】


【未来――進行中】


少年は驚いた。


「君は……僕なの?」


未来の少年は少し考えてから答えた。


「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」


ミチが首をかしげる。


「どういうこと?」


「僕は、君がこれから選ぶ未来の一つ」


悠真たちは息をのんだ。


未来の少年は続ける。


「君が必ず僕になるわけじゃない。でも、君が選択を重ねれば、僕のような未来にたどり着く可能性がある」


アスが頷いた。


「つまり、未来の一例なんだね」


「そう」


少年は未来の自分を見る。


「じゃあ……僕の名前を知っているの?」


未来の少年は微笑んだ。


「知っているよ」


「教えて!」


未来の少年は首を横に振った。


「それはできない」


「どうして?」


「僕が名前を教えたら、それは君が自分で選んだ名前じゃなくなるから」


少年は黙った。


悠真が優しく言う。


「名前を教えてもらうんじゃなくて、自分で見つけるんだね」


「うん」


未来の少年が頷く。


すると空間に無数の光が現れた。


【名前を与えられた未来】


【名前を失った未来】


【名前を変えた未来】


【名前を選び直した未来】


【名前を持たない未来】


そして最後に――


【自分で名前を選んだ未来】


未来の少年が言う。


「僕がたどり着いたのは、最後の未来」


少年はその文字を見つめた。


「じゃあ……僕にも、いつかできる?」


「できるよ」


「いつ?」


「君が『この名前で未来へ進みたい』と思ったとき」


その瞬間、未来の少年の姿が少しずつ薄くなり始めた。


「待って!」


少年が手を伸ばす。


未来の少年は笑った。


「大丈夫。また会える」


「本当に?」


「うん。君が未来を選び続ける限り」


光が消える。


そこには、一枚の白い紙だけが残った。


紙には、


【未来の自分からの記録】


と書かれている。


記録者が読み上げる。


「『名前は未来を決めるものではない。未来へ進む自分を、自分自身で呼ぶためのもの』」


ミチが笑った。


「前に聞いた言葉と似ているね」


キオクが頷く。


「この世界では、同じ答えが何度も別の形で現れるのかもしれません」


そのとき。


少年の前に、小さな光が浮かんだ。


そこには一文字だけが表示されていた。


【名】


少年は光を見つめる。


そして、初めて自分から声に出した。


「……僕にも、いつか名前をつける」


光が強く輝いた。


【名前――未定】


その文字は変わらなかった。


けれど、その下に新しい文字が加わった。


【名前を選ぶ意思――確認】


悠真が笑う。


「一歩進んだね」


少年も笑った。


「うん」


すると突然、大地が揺れた。


ゴゴゴゴゴ……。


アカリが周囲を見る。


「何が起きてるの?」


空に巨大な時計が出現した。


トキの時計も激しく動き始める。


カチッ。


カチッ。


カチッ。


そして空に、新しい文字が浮かび上がった。


【第十七の歴史――未来の自分との約束】


少年が空を見上げる。


その瞬間、遠くの未来に小さな光が生まれた。


その光から、未来の少年の声が聞こえる。


「いつか、自分の名前を選んだら――」


声が途切れる。


そして最後の言葉だけが残った。


「その名前で、僕に会いに来て」


少年は力強く頷いた。


「約束する」


すると、空に一本の新しい道が現れた。


その先には、まだ誰も見たことのない世界。


【未来の自分が待つ場所】


悠真たちは顔を見合わせる。


そして、少年とともに、その道を歩き始めた。


第十七の歴史が、始まった。

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