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???の名前

【???】


巨大な扉の奥に浮かんだ三つの記号。


少年は、その文字をじっと見つめていた。


「……僕の名前を知っているって言ったよね?」


返事はない。


代わりに、扉の奥から一冊の本がゆっくりと現れた。


表紙には、


【名前を知る者】


と書かれている。


記録者が本を受け取る。


「この本にも……名前がありません」


キオクが尋ねた。


「誰かが名前を消したの?」


「いいえ」


記録者は首を横に振る。


「最初から、書かれていないようです」


少年は本を開いた。


一ページ目。


【この存在には、名前がない】


二ページ目。


【しかし、この存在を知る者はいる】


三ページ目。


【名前を知る者は、未来にいる】


少年が驚く。


「未来に……僕を知っている人がいる?」


アスが頷いた。


「未来の誰かが、君の名前を知っている可能性はあるね」


ミライが本を覗き込む。


「でも、まだ存在していない未来なんだよね?」


「そう」


「じゃあ、その未来にいる人も、まだ存在していないのかも」


その瞬間、本のページが勝手にめくれた。


【名前を知る者は、まだ存在していない】


全員が黙った。


ハジメが小さく笑う。


「未来が先に、名前を知っている……」


ミチが考え込む。


「それって、未来が現在を待っているってこと?」


すると、少年の胸の紋章が輝いた。


【未来――探索中】


その下に、新しい文字が現れる。


【名前――???】


少年は自分の胸に手を当てた。


「僕には名前があるの?」


悠真は答える。


「あるかもしれない。でも、今の君が自分で選ぶまでは、誰にも決められないと思う」


少年は頷いた。


「じゃあ、探してみる」


その瞬間、空間に一本の道が現れた。


道の先には、三つの門。


【過去】


【現在】


【未来】


しかし、その三つの門の中央に、小さな第四の門があった。


【名前】


少年が近づく。


すると第四の門だけが開いた。


中には、無数の名前が浮かんでいた。


【ソラ】


【アオ】


【ミチ】


そして――まだ誰にも選ばれていない名前。


少年は一つ一つ眺める。


だが、どれもしっくりこない。


「違う……」


名前の光が消えていく。


最後に残ったのは、真っ白な光だった。


その光から声がする。


「名前は、見つけるものではありません」


少年が顔を上げる。


「じゃあ、何?」


「自分が、未来へ向かうときに呼ぶものです」


少年はしばらく考えた。


そして白い光に手を伸ばした。


「僕は……まだ、自分の名前を決められない」


光は消えなかった。


「でも」


少年は続ける。


「いつか、自分で決めたい」


その瞬間、白い光が少年の胸へ入っていった。


【名前――未定】


【未来――自分で選ぶ】


【存在――確認】


記録者が本に書き込む。


【第十六の歴史――自分を探す者】


その直後。


遠くの空間に、巨大な星が現れた。


星には一つの文字が刻まれている。


【名】


しかし、その星の隣にもう一つの星が現れた。


【未】


二つの星はゆっくり近づき――


一つになった。


【名前――未定】


少年はその光を見つめる。


「名前がないことも……僕の今なんだね」


悠真が頷く。


「うん。そして、今は未来に続いている」


そのとき、先ほどの謎の声が再び響いた。


「そうです」


全員が振り返る。


「あなたの名前は、まだ誰にも決められていない」


「……じゃあ、誰が僕の名前を知っているの?」


しばらく沈黙が続く。


そして声は、静かに答えた。


「――未来のあなたです」


少年の目が大きく開く。


「未来の……僕?」


巨大な扉の向こうに、もう一人の人影が現れた。


姿は少年と同じ。


しかし、その胸には――


【名前――???】


ではなく、


【名前――決定済み】


と表示されていた。


そして、その人物がゆっくりこちらを振り返った。


「やっと、ここまで来たね」


第十六の歴史に、新たな未来が動き始めた。

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