差出人の願い
翌朝。
「これ以上、この町に関わらないでください。」
無記名の手紙を見つめ、みんなは黙り込んだ。
あかりが不安そうに言う。
「私たち、何か悪いことしちゃったのかな……。」
さくらは首を横に振った。
「まだそう決めつけるのは早いよ。」
ひまりも冷静に言う。
「……誰かが困っていて、この手紙を書いた可能性もある。」
悠真は手紙を丁寧に封筒へ戻した。
「まずは相手の気持ちを知ろう。」
「思い込みで動くのはやめよう。」
みんなはうなずいた。
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その日も「みんなのリビング」はいつもどおり開かれた。
子どもたちが遊び、お年寄りがお茶を飲み、町の人たちも少しずつ立ち寄るようになっていた。
すると、一人の年配の女性がやってきた。
「この手紙のこと、聞いたよ。」
女性はゆっくり話し始めた。
「この町には、一人で暮らしている人が多いんだ。」
「人と関わるのが苦手な人もいる。」
「だから急ににぎやかになると、不安に感じる人もいるのさ。」
悠真は深くうなずいた。
「教えてくださってありがとうございます。」
「私たちは、この町を変えたいわけではありません。」
「この町の人たちに合った形で、少しずつ居場所を作れたらと思っています。」
女性は穏やかに笑った。
「その言葉を聞けて安心したよ。」
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夕方。
広場のベンチに、一人で座る少年がいた。
蓮だった。
「どうした?」
悠真が隣に座る。
蓮は小さく笑う。
「この町の人たちも、昔の俺みたいだね。」
「人と話すのが怖いんだ。」
悠真も笑った。
「そうかもしれない。」
「だからこそ、急がなくていい。」
そのとき、広場の入口から一人の男性が歩いてきた。
昨日まで一度も立ち寄らなかった男性だった。
「……少しだけ、見学してもいいですか。」
悠真は笑顔で答える。
「もちろんです。」
その一歩をきっかけに、少しずつ町の人たちも中へ入ってきた。
誰も急がない。
誰も無理をしない。
それでも、小さな輪は少しずつ広がっていった。
その様子を、物陰から見つめる人影があった。
手紙を書いた人物らしきその人は、小さくつぶやく。
「……もう少しだけ、信じてみようかな。」
風が優しく吹き抜け、広場には子どもたちの笑い声が響いていた。




