表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/120

差出人の願い

翌朝。


「これ以上、この町に関わらないでください。」


無記名の手紙を見つめ、みんなは黙り込んだ。


あかりが不安そうに言う。


「私たち、何か悪いことしちゃったのかな……。」


さくらは首を横に振った。


「まだそう決めつけるのは早いよ。」


ひまりも冷静に言う。


「……誰かが困っていて、この手紙を書いた可能性もある。」


悠真は手紙を丁寧に封筒へ戻した。


「まずは相手の気持ちを知ろう。」


「思い込みで動くのはやめよう。」


みんなはうなずいた。



---


その日も「みんなのリビング」はいつもどおり開かれた。


子どもたちが遊び、お年寄りがお茶を飲み、町の人たちも少しずつ立ち寄るようになっていた。


すると、一人の年配の女性がやってきた。


「この手紙のこと、聞いたよ。」


女性はゆっくり話し始めた。


「この町には、一人で暮らしている人が多いんだ。」


「人と関わるのが苦手な人もいる。」


「だから急ににぎやかになると、不安に感じる人もいるのさ。」


悠真は深くうなずいた。


「教えてくださってありがとうございます。」


「私たちは、この町を変えたいわけではありません。」


「この町の人たちに合った形で、少しずつ居場所を作れたらと思っています。」


女性は穏やかに笑った。


「その言葉を聞けて安心したよ。」



---


夕方。


広場のベンチに、一人で座る少年がいた。


蓮だった。


「どうした?」


悠真が隣に座る。


蓮は小さく笑う。


「この町の人たちも、昔の俺みたいだね。」


「人と話すのが怖いんだ。」


悠真も笑った。


「そうかもしれない。」


「だからこそ、急がなくていい。」


そのとき、広場の入口から一人の男性が歩いてきた。


昨日まで一度も立ち寄らなかった男性だった。


「……少しだけ、見学してもいいですか。」


悠真は笑顔で答える。


「もちろんです。」


その一歩をきっかけに、少しずつ町の人たちも中へ入ってきた。


誰も急がない。


誰も無理をしない。


それでも、小さな輪は少しずつ広がっていった。


その様子を、物陰から見つめる人影があった。


手紙を書いた人物らしきその人は、小さくつぶやく。


「……もう少しだけ、信じてみようかな。」


風が優しく吹き抜け、広場には子どもたちの笑い声が響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ