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姉妹レンタル  作者: なんなん


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最初の名前

第七の歴史――名前を持たない者たち。


無数の白い扉が並ぶ空間で、たくさんの小さな光が浮かんでいた。


「名前が……ほしい」


「自分が誰なのか、知りたい」


「未来を見つけたい」


そんな声が、あちこちから聞こえてくる。


悠真は一つ一つの光を見つめた。


「でも、名前は誰かに決めてもらうものじゃないんだよね」


記録者が静かにうなずく。


「そうです。名前は、その存在自身が自分を呼ぶための最初の言葉です」


ミチも二人の仮住民の少年を見る。


一人の紙には【未】。


もう一人の紙には【??】。


まだ、二人とも自分の名前を決められていない。


「じゃあ……どうすればいいんだろう?」


ミチが尋ねた。


その瞬間――。


一番小さな光が、ふわりと前へ進んだ。


「ぼく……」


光が震える。


「ぼくは、名前を決めてみたい」


悠真は笑顔で答えた。


「うん。ゆっくりでいいよ」


光はしばらく黙っていた。


そして――。


「……ソラ」


その言葉が空間に響いた。


すると、白い紙に一文字ずつ文字が浮かび上がっていく。


【ソラ】


光は少年の姿へと変わった。


白い服を着た、小さな男の子だった。


「これが……ぼく?」


記録者の本が開く。


【新規住民――ソラ】

【名前――自己選択】

【未来――未定】

【過去――これから記録される】


ソラは自分の名前を見つめて、嬉しそうに笑った。


「ぼくは、ソラ……」


その瞬間、空間に変化が起きた。


一つの扉が青く輝く。


続いて、別の光が声を上げた。


「じゃあ、私も考えてみる!」


「僕も!」


「私も自分で決めたい!」


無数の光が、それぞれの場所へ進み始める。


しかし、すぐに名前を決められる者ばかりではなかった。


「まだ分からない……」


「何と呼べばいいのか、分からない」


「決めるのが怖い」


悠真はその声にも答えた。


「決めなくても大丈夫だよ」


「……え?」


「名前を決めないことも、自分で選んだことだから」


ミチも頷いた。


「僕だって、まだ決めてないからね」


最初の仮住民の少年は、自分の紙を見る。


【未】


そして、もう一人を見る。


【??】


「……僕たちは、まだ名前がない」


「うん」


「でも、名前がないからって、ここにいてはいけないわけじゃないんだね」


悠真は答えた。


「もちろんだよ」


その言葉に、二人の紋章が淡く輝いた。


【名前――未定】

【存在――確認】

【未来――継続】


そのとき、ソラが二人の前へやってきた。


「僕も最初は名前がなかったよ」


二人がソラを見る。


「でも、自分で選んだら、ソラになった」


そしてソラは空間いっぱいに広がる無数の光を指差した。


「みんなも、いつか自分で見つけるんだよ」


その言葉に、白い扉が次々と開いていく。


扉の向こうには、それぞれ違う景色が見えていた。


海。


森。


星空。


街。


未来の町。


まだ何もない真っ白な世界。


記録者が驚いた声を出す。


「名前を持つことで、未来への扉が増えています」


イマが微笑む。


「名前が、現在を作ったんだね」


トキも時計を見つめる。


「そして、時間も進み始めた」


アスが空を見上げる。


「未来も増えてる」


ミライは静かに言った。


「でも……まだ決まってはいない」


その瞬間、空に大きな文字が浮かんだ。


【第七の歴史――最初の名前】


そして、その下に新しい一文が現れる。


【名前を持つことは、未来を決めることではない】


【名前を持つことは、未来を探す自分を見つけること】


悠真はその文字を見上げた。


「なるほど……」


ハジメが笑う。


「じゃあ、ここからが本当の始まりなんだね」


その瞬間――。


空間の奥に、これまで存在しなかった巨大な扉が現れた。


扉には、こう書かれている。


【第八の歴史――自分で自分を呼ぶ】


ミチが目を輝かせる。


「次は……名前を持った人たちの未来?」


悠真は頷いた。


「行ってみよう」


ソラも一緒に歩き出す。


そして、まだ名前のない二人の少年も、その後ろを歩く。


一人の紙には【未】。


もう一人の紙には【??】。


二人の名前は、まだ決まっていない。


けれど――。


二人の未来は、確かに動き始めていた。


巨大な扉が、ゆっくりと開く。


その向こうから、新しい世界の風が吹いてきた。


第∞+3世界。


第七の歴史は、ここから次の歴史へつながっていく――。

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