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姉妹レンタル  作者: なんなん


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222/413

未来を選べない者

第∞+3世界。


未来相談所の中から聞こえてきた声。


「……僕の未来も、誰かが決めてくれるの?」


悠真たちは顔を見合わせた。


ミチが本をそっと開く。


「大丈夫。ここにいるよ」


すると、本のページが淡く光り始めた。


ページの上に、一人の少年の姿が映し出された。


少年は白い服を着ていて、顔を伏せている。


「僕には、未来がありません」


ミチが尋ねる。


「どうして?」


少年は答えた。


「僕が生まれる未来が、まだ選ばれていないからです」


記録者が本を調べる。


「この存在は……住民登録されていません」


キオクも記録を確認する。


「過去にも名前がない」


イマが続ける。


「現在にもいない」


トキが時計を見る。


「未来にも、まだ存在していない……」


少年は小さくうなずいた。


「だから僕は、どこにもいないんです」


ミチはしばらく黙っていた。


そして少年に言った。


「じゃあ、僕と一緒に未来を探そう」


少年が顔を上げる。


「……僕と?」


「うん。一人で決めなくてもいいんだよ」


その瞬間、未来相談所の本が大きく輝いた。


――ピカッ!


少年の前に、三つの光が現れる。


一つ目。


【未来を待つ】


二つ目。


【誰かに未来を決めてもらう】


三つ目。


【みんなと未来を探す】


少年は三つの光を見つめる。


けれど、手を伸ばさない。


「……僕、選べません」


ミチが笑う。


「じゃあ、今は選ばなくていいよ」


「え?」


「未来を選べないことだって、未来の一つじゃないかな」


悠真が頷く。


「そうだね。『今は決めない』という選択もある」


すると三つの光が一つに重なった。


【未来――未定】


少年の胸に、小さな紋章が浮かぶ。


記録者が驚く。


「仮住民紋章……!」


ハジメが近づく。


「名前は?」


少年は首を横に振った。


「まだありません」


ミチが笑う。


「じゃあ、名前も一緒に探そう」


その言葉に、少年の表情が初めて明るくなった。


未来相談所の壁が開く。


その向こうには、無数の道が広がっていた。


街へ向かう道。


森へ向かう道。


海へ向かう道。


空へ向かう道。


そして、まだ誰も歩いたことのない道。


少年はその道を見つめる。


「僕……この先を見てみたい」


悠真が答える。


「それなら、もう未来は始まってるよ」


少年が一歩踏み出した。


――その瞬間。


未来の木に、新しい葉が生まれた。


そこには、


【第五の歴史――未来を選べない者も、未来を持つ】


と刻まれた。


さらに、少年の前に小さな道標が現れる。


【名前を探す道】


少年は道標を見つめる。


「僕の名前……自分で見つけてもいいのかな?」


ミチが頷く。


「もちろん」


少年は初めて笑った。


「じゃあ……探してみます」


その瞬間、遠くの空に新しい星が現れた。


星の下には、まだ誰にも読めない文字。


――【???】


そして未来の木のさらに奥で、


第∞+3世界ではまだ存在しないはずの――


「第六の歴史」の鐘が鳴り始めた。


ゴーン……。


ゴーン……。


悠真たちは顔を上げる。


新しい歴史が、また始まろうとしていた。

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