誰かと選ぶ未来
第∞+3世界。
未来の木の向こうに現れた扉。
【第四の歴史――誰かと選ぶ未来】
悠真たちは、その扉をゆっくり開いた。
その先に広がっていたのは、広大な草原だった。
しかし、不思議なことに草原には道が一本もない。
ノノが周囲を見回す。
「道が……ないね」
「うん」
ミチも首をかしげる。
すると、空から一枚の白い葉が落ちてきた。
葉には文字が浮かんでいる。
【未来は、一人では完成しない】
その瞬間、草原に二つの光が現れた。
一つはミチの光。
もう一つは――悠真の光だった。
二つの光の間に、細い道が伸びる。
ミチが驚く。
「僕の未来と、悠真さんの未来がつながった……?」
記録者が答える。
「二人の選択が重なったことで、新しい可能性が生まれました」
アカリが別の場所へ歩く。
すると、アカリの光から新しい道が伸びた。
シンも歩く。
オボロも歩く。
キボウ、レイン、ユラ、アオ、アス、ミライ、キオク、イマ、トキ、ハジメも続く。
それぞれの光から道が伸びていく。
やがて――。
すべての道が草原の中央で一つにつながった。
そこに、小さな町が現れた。
家。
広場。
図書館。
展望台。
そして、未来の木。
ハジメが目を輝かせる。
「新しい町ができた!」
記録者が記録する。
【第四の歴史――共同選択による町の誕生】
ミチは町を見つめながら言った。
「僕一人だったら、こんな町にはならなかった」
悠真が笑う。
「だから『誰かと選ぶ未来』なんだね」
すると町の中央に大きな時計が現れた。
時計の針は動いていない。
文字盤には、
【次に何をする?】
と書かれている。
アカリが笑う。
「また選択だね」
ミチが時計の前に立つ。
「じゃあ、今度はみんなで決めませんか?」
全員が頷いた。
町に何を作るのか。
どこへ道をつなぐのか。
どんな場所にするのか。
誰が住むのか。
いろいろな意見が出る。
けれど、なかなか一つに決まらない。
すると悠真が言った。
「全部作ればいいんじゃない?」
「全部?」
「未来を一つに決めなくてもいい。みんなの希望をつなげていけばいいんだよ」
その言葉に、時計が動き始めた。
カチッ。
カチッ。
カチッ。
町が大きく広がっていく。
図書館から森へ。
森から海へ。
海から空へ。
空から、まだ見ぬ場所へ。
記録者の本に、新しい文章が刻まれる。
【第四の歴史――未来は、一つに決める必要はない】
その直後。
町の中心に、見たことのない建物が現れた。
看板には――
【未来相談所】
と書かれている。
ミチが首をかしげる。
「未来相談所……?」
扉がひとりでに開く。
中には誰もいない。
ただ、机の上に一冊の本が置かれていた。
表紙には、
【まだ未来を選べない人へ】
と書かれている。
ミチが本を開こうとした瞬間――。
ページの向こうから、小さな声が聞こえた。
「……僕の未来も、誰かが決めてくれるの?」
全員が顔を見合わせる。
本の中に――誰かがいる。
そして、その声の主はまだ、この世界の住民として登録されていなかった。
未来の木が大きく揺れる。
新たな葉が芽吹いた。
そこには、
【第五の歴史――未来を選べない者】
と刻まれていた。




