自分の未来
第∞+3世界。
大きな塔の前に現れた小さな扉。
そこには、はっきりとこう書かれていた。
――「あなたの未来」。
ミチは扉を見つめた。
「これが……僕の未来?」
悠真がうなずく。
「たぶんね。でも、この世界では未来は決まっていない。だから、扉の向こうに答えがあるとは限らないよ」
「答えが……ない?」
「うん。自分で見つけるんだと思う」
ミチは少し考えた。
そして、ゆっくりと扉を開いた。
――カチッ。
扉の向こうには、一本の道があった。
道は途中で五つに分かれている。
一つ目は、大きな街へ続く道。
二つ目は、深い森へ続く道。
三つ目は、遠い海へ続く道。
四つ目は、空へ伸びる道。
そして五つ目は――何もない白い道だった。
ミチは驚いた。
「これ……全部、僕の未来なの?」
記録者が静かに答える。
「可能性として存在しています。ですが、どれも確定していません」
アスが道を眺める。
「未来って、こんなにたくさんあるんだ」
ミライも頷いた。
「選ぶこともできるし、途中で変えることもできるんだね」
ミチは五本の道を見つめた。
街へ行けば、たくさんの人と出会える。
森へ行けば、知らないものを発見できる。
海へ行けば、まだ見ぬ世界がある。
空へ行けば、誰も見たことのない場所へ行ける。
そして白い道には――何もない。
「僕は……どれを選べばいいんだろう」
ハジメが言った。
「選ばなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「僕も最初は、何も決まってなかった。でも、そこから自分で世界を見つけていったんだ」
ミチは白い道を見る。
何もない。
だからこそ、どこへでも行ける。
「……だったら」
ミチは一歩、白い道へ踏み出した。
その瞬間――。
五本の道が消えた。
「えっ?」
全員が驚く。
だが、消えたのではなかった。
五つの道は一本の道へと重なっていた。
街にも、森にも、海にも、空にもつながっている。
さらに、その先には新しい道が伸びていた。
ミチは笑った。
「僕、決めました」
悠真が尋ねる。
「何を?」
「未来を一つ選ぶんじゃなくて……未来を探し続けます」
その瞬間、塔の鐘が鳴り響いた。
――ゴーン……。
空に文字が浮かぶ。
【第二の歴史・個人の未来――確定】
続いて、もう一つの文字が現れた。
【ミチの未来――探索】
ミチの胸の紋章が強く輝いた。
記録者が新しいページを開く。
そこには、まだ何も書かれていない。
「このページは?」
悠真が聞く。
記録者は答えた。
「ミチがこれから作る未来です。まだ何も起きていません」
ミチは嬉しそうにページを見る。
「じゃあ、僕が書いていくんですね」
「はい」
そのとき、白い道の先から声がした。
――「未来を探す者よ」
全員が振り向く。
遠くに、巨大な門が現れていた。
門には、
【第三の歴史――未来を共有する場所】
と刻まれている。
ハジメが目を輝かせる。
「未来を……共有する?」
悠真は門を見つめた。
ミチも一歩前へ出る。
「行ってみたいです」
そして一行は、まだ誰も知らない第三の歴史へ向かって歩き始めた。
その瞬間。
ミチが選んだ道の上に、新しい星が一つ生まれた。
その星の名前は――
まだ、誰にも決められていなかった。




