第二の歴史
第∞+3世界に、最初の歴史が刻まれた。
『第一の歴史――発見』
そして、彼らの前には巨大な塔がそびえていた。
その塔の頂上には、∞+3の紋章。
ハジメが塔を見上げる。
「この塔には、何があるんだろう?」
カイが魔導書を開く。
「記録によれば――」
ページに文字が浮かんだ。
『第二の歴史――開始地点』
「開始地点?」
悠真が首をかしげる。
すると、隣にいた少年が塔を見つめた。
「……僕、あの塔を知ってる気がする」
「え?」
少年自身も驚いた。
「知らないはずなのに……懐かしい」
キオクが少年の顔を見る。
「もしかすると、あの塔が君の誕生に関係しているのかもしれない」
一行は塔へ向かった。
巨大な扉の前に立つ。
扉には、
『住民の名前を決める』
と書かれていた。
少年が驚く。
「僕の名前?」
ハジメがうなずく。
「まだ決まってないからね」
扉が開く。
中には、たくさんの光が浮かんでいた。
『空』
『星』
『海』
『森』
『未来』
『記憶』
『希望』
『発見』
そして、一番奥には――。
『???』
という光があった。
悠真が少年を見る。
「どれがいい?」
少年はしばらく考えた。
「僕は……まだ知らないものを見つけたい」
アカリが笑う。
「それなら『発見』?」
少年は首を横に振った。
「発見は、この世界そのものの名前みたいだから」
「じゃあ?」
少年は、窓の外を見た。
塔の向こうには、まだ誰も歩いていない道が続いている。
「僕は……『ミチ』がいい」
その瞬間、光が少年を包んだ。
『新規住民――名称確定』
『名称――ミチ』
少年の胸に名前が刻まれる。
「ミチ……」
少年は嬉しそうに自分の名前を呼んだ。
「僕は、ミチ」
すると塔全体が輝き始めた。
しかし――。
カイの魔導書が突然、大きな音を立てて閉じた。
「何?」
悠真が尋ねる。
カイがもう一度開く。
そこには、今まで存在しなかった記録が現れていた。
『第∞+3世界――第二の歴史』
『名前を持つ住民が生まれた』
『これにより、この世界には「個人の未来」が発生する』
ミライが驚く。
「個人の未来……」
ミチが自分の胸に手を当てる。
「僕にも、未来があるの?」
アスが答えた。
「あるよ。でも、まだ決まってない」
「じゃあ、僕は何をするんだろう?」
悠真が笑う。
「それを探すのが旅なんじゃないかな」
ミチは嬉しそうにうなずいた。
そのとき。
塔の最上階から鐘の音が響いた。
ゴーン……。
世界中に音が広がる。
すると空に、新しい文字が浮かび上がった。
『第二の歴史――確定』
『個人の未来――発生』
『次の発見――開始』
そして、塔の上空に一本の道が現れた。
その道は空へ向かって伸びている。
レインが空を見上げる。
「空の上にも……世界があるのかな」
記録者が本を閉じた。
「記録では、存在しません」
オボロが言う。
「でも、存在しないとは限らない」
悠真は空へ伸びる道を見つめた。
「行ってみよう」
ハジメが笑う。
「うん!」
ミチも一緒に歩き出す。
しかし、空への道を数歩進んだところで――。
ミチの足元に、小さな扉が現れた。
そこには一言。
『あなたの未来』
ミチが立ち止まる。
「……僕の未来?」
扉の向こうから、声が聞こえた。
「ミチ――」
「君が最初に選ぶ未来は、もうすぐそこです」
ミチは扉を見つめる。
そして、ゆっくり手を伸ばした。
その瞬間。
第∞+3世界の空に、見たことのない星が一つ生まれた。
その星には――。
まだ誰も知らない未来が眠っていた。




