秘密のルール
翌朝。
「お兄ちゃん、朝ごはんできてるよー!」
さくらの元気な声で、悠真は目を覚ました。
食卓には焼き魚、味噌汁、卵焼きまで並んでいる。
「すごい……本当に家族みたいだ。」
「今日は学校も一緒に行こう!」
さくらが笑うと、ひまりはそっぽを向いた。
「……遅れたら置いていくから。」
三人は並んで学校へ向かう。
その様子を見たクラスメイトは大騒ぎだ。
「悠真、お前いつの間に妹が二人もできたんだ!?」
「いや、説明すると長くて……。」
さくらはにこにこ笑顔で、
「今日からお兄ちゃんの姉です!」
と言い、さらに混乱を招いてしまう。
昼休み。
屋上でお弁当を食べていると、ひまりが小さな封筒を差し出した。
「昨日言ってた契約書。」
悠真が開くと、そこには三つのルールが書かれていた。
一、 本当の家族ではないことを自分から他人に話してはいけない。
二、 姉妹のどちらかを傷つけるような行動をしてはいけない。
三、 契約期間中に、本気の恋心を隠し続けてはいけない。
「えっ!? 三つ目、おかしくない!?」
悠真が声を上げると、さくらは少し照れながら笑った。
「そのルールだけは昔から変えられないんだって。」
ひまりは小さくつぶやく。
「……だから毎回、契約が途中で終わる人が多いの。」
「どういうこと?」
「誰かが恋をしても言えなかったり、逆に言ってしまったり……いろいろあるの。」
悠真は契約書を見つめた。
「こんなルール、本当に守れるのか……。」
そのとき、屋上のドアが勢いよく開いた。
「悠真くーん!」
現れたのは、幼なじみの**結城美咲**だった。
美咲は、悠真の隣にいる二人を見て目を丸くする。
「えっ……そのかわいい子たちは誰?」
さくらとひまりは顔を見合わせ、同時に答えた。
「私たち、お兄ちゃんの家族です!」
美咲の表情が固まる。
「……家族?」
静かな風が屋上を吹き抜けた。
波乱の予感とともに、新たな恋の歯車がゆっくりと動き始める――。




