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姉妹レンタル  作者: なんなん


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未来領域への扉

「未来領域……」


悠真は、目の前に開いた巨大な扉を見つめた。


扉の向こうには、無数の星が浮かんでいる。


しかし、普通の星空ではなかった。


一つ一つの星が、それぞれ違う未来を映している。


「すごい……」


アオが目を輝かせる。


「星の中に、町が見えるよ!」


「こっちには海がある!」


ミライも別の星を指差した。


「未来が、星になっているんだ」


アカリがつぶやく。


未来から来た少年は、黙ったまま扉を見つめていた。


「……僕は、この場所を知っている」


悠真が振り返る。


「来たことがあるの?」


「いや」


少年は首を横に振った。


「僕の記憶の中にあるんだ。でも……僕がいた未来とは少し違う」


キオクが少年の隣に立つ。


「未来にも、記憶があるんだね」


「うん。でも僕の記憶も、一つの未来にすぎない」


その言葉を聞いた記録者が静かに口を開いた。


「それが、未来領域の特徴です」


「特徴?」


「ここでは、起こった未来と、起こらなかった未来の境界がありません」


記録者が手を伸ばす。


すると、目の前に二つの景色が現れた。


一つは、大勢の住民が暮らす明るい都市。


もう一つは、誰もいない静かな荒野。


「どちらも未来です」


シンが尋ねる。


「では、どちらが本物なのですか?」


記録者は答えた。


「まだ、どちらも本物ではありません」


悠真はその言葉を聞いて、少し考えた。


「つまり……選ばれた未来が、初めて現実になる」


「その通りです」


その瞬間、未来領域全体が揺れた。


ズズズズ……。


空に黒い線が走る。


そして、無数の未来の星が一斉に一つの方向へ動き始めた。


「何が起きてるの!?」


ノノが叫ぶ。


カイが魔導書を開く。


「未来が……一つに集められている!」


「まさか、未来固定装置が?」


ミオが尋ねる。


「違う」


少年が答えた。


「これはもっと大きい」


少年は震える手で空を指差した。


星々の中心に、巨大な時計が現れていた。


その時計の針は、未来へ進むのではなく――。


逆向きに動いている。


「未来が……過去へ戻っている?」


オボロが驚く。


「そんなことができるのか?」


記録者が答える。


「通常なら不可能です」


「通常なら?」


悠真が聞き返す。


記録者は時計を見つめた。


「第∞+1世界には、まだ完成していない法則があります」


「完成していない法則?」


「未来と過去の境界です」


その言葉と同時に、キオクの胸の∞+1の紋章が輝いた。


「僕が……関係している?」


「そうです」


記録者がうなずく。


「あなたは過去から生まれた住民。そして彼は未来から来た住民」


記録者が少年を見る。


「二人が同時に存在したことで、この世界の過去と未来が直接つながったのです」


「じゃあ……」


悠真が空を見る。


「僕たちは、今までよりもっと自由に未来を選べるってこと?」


「いいえ」


記録者は首を横に振った。


「逆です」


その瞬間、巨大な時計が止まった。


世界から、音が消える。


「過去と未来が直接つながったことで――」


記録者が言った。


「まだ選ばれていない未来まで、現在に影響を与え始めています」


空に無数の未来が流れ込んでくる。


町が一瞬だけ現れて消える。


知らない住民が現れて消える。


見たことのない建物が現れて消える。


そして――。


悠真たち自身の姿まで現れた。


別の未来の悠真。


別の未来のノノ。


別の未来のアカリ。


無数の「可能性の自分たち」が、未来領域を歩いている。


「僕たちが……いっぱい?」


ノノが驚く。


悠真は別の自分を見つめた。


その未来の悠真は、こちらを見て笑っていた。


そして、口を動かす。


「選んで」


声は聞こえなかった。


だが、意味だけは伝わってきた。


未来から来た少年が、悠真を見る。


「僕も……選ばなきゃいけないんだ」


「何を?」


少年は自分の胸に手を当てる。


「自分が、どの未来の自分になるのか」


すると、少年の前に三つの扉が現れた。


『帰る』


『残る』


『新しい未来へ進む』


少年は三つの扉を見つめる。


しばらく迷ったあと――。


「僕は……」


ゆっくりと三つ目の扉へ手を伸ばした。


「まだ誰も見たことのない未来へ行きたい」


扉が光り始める。


そして、その瞬間。


少年の胸に、新しい文字が浮かんだ。


『名前を選択してください』


少年は空を見上げる。


「僕の名前……」


星の一つが、彼の前へ降りてくる。


少年はその星を両手で包んだ。


「未来って、まだ何色か分からないんだよね」


悠真がうなずく。


「うん」


「じゃあ……」


少年は笑った。


「僕の名前は――『アス』がいい」


『アス』


それは、彼がこれから向かう未来を表す名前だった。


『第五住民――名称確定』


『名前:アス』


『未来:未定』


『役割:未来探索者』


その瞬間、未来領域のすべての星が輝いた。


しかし――。


巨大な時計の奥から、別の声が響く。


「未来を選んだか……」


悠真たちは振り返る。


時計の中心に、黒い人影が立っていた。


「ならば次は――」


黒い影が手を掲げる。


「この世界そのものの未来を選んでもらおう」


空に巨大な文字が浮かび上がった。


『第∞+1世界――世界の未来を選択してください』


そして、その下に三つの選択肢が現れた。


『一つの完成された世界』


『無限の可能性が残る世界』


『すべてを壊して、最初から作り直す』


悠真たちは、言葉を失った。


第∞+1世界そのものの未来を決める選択が、始まろうとしていた。

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