↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉妹レンタル  作者: なんなん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
197/413

未来から来た住民

第∞+1世界の空に、巨大な月が浮かんでいた。


それは、この世界が生まれたときには存在していなかった月だった。


「……やっと、ここまで来た」


月から声が響く。


悠真たちは空を見上げた。


すると、月の中心から銀色の光が伸び、その中から一人の少年がゆっくりと降りてきた。


白銀の髪。

青白く透明な瞳。

胸には、∞+1の紋章。


少年は地面に立つと、周囲を見回した。


「ここが……第∞+1世界……」


カイが魔導書を開く。


「これは……!」


ページに文字が次々と浮かび上がった。


『第五住民――未来より到着』


『発生源――未来領域』


『未来情報――複数存在』


『未来――未確定』


「未来から来た住民……」


ノノが驚く。


少年は小さくうなずいた。


「僕は、この世界の未来から来たんだ」


「未来を知っているの?」


ミライが尋ねる。


「……少しだけ」


少年は空を見上げた。


「僕のいた未来では、この世界にはたくさんの町があった。たくさんの人が暮らしていて、空にはもっとたくさんの星があった」


アオが目を輝かせる。


「じゃあ、すごい世界だったんだね!」


「うん」


少年は笑った。


しかし、その笑顔はすぐに消えた。


「でも……僕が知っている未来は、一つだけじゃない」


「え?」


少年が手を伸ばす。


すると空いっぱいに無数の光が現れた。


光の一つには、大きな都市。


別の光には、深い森。


別の光には、海に囲まれた島。


そして別の光には――誰もいない世界。


「これ全部、未来なの?」


キボウが尋ねる。


「そう。全部、可能性として存在している」


オボロが静かに言った。


「つまり、お前がいた未来も、その一つということか」


「そういうこと」


少年はうなずいた。


「だから、僕が知っている未来が必ず起こるわけじゃない」


キオクが少年を見つめる。


「それなら……未来は変えられる?」


「変えられる」


少年は即答した。


「だから僕は、ここへ来たんだ」


悠真が尋ねる。


「何のために?」


少年は胸の紋章に手を当てた。


「未来を教えるためじゃない」


少し間を置いて、少年は言った。


「自分の未来を、自分で選ぶために」


悠真は微笑んだ。


「それなら、ここに来てよかったね」


「……え?」


「この世界では、自分の未来は自分で選べるから」


少年は驚いたように悠真を見る。


その瞬間――。


『第五住民』


『未来選択権――確認』


『名前――未定』


『役割――未定』


文字が空中に浮かんだ。


「名前も、まだ決まってないんだ」


アカリが言う。


少年は自分の手を見つめる。


「僕には……名前が必要なの?」


ユラが答える。


「必要とは限らないよ。でも、自分で選ぶことはできる」


「自分で……」


少年は考え込んだ。


そのときだった。


空に亀裂が走った。


バリッ――!


「なに!?」


ミオが空を見上げる。


亀裂の向こう側から、黒い影が現れる。


カイの魔導書が激しく震えた。


『警告』


『未来領域からの干渉を確認』


『第∞+1世界の未来が現在へ接近』


レインが空を見つめる。


「未来が……こっちに来ている」


少年の表情が変わった。


「……そんな……」


悠真が少年を見る。


「知っているの?」


「うん」


少年は震える声で答えた。


「僕のいた未来でも……同じことが起きた」


「そのあと、どうなったの?」


少年はしばらく黙っていた。


そして、ゆっくりと答えた。


「世界の未来が、一つに固定された」


空の亀裂がさらに大きくなる。


そこから巨大な機械のような光が姿を現した。


『未来固定装置』


文字が空に表示される。


『すべての可能性を一つに統合します』


「そんなことをしたら……」


ミライが言葉を失う。


「他の未来が消える」


アカリが続ける。


「可能性そのものがなくなっちゃう!」


悠真は未来から来た少年を見る。


「君はどうしたい?」


少年は驚いた。


「僕……?」


「うん。君の未来なんだから、君が決めればいい」


少年は空を見上げる。


無数の未来が輝いている。


その中には、彼が知っている未来もあった。


しかし――。


少年は首を横に振った。


「僕は……一つに決めたくない」


胸の紋章が強く輝く。


「まだ知らない未来を、見てみたい」


その瞬間、未来固定装置が停止した。


『選択を確認』


『第五住民――未来選択権、成立』


そして空に新しい扉が現れる。


扉には、こう刻まれていた。


『未来を一つにしないための選択』


悠真は仲間たちを見る。


「行こう」


ノノがうなずく。


「うん!」


悠真たちは、未来の扉へ向かって歩き始めた。


その後ろで、未来から来た少年は初めて笑った。


「……僕も、自分の未来を探してみる」


しかし――。


扉が開いた瞬間。


その向こうから、別の声が響いた。


「未来を選ぶのは……あなたたちだけではない」


悠真たちは立ち止まる。


扉の向こうには、まだ誰も見たことのない世界が広がっていた。


そしてそこには――。


『第∞+1世界・未来領域』


という文字が浮かんでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。