↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉妹レンタル  作者: なんなん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
181/417

約束世界

キズナ号は、巨大な星へ向かって進んでいた。


船の前方に浮かぶ文字。


『約束世界』


「約束世界……」


悠真がその名前を読み上げる。


すると、キボウが窓の外を見ながら言った。


「なんだか、あの星……寂しそう」


「寂しい?」


ノノも星を見る。


確かに星は輝いている。


けれど、ところどころ光が消えていた。


まるで、誰かを待っているようだった。


「近づいてみよう」


悠真が言う。


キズナ号が星の近くまで進むと――。


ドンッ!


突然、船が止まった。


トワが時計を確認する。


「時間が止まったわけじゃない」


ハジメが計器を見る。


「空間そのものが、進むことを拒否している」


「どういうこと?」


カナタが尋ねる。


ハジメは首を振った。


「わからない」


そのとき、ミオが星を指差した。


「あそこに何かある」


星の表面に、一つの巨大な門があった。


門には文字が刻まれている。


『約束した者だけが入れる』


「約束した者……?」


悠真が考えていると、キボウが小さく手を挙げた。


「僕、約束したよ」


「何を?」


「もう一度、星を作ってみるって」


キボウが手を伸ばす。


すると――。


星の門が、静かに開いた。


「えっ!」


ノノが驚く。


「キボウの約束で開いたの?」


キボウは自分でも驚いていた。


「……たぶん」


キズナ号は門をくぐった。


その瞬間――。


目の前に巨大な街が現れた。


しかし、誰もいない。


家もある。


道もある。


広場もある。


学校のような建物もある。


けれど、人の姿だけがない。


「なんで誰もいないんだろう?」


ユメが不思議そうに尋ねる。


カイが本を開く。


すると、今度は文字が現れた。


『約束が果たされなかったため、住人は未来へ進めなくなった』


「約束が……果たされなかった?」


カイが読み上げる。


そのとき。


遠くから足音が聞こえた。


コツ……。


コツ……。


一人の老人が歩いてくる。


「旅人か……」


老人は悠真たちを見る。


「この世界へ来る者は、もういないと思っていた」


悠真が尋ねる。


「ここで何があったんですか?」


老人は街を見回した。


「この世界の住人たちは、昔、ある約束をした」


「どんな約束?」


「いつか、この街に大きな橋を作るという約束だ」


「橋?」


「この世界の向こう側へ渡るための橋だ」


老人は遠くを指差す。


そこには、巨大な谷があった。


谷の向こうには、もう一つの街が見える。


しかし橋はない。


「橋が完成すれば、二つの街はつながるはずだった」


「でも?」


「誰も、最初の一歩を踏み出さなかった」


老人は悲しそうに笑った。


「明日やろう」


「誰かがやってくれる」


「まだ時間はある」


そんな言葉を繰り返しているうちに――。


誰も約束を覚えていなくなった。


そして、この世界は止まった。


ノノが黙り込む。


オボロが言った。


「忘れることと、約束を果たさないことは……似ているね」


「どうして?」


悠真が聞く。


「未来の自分に、何かを託したのに、その未来の自分が忘れてしまうから」


すると老人が驚いた。


「……その通りだ」


そして、老人は悠真たちに尋ねた。


「君たちは、何か約束をしているか?」


みんなが顔を見合わせる。


カナタ。


ヒカリ。


ソラ。


ハジメ。


トキ。


トワ。


ミライ。


カイ。


ユメ。


アカリ。


シン。


ヒナタ。


オボロ。


キボウ。


ミオ。


それぞれが自分の約束を考えた。


そして悠真が言った。


「僕たちは――」


少し考えてから続ける。


「旅を続ける」


ノノがうなずく。


「みんなで一緒に」


キボウも言った。


「失敗しても、もう一度やってみる」


オボロは言った。


「忘れたものを、思い出す努力をする」


ミオは微笑んだ。


「自分で選ぶ」


アカリは空を見上げる。


「新しい可能性を探す」


シンは静かに言った。


「存在することを、恐れない」


一人。


また一人。


みんなの言葉が重なっていく。


すると――。


街の地面が光り始めた。


「な、何?」


ユメが驚く。


谷の上に、一本の光の道が伸びた。


橋だった。


まだ完全ではない。


けれど、確かに橋が生まれ始めている。


老人が目を見開く。


「約束が……動き始めた」


悠真たちは橋へ向かった。


一歩。


また一歩。


誰かが歩くたびに、橋が伸びていく。


そして最後に悠真が足を踏み出すと――。


橋が完成した。


向こう側の街にも光が灯る。


突然、家々の窓が開いた。


人々が姿を現す。


「橋ができた!」


「約束が果たされた!」


「つながった!」


街中に笑顔が広がっていく。


その瞬間――。


空から一つの光が降りてきた。


それは鍵だった。


『第八の鍵』


『約束』


悠真が手を伸ばす。


しかし、鍵は悠真の手には入らなかった。


代わりに――。


みんなの胸元へ、小さな光が一つずつ分かれて飛んでいった。


「え?」


カイが驚く。


未来そのものの声が響く。


「約束は、一人で持つものではありません」


「誰かと未来を結ぶもの」


「だから、この鍵は一人には渡せないのです」


八つの鍵が光り始める。


可能性。


存在。


始まり。


きずな。


思い出。


希望。


選択。


そして――約束。


八つの光が一つになる。


すると、空に巨大な扉が現れた。


そこには――。


『第九の鍵』


と書かれている。


ノノが叫ぶ。


「またあるの!?」


ユメが笑う。


「まだまだ冒険できるね!」


しかし悠真は、扉に書かれた文字を見て表情を変えた。


第九の鍵の名前は――。


『真実』


そして、その文字の下には小さな一文が刻まれていた。


『すべての鍵は、かつて一人の人物によって作られた』


悠真は息をのんだ。


「……一人の人物?」


その瞬間。


キズナ号の全システムが停止した。


そして、船内に一つの名前が表示される。


『創造者――悠真』


「…………え?」


悠真たちは、一斉に悠真を見る。


悠真自身も、言葉を失っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。