第五の鍵・記憶
原点の部屋に、新しい扉が現れていた。
その名は――。
『選択』
悠真たちは、しばらくその扉を見つめていた。
ノノが首をかしげる。
「四つの鍵を集めたら、第五の扉が出てきたね。」
カイが本を調べる。
「でも、さっきの本には四つの鍵しか書かれていなかった。」
ハジメが言う。
「つまり、私たちが『選択』を生み出したことで、新しい何かが始まったんだ。」
アカリが静かに頷く。
「可能性は、最初から決められているものではありません。」
「選択によって、新しく生まれるものでもあります。」
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■ 黒い羽根
その頃。
原点の外側では――。
謎の影が黒い羽根を握っていた。
第五の鍵・記憶
影が羽根を見る。
「可能性。」
「存在。」
「始まり。」
「きずな。」
「そして――記憶。」
黒い羽根が淡く光る。
「これが揃えば、すべてを最初からやり直せる。」
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■ 原点に異変
突然――。
原点の部屋に、たくさんの映像が現れた。
ノノが驚く。
「これ……私たちの旅?」
そこには、これまでの冒険が映っている。
初めて出会った日。
最初の旅。
笑った日。
困った日。
仲間が増えた日。
そして――。
第∞世界へたどり着いた日。
ユメが映像を見る。
「懐かしい……。」
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■ 消えていく記憶
ところが――。
一つの映像が突然、消えた。
ノノが驚く。
「え?」
次の映像も消える。
そして、また一つ。
カイが叫ぶ。
「記録が消されている!」
アカリが青ざめる。
「誰かが、私たちの記憶を変えようとしている。」
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■ ノノの記憶
ノノが頭を押さえる。
「……あれ?」
悠真が心配そうに見る。
「どうしたの?」
「私……。」
ノノが困った顔をする。
「悠真と、いつ初めて会ったんだっけ?」
悠真は驚く。
「ノノ……。」
ノノは必死に思い出そうとする。
でも、思い出せない。
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■ 記憶を奪う者
そのとき――。
部屋の外から声が響いた。
「記憶とは、過去を保存するためだけのものではない。」
悠真が振り返る。
「誰だ!」
「記憶があるから、人は自分が誰なのかを知る。」
黒い影が現れる。
手には――。
黒い羽根。
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■ 第五の鍵
アカリが影を見る。
「その羽根……。」
影は頷く。
「第五の鍵。」
「記憶。」
ノアが尋ねる。
「どうして、それを持っているの?」
影は答えた。
「私は、記憶から生まれた。」
「忘れられたもの。」
「失われたもの。」
「誰にも思い出されなくなったもの。」
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■ 名前は「オボロ」
影が姿を変える。
黒い霧が晴れる。
そこにいたのは、一人の少年だった。
灰色の髪。
黒い服。
そして、少し寂しそうな目。
「私は――。」
「オボロ。」
「それが私の名前。」
カイが聞く。
「どうして、私たちの記憶を消すの?」
オボロは答える。
「消しているのではない。」
「戻している。」
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■ 「最初の状態」
オボロが黒い羽根を掲げる。
すると世界が一瞬だけ真っ白になる。
「世界が生まれたばかりの頃には、誰も過去を持っていなかった。」
「だから、誰も悲しまなかった。」
「誰も後悔しなかった。」
「誰も失ったものを思い出さなかった。」
オボロは静かに言う。
「私は、その状態に戻したい。」
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■ 悠真の答え
悠真はオボロを見る。
「でも、それじゃあ――。」
「楽しかったことも、全部なくなる。」
オボロは頷く。
「そう。」
「それでもいい。」
悠真は首を横に振る。
「僕は嫌だ。」
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■ 大切な記憶
悠真はノノを見る。
「ノノと出会ったこと。」
「みんなと旅したこと。」
「楽しかったこと。」
「失敗したこと。」
「全部覚えているから、今の僕がいる。」
ノノが少しずつ笑う。
「……そうだった。」
「悠真と初めて会ったとき――。」
記憶が戻り始める。
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■ きずなの力
ノノが悠真の手を握る。
すると――。
羽根が輝いた。
白い光。
その光が仲間たちへ広がっていく。
カナタ。
ヒカリ。
ソラ。
ハジメ。
トキ。
トワ。
ミライ。
カイ。
ユメ。
アカリ。
ノア。
シン。
そしてレイン。
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■ 記憶は一人のものではない
アカリが気づく。
「記憶は、一人だけで持っているものではない。」
「誰かと共有することで、もっと強くなる。」
カイが頷く。
「だから、本に記録するだけでは不十分だったんだ。」
「僕たち自身が覚えていればいい。」
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■ オボロの記憶
突然、オボロが苦しそうに頭を抱える。
「やめろ……。」
悠真が聞く。
「どうした?」
「私の記憶まで……戻ってくる。」
オボロの周囲に映像が現れる。
そこには――。
まだ世界がなかった頃のオボロ。
一人で暗闇にいた。
誰もいない。
何もない。
ただ、一人。
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■ 本当の孤独
オボロは小さな声で言う。
「私は……。」
「誰にも覚えてもらえなかった。」
「だから、記憶が嫌いだった。」
ノアが近づく。
「でも、今は?」
オボロは答えられない。
悠真が言う。
「今は、僕たちが覚える。」
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■ 新しい記憶
ノノが笑う。
「オボロっていう友達がいるって、覚えておくよ。」
カイも言う。
「僕も記録する。」
ユメが頷く。
「私も覚える。」
オボロの目から、小さな光が落ちる。
それは涙ではない。
記憶の光。
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■ 第五の鍵が変わる
黒い羽根が白く輝き始める。
オボロが驚く。
「私の鍵が……。」
黒い羽根は白銀の羽根へ変わった。
刻まれた文字も変化する。
『記憶』
↓
『思い出』
アカリが微笑む。
「同じ記憶でも、誰かと分かち合えば『思い出』になるんですね。」
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■ 五つの鍵
原点の部屋に、五つの光が浮かぶ。
可能性
存在
始まり
きずな
そして――。
思い出
五つの光が一つになる。
すると――。
原点の中央に、大きな扉が現れた。
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■ 最後の扉?
扉には何も書かれていない。
悠真が近づく。
ノノも隣に立つ。
「これが最後?」
アカリが首を横に振る。
「分かりません。」
シンが扉を見る。
「でも、今までの扉とは違う。」
ノアが気づく。
「名前がない。」
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■ 扉の向こう
悠真が手を伸ばす。
しかし――。
扉は開かない。
すると、扉に文字が浮かび上がった。
『名前をつけてください』
ノノが驚く。
「また名前?」
悠真は考える。
これまでの旅を思い出す。
可能性。
存在。
始まり。
きずな。
思い出。
そして――。
まだ名前のない、この扉。
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■ 悠真がつけた名前
悠真はゆっくり言った。
「未来。」
扉が光る。
ノノが笑う。
「いい名前!」
扉に文字が刻まれる。
『未来』
そして――。
ゴゴゴゴゴ……。
巨大な扉がゆっくり開いていく。
その向こうには――。
無限に広がる星空。
そして、その中心に一つの巨大な光。
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■ 光の中にいたもの
光の中から、声がする。
「五つの鍵を集めた者よ。」
「ここまで来たことを認めよう。」
悠真が尋ねる。
「あなたは誰?」
声が答える。
「私は――。」
一瞬、世界全体が静かになる。
そして――。
「未来そのもの。」
悠真たちは言葉を失った。
しかし、その存在は続ける。
「だが、まだ足りない。」
「未来を選ぶには――。」
「もう一つ必要だ。」
その瞬間、悠真の手の中の羽根が光る。
そこに新しい文字が浮かび上がった。
『第六の鍵』
そしてその名は――。
『希望』




