名前のない世界 その2
きずなの船は、まぶしい光に包まれた世界へ入っていった。
そこには――。
太陽が一つ。
青い空。
広い海。
そして、どこまでも続く大地。
まだ街もない。
道もない。
建物もない。
生き物の姿さえ見えない。
ノノが窓から外を見る。
「本当に何もないね。」
ハジメが頷く。
「この世界は、生まれたばかりだから。」
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■ 最初の一歩
船を降りる。
悠真が地面に足をつけた。
すると――。
足元から小さな草が生える。
ノノが驚く。
「悠真が歩いたところに草が生えた!」
悠真がもう一歩。
今度は小さな花。
カナタも歩いてみる。
すると、小さな石が現れる。
ソラが走る。
すると――。
風が吹いた。
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■ 世界が作られていく
ハジメが気づく。
「この世界は、訪れた人の行動を記録している。」
「記録?」
「うん。」
「誰かが歩けば道になる。」
「誰かが花を育てれば、花畑になる。」
「誰かが家を作れば、街になる。」
ミライが驚く。
「じゃあ、この世界は……。」
悠真が答える。
「みんなで作る世界なんだ。」
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■ 最初の街
ノノが言う。
「じゃあ、まず家を作ろう!」
みんなで木を集める。
ハジメが木を育てる。
トワが時間を少し進める。
あっという間に立派な木材ができる。
カイがそれを見て驚く。
「便利すぎない?」
トキが笑う。
「この世界ならではですね。」
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■ 町づくり
一軒目の家が完成。
二軒目。
三軒目。
広場。
井戸。
橋。
小さな学校。
そして――。
大きな時計塔。
トワが言う。
「時間を知らせる場所が必要でしょう。」
ミライは街の入口に案内所を作った。
ハジメは空に星を増やした。
カイは本を作った。
「この世界の歴史を記録する。」
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■ 最初の住民
ところが――。
街を作っていると、草むらから音がした。
ガサッ。
全員が振り向く。
小さな生き物が出てくる。
丸い体。
長い耳。
大きな目。
「……こんにちは。」
ノノが驚く。
「しゃべった!」
生き物は首をかしげる。
「僕、誰?」
悠真たちは顔を見合わせる。
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■ 名前のない生き物
ミライが言う。
「この子も、生まれたばかりなんだ。」
ハジメが笑う。
「だから自分の名前を知らない。」
ノノがしゃがむ。
「名前、欲しい?」
生き物は頷く。
「うん!」
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■ 最初の名前
みんなで考える。
「ソラ?」
「もういるよ。」
「ホシ?」
「ハジメの星と似てる。」
「ハル?」
「いいかも。」
最後に悠真が言った。
「ハルはどう?」
生き物は嬉しそうに笑う。
「ハル!」
「僕、ハル!」
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■ 次々と生まれる命
ハルが笑った瞬間――。
森から次々と生き物が出てきた。
小さな鳥。
青いウサギ。
光る魚。
木の上にはリスのような生き物。
海には小さなイルカ。
世界が少しずつ生命で満たされていく。
ノノが喜ぶ。
「いっぱい生まれた!」
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■ 世界の名前
ハジメが言う。
「次は、この世界の名前。」
みんなで考える。
「きずな世界?」
「新世界?」
「ハルの世界?」
いろいろな案が出る。
しかし、なかなか決まらない。
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■ ハルの提案
ハルが小さな手を上げる。
「僕、名前をつけたい。」
悠真が笑う。
「どんな名前?」
ハルは空を見る。
太陽。
雲。
星。
そして、たくさんの人。
「みんなが一緒にいるから――。」
ハルは言った。
「にじの世界!」
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■ 七色の虹
その瞬間。
空に巨大な虹が現れた。
赤。
橙。
黄。
緑。
青。
藍。
紫。
虹が空いっぱいに広がる。
ハジメが目を輝かせる。
「世界自身が名前を受け入れた。」
カイが本に書く。
『世界名:にじの世界』
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■ 最初のお祭り
街が完成した。
まだ小さな街だけど――。
みんなでお祝いすることになった。
広場に料理が並ぶ。
音楽が流れる。
ハルたち新しい住民も大喜び。
ノノが踊る。
「お祭りだー!」
カナタも笑う。
「世界が生まれた記念日だね。」
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■ 不思議な料理
ハジメが作った料理を食べる。
一口食べると――。
食べた人の好きな味に変わる。
ノノは「いちご味」。
カナタは「カレー味」。
ミライは「りんご味」。
カイは「チョコレート味」。
トワは「紅茶味」。
トキは「キャベツ味」。
ノノが驚く。
「トキ、それ好きなの?」
トキは笑う。
「嫌いではありません。」
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■ 悠真の料理
悠真も一口食べる。
味は――。
「……これ、なんだろう?」
ハルが聞く。
「おいしい?」
「うん。」
ハジメが笑う。
「きっと悠真が一番好きな味。」
悠真はもう一口食べる。
すると少しだけ――。
懐かしい味がした。
「……不思議だな。」
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■ 祭りの夜
夜になる。
にじの世界の空に、無数の星が輝く。
まだ生まれたばかりの世界。
でも――。
そこにはもう、笑い声がある。
悠真は広場を見渡す。
「世界って、最初から完成しているものじゃないのかもしれない。」
カナタが頷く。
「みんなで作っていくものなんだね。」
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■ 新しい住民からのお願い
翌朝。
ハルが悠真のところへやってくる。
「お願いがある。」
「どうしたの?」
「森の奥に――。」
ハルは地図を見せる。
「まだ行ってはいけない場所があるんだ。」
ノノが目を輝かせる。
「冒険?」
ハルは頷く。
「うん。」
「そこには、この世界で最初に生まれた――。」
少し間を置いて。
「巨大なドラゴンが眠っている。」
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■ 巨大な足跡
森へ向かう。
やがて地面に巨大な足跡を発見する。
一つ。
二つ。
三つ。
その大きさは――。
悠真たち全員より大きい。
カナタが呟く。
「本当にいるのか……。」
ハジメが空を見る。
すると遠くの山から――。
ゴォォォォ……。
低い声が響いた。
鳥たちが一斉に飛び立つ。
ハルが震える。
「起きた……。」
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■ 最初のドラゴン
山の向こうから巨大な影が現れる。
赤でもない。
青でもない。
虹色の鱗を持つドラゴン。
その背中には――。
七色の光が流れている。
ドラゴンは悠真たちを見つめる。
そして――。
人間の言葉で言った。
「この世界に、名前をつけたのは誰だ?」
悠真が一歩前へ出る。
「僕たちです。」
ドラゴンは静かに目を細めた。
「ならば、試させてもらおう。」
大地が揺れる。
そしてドラゴンの背後に――。
巨大な虹色の門が開いた。
その先にあるのは――。
にじの世界の地下深くに眠る、もう一つの世界。
ドラゴンが告げる。
「この世界には、表の世界と裏の世界がある。」
悠真たちは顔を見合わせた。
新しく生まれた世界の、最初の大冒険が始まろうとしていた。




