物語世界
きずなの船は、未来環の外側へ向かって進んでいた。
目の前に現れたのは――。
巨大な本。
宇宙空間に浮かぶ、一冊の本だった。
表紙には大きく、
『物語世界』
と書かれている。
ノノが驚く。
「本が世界なの?」
ハジメが頷く。
「たぶん、ここが『観測者』のいる場所。」
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■ 本の中へ
きずなの船が本の表紙に触れる。
すると――。
パラッ。
ページが開いた。
その瞬間、船ごと本の中へ吸い込まれていく。
「わあああ!」
ノノの声が響く。
そして――。
ドン!
船が着地した。
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■ 文字でできた世界
外へ出ると、そこには不思議な景色が広がっていた。
山も。
川も。
街も。
全部が文字でできている。
空には文章が流れている。
道路には文字が並んでいる。
木には――。
「木」という文字がたくさん書かれている。
ノノが笑う。
「変なの!」
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■ 自分たちの物語
突然、空から巨大なページが落ちてくる。
そこには――。
悠真たちの名前が書かれていた。
『悠真』
『ノノ』
『カナタ』
『ヒカリ』
『ソラ』
『トキ』
『トワ』
『ハジメ』
『ミライ』
そして――。
これまでの旅が、すべて文章になっている。
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■ ノノが読む
ノノがページをめくる。
そこには――。
「最初の冒険……。」
「アオゾラ世界……。」
「第−100世界……。」
「時の王……。」
「はじまりの世界……。」
ノノが目を丸くする。
「全部書いてある!」
カナタが言う。
「誰かが、ずっと僕たちを見ていたのか?」
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■ 観測者
そのとき――。
ページの上に人影が現れた。
白い服を着た人物。
顔は見えない。
その人物は言う。
「そうです。」
悠真が尋ねる。
「あなたが観測者?」
「はい。」
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■ 観測者の仕事
観測者は説明する。
「私は世界を観測し、記録する存在です。」
「世界が生まれる。」
「人が出会う。」
「冒険が始まる。」
「そして、物語になる。」
ノノが聞く。
「じゃあ、私たちの物語も?」
「はい。」
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■ 書かれた未来
悠真はページを見る。
そこには、まだ起きていない出来事まで書かれていた。
『悠真たちは、次に○○へ向かう。』
ノノが驚く。
「これ……未来まで書いてある!」
ミライもページを見る。
「私の未来も……。」
トワが眉をひそめる。
「なら、未来は決まっているということですか?」
観測者は答える。
「いいえ。」
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■ 本に書かれていないもの
観測者がページを閉じる。
「ここに書かれているのは、可能性です。」
「実際に何が起こるかは――。」
「あなたたちが決めます。」
悠真が少し安心する。
「じゃあ、自由なんだ。」
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■ しかし問題が
観測者は続ける。
「ただし、一つ問題があります。」
「この世界の外側には――。」
「物語を終わらせようとしている存在がいます。」
カナタが尋ねる。
「また敵?」
観測者は頷く。
「名前はありません。」
「ただ、目的だけがあります。」
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■ 物語の終わり
観測者が一冊の黒い本を取り出す。
表紙には――。
『完』
と書かれている。
「これを開かれると、物語は終わります。」
悠真が聞く。
「終わったら、どうなる?」
「世界は消えません。」
「ただ――。」
観測者は答える。
「未来が一切生まれなくなります。」
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■ 終わらない物語
ノノが言う。
「それなら、絶対に開かせちゃダメ!」
観測者が頷く。
「その通り。」
「だから、あなたたちをここへ呼びました。」
悠真が驚く。
「僕たちを?」
「はい。」
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■ なぜ悠真たちなのか
観測者は言う。
「あなたたちは、これまで何度も決められた未来を変えてきた。」
「時間を止める世界。」
「未来迷路。」
「可能性世界。」
「そして――。」
「『無』。」
「どんな場所でも、あなたたちは新しい道を作った。」
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■ 黒い本
突然――。
世界が揺れた。
遠くの空が黒く染まる。
巨大な黒い本が開く。
ページから黒い文字が飛び出す。
『完』
『完』
『完』
無数の文字が世界を覆っていく。
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■ 物語を終わらせる力
文字に触れた場所から、世界が止まっていく。
街。
山。
川。
空。
すべてが「完」の文字に包まれる。
ミライが叫ぶ。
「未来が消えていく!」
トキが時間の力を使う。
「止める!」
しかし、文字は時間の外側にある。
トワも力を使う。
それでも止まらない。
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■ 悠真の作戦
悠真は考える。
「この世界では、文字が力を持っている。」
カナタが言う。
「だったら、別の文字を書けばいい。」
ノノが目を輝かせる。
「新しい物語を書くの?」
悠真が頷く。
「そう。」
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■ 新しい一文字
ハジメが白い光を集める。
悠真がその光に手を伸ばす。
そして――。
空中に一文字を書く。
『続』
その文字が輝く。
黒い「完」の文字が、一つ消える。
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■ 仲間たちも
ノノが続く。
『笑』
カナタ。
『友』
ヒカリ。
『夢』
ソラ。
『旅』
トキ。
『時』
トワ。
『守』
ハジメ。
『始』
ミライ。
『未』
無数の文字が空へ舞い上がる。
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■ 世界が変わる
「完」の文字が次々と消えていく。
その代わり――。
新しい文章が生まれる。
『まだ終わっていない。』
『次のページへ進む。』
『新しい未来を選ぶ。』
世界が再び動き始める。
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■ 黒い本の正体
黒い本が閉じる。
そして、その表紙から――。
一人の人物が現れた。
観測者と同じ姿。
しかし服は黒い。
観測者が言う。
「彼は――。」
「終幕者。」
終幕者は悠真たちを見る。
「物語は、終わるべきだ。」
悠真が答える。
「終わる物語もある。」
「でも――。」
「終わりを決めるのは、君じゃない。」
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■ 終幕者の迷い
終幕者は黙る。
ノノが尋ねる。
「どうして終わらせたいの?」
終幕者は答える。
「物語が続けば、必ず悲しいことが起こる。」
「失敗も。」
「別れも。」
「苦しい未来も。」
「だから、何も起こらない『完』が一番いい。」
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■ 悠真の答え
悠真は言う。
「確かに、悲しいことはある。」
「でも、楽しいこともある。」
「新しい出会いもある。」
「やり直すこともできる。」
「だから――。」
「最初から全部終わらせる必要なんてない。」
終幕者は悠真を見る。
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■ 「続」の力
悠真が書いた一文字。
『続』
が、終幕者の黒い本へ飛んでいく。
黒い本の表紙が白く変わる。
そこに新しい文字が浮かぶ。
『次』
終幕者は驚く。
「私の本が……。」
観測者が笑う。
「あなた自身が、新しいページを選んだのです。」
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■ 終幕者の名前
黒い服が白く変わっていく。
終幕者は、自分の名前を思い出す。
「……カイ。」
「私の名前は、カイ。」
ノノが笑う。
「じゃあ、カイも仲間になれば?」
カイは驚く。
「私が?」
悠真が頷く。
「新しい物語を書くなら、仲間が多いほうが楽しいよ。」
カイは少し考えて――。
笑った。
「……そうだね。」
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■ 新しいページ
観測者が巨大な本を開く。
最後のページ。
そこには何も書かれていない。
悠真が尋ねる。
「これは?」
観測者は答える。
「まだ誰も書いていない未来です。」
ノノが目を輝かせる。
「じゃあ、これから書けるんだ!」
観測者は頷く。
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■ 旅はまだ続く
悠真たちは本の世界を後にする。
新しく仲間になったカイも船に乗り込んだ。
これで仲間はさらに増えた。
ハジメ。
トキ。
トワ。
ミライ。
カイ。
ノノが笑う。
「また大所帯になったね!」
カナタが苦笑する。
「船、ちゃんと入るかな?」
悠真が笑う。
「大丈夫。」
「きずなの船は、仲間が増えるほど広くなるから。」
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■ 最後の一行
物語世界を離れる直前。
観測者が悠真に一枚の紙を渡す。
そこには、たった一行。
『本当の物語は、ここから始まる。』
悠真は紙を大切にしまう。
そして前を見る。
世界間回廊の先に――。
今まで見たことのない巨大な光が現れる。
カイが驚く。
「これは……。」
ハジメが答える。
「新しい世界が生まれている。」
その世界の名前は――。
『新生世界』
しかし、そこから届いた最初の通信は――。
『助けてください。』
さらに続く。
『この世界には、まだ誰も名前をつけていません。』
悠真は仲間たちを見る。
「じゃあ――。」
「最初の名前を、一緒に決めよう。」
きずなの船は、新しく生まれた世界へ向かって進んでいった。




