誰もいない世界
きずなの船は、深い世界間回廊を進んでいた。
目的地は――。
第−100世界。
トキが世界間時計を確認する。
「もうすぐ到着します。」
しかし、画面には奇妙な表示が出ている。
『人口:0』
ノノが言う。
「本当に誰もいないの?」
ゼロスが年代記を確認する。
「記録上は、完全にゼロです。」
悠真が首をかしげる。
「じゃあ、さっきの通信は誰が送ったんだろう?」
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■ 第−100世界
転移ゲートを抜ける。
きずなの船が着いた場所は――。
巨大な街だった。
高層ビル。
駅。
学校。
商店。
公園。
家。
すべてがある。
なのに――。
誰もいない。
ノノが街を見回す。
「本当に誰もいない……。」
風だけが吹いている。
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■ 止まった街
駅の時計を見る。
午前10時12分。
交差点の信号も止まっている。
公園のブランコも動かない。
店の看板には――。
『営業中』
と書かれている。
なのに店員はいない。
悠真が呟く。
「人が消えた街というより……。」
「最初から人がいなかったみたいだ。」
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■ 呼び声
突然。
通信機から声が聞こえた。
『……こちらです。』
全員が振り向く。
「聞こえた!」
ノノが叫ぶ。
「どこから?」
声は――。
街の中心から聞こえている。
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■ 巨大な広場
広場へ向かう。
中央には大きなモニュメントがあった。
人の形をしている。
その胸には――。
小さな時計。
トキが近づく。
「この時計……。」
針が逆方向に動いている。
カチ、カチ、カチ……。
トワが驚く。
「時間を戻している?」
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■ 逆再生される世界
時計が一周すると――。
街の景色が変化した。
消えていた車が道路に現れる。
空っぽだった店に商品が並ぶ。
公園に遊具が増える。
そして――。
人影が現れた。
しかし、人影は全員――。
逆向きに歩いている。
ノノが驚く。
「時間が逆になってる!」
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■ 声の主
モニュメントの時計が止まる。
そして、目の前に少女が現れた。
透明な姿。
まるで光でできているようだった。
「こんにちは。」
悠真が尋ねる。
「君は誰?」
少女は答える。
「私はミライ。」
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■ ミライの正体
ミライは説明する。
「この世界には、もともと人がいました。」
「でも、ある日――。」
「みんな未来へ行ってしまいました。」
カナタが驚く。
「未来へ?」
「はい。」
「全員が、自分の未来を見るために旅立ったんです。」
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■ 未来へ行った人々
ミライによると、第−100世界では昔――。
未来を見る装置が発明された。
それを使えば、自分がどんな人生を送るのか確認できた。
人々は未来を見た。
そして――。
未来を変えるために、次々と未来へ移動した。
最後には――。
誰も現在に残らなくなった。
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■ なぜミライだけ残った?
悠真が尋ねる。
「君は未来へ行かなかったの?」
ミライは首を横に振る。
「私は、未来が見られなかった。」
「未来を見る装置を使っても――。」
「私の未来だけ、空白だった。」
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■ 空白の未来
ノノが聞く。
「どうして?」
ミライは答える。
「分からない。」
「だから私は、ここでみんなが帰ってくるのを待っていた。」
「でも――。」
「誰も帰ってこなかった。」
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■ 毎日の呼び声
ミライは毎日、通信を送っていた。
『誰か、帰ってきてください。』
しかし、誰にも届かなかった。
世界間回廊にも届かなかった。
ところが――。
ハジメが「はじまりの世界」を作ったことで、世界同士の道がつながった。
その瞬間。
ミライの声が悠真たちに届いた。
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■ 悠真の疑問
悠真が聞く。
「でも、どうして僕たちを呼んだの?」
ミライは答える。
「あなたたちなら――。」
「未来を見なくても、未来へ進めると思ったから。」
悠真が驚く。
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■ 未来を知ること
カナタが言う。
「未来を知れば、失敗しなくなると思っていた。」
ミライは頷く。
「でも、違った。」
「未来を知ってしまった人たちは――。」
「未来を変えることばかり考えて、現在を生きられなくなった。」
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■ 戻ってこない人々
トキが尋ねる。
「じゃあ、みんなは今どこに?」
ミライは空を指差す。
「未来の中。」
「自分が見た未来を変えようとして、別の未来へ。」
「そこからさらに別の未来へ。」
「永遠に進み続けています。」
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■ 無限の未来迷路
ゼロスが驚く。
「未来から未来へ移動し続ける。」
「つまり、未来の迷路に入ってしまった。」
ミライが頷く。
「そう。」
「だから、この世界には誰もいない。」
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■ 救出作戦
悠真は決断する。
「みんなを連れ戻そう。」
ノノが驚く。
「どうやって?」
悠真は世界間時計を見る。
「未来へ行くんじゃない。」
「未来から、現在へ戻る道を作る。」
トワが笑う。
「なるほど。」
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■ 現在への道
ハジメが力を使う。
白い光が世界中へ広がる。
ミライも力を合わせる。
トキは時間の流れを安定させる。
トワは時計の歯車を調整する。
カナタは世界間回廊を開く。
そして悠真は――。
中央の時計に手を置いた。
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■ 「今」
悠真が叫ぶ。
「未来は、今から続いている!」
時計が大きく輝く。
未来へ続いていた無数の道が――。
一本の道にまとまっていく。
その道は――。
現在へ戻る道。
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■ 帰ってくる人々
遠くから人影が現れる。
一人。
二人。
十人。
百人。
そして――。
街いっぱいに、人々が戻ってきた。
「帰ってきた……。」
「ここが、僕たちの街。」
「懐かしい……。」
街に声が戻る。
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■ ミライの未来
最後にミライが時計を見る。
すると――。
今まで空白だった未来に、文字が浮かんだ。
『未来:仲間と旅をする』
ミライが驚く。
「私にも……未来がある。」
ノノが笑う。
「もちろん!」
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■ 新しい仲間
ミライは悠真たちを見る。
「私も一緒に行っていい?」
悠真が頷く。
「もちろん。」
ミライが笑う。
「ありがとう。」
こうして――。
新たな仲間が加わった。
未来を見ることのできなかった少女、ミライ。
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■ しかし……
きずなの船へ戻ったとき。
ゼロスが年代記を開く。
すると――。
第−100世界のページに、奇妙な文字が浮かんでいた。
『未来迷路・解除』
その下に――。
『しかし、未来迷路の最深部に一つの世界が残っています。』
悠真が尋ねる。
「最深部?」
ゼロスが頷く。
そして表示された世界の名前。
『第−100・∞世界』
ミライが顔を青くする。
「……そこには。」
悠真が聞く。
「何があるの?」
ミライは答えた。
「私たちが見てはいけなかった、最後の未来があります。」
きずなの船の前方に、新たなゲートが開く。
その先には――。
未来が無数に重なった巨大都市。
そして、その中心に――。
「未来の悠真」
が立っていた。




