無との戦い
第−∞−1世界。
白い空間を、巨大な黒い亀裂が覆っていた。
その中心に浮かぶ文字。
『終』
ハジメは震えながら言う。
「『無』が動き始めた……。」
悠真は世界間時計を握りしめる。
「だったら、僕たちも動く。」
カナタが頷く。
「今まで旅してきた全部の世界を守ろう。」
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■ 無の力
黒い亀裂から、巨大な波が押し寄せる。
その波が触れた場所から――。
草原が消える。
星が消える。
遠くの世界への光の道まで消えていく。
ノノが叫ぶ。
「世界が消えてる!」
トワが答える。
「『無』には、時間も空間も関係ありません。」
「存在そのものを消している。」
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■ 攻撃が効かない
カナタが光の魔法を放つ。
ドォン!
しかし、光は『無』に吸い込まれる。
トキも時間の力を使う。
「止まって!」
時間の波が広がる。
しかし――。
『無』には時間がない。
トキの力は届かなかった。
トワも巨大な時計を出す。
けれど、時計の針は動かない。
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■ 絶望
ノノが呟く。
「何をしても効かない……。」
悠真も黙ってしまう。
『無』はどんどん広がっている。
このままでは、すべての世界が消えてしまう。
ハジメが言う。
「私の力でも止められない。」
「私は世界を作れるけど――。」
「『無』を消すことはできない。」
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■ 小さな声
そのとき。
どこからか声が聞こえた。
「悠真!」
アオだった。
アオゾラ世界からの通信だ。
「聞こえる?」
悠真が答える。
「聞こえる!」
アオは言った。
「僕たちも戦う!」
続いて――。
ミナトから通信。
「こっちも!」
第−7世界からも。
「こちらも準備できている!」
さらに無数の世界から声が届く。
「私たちもいる!」
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■ 世界の願い
ハジメが目を見開く。
「……願い。」
悠真が振り返る。
「何?」
「最初の世界が生まれたときも――。」
「願いから始まった。」
ハジメは胸の星を握る。
「『無』に対抗できるのは、世界そのものじゃない。」
「世界が生まれた理由――。」
「願いなら、届くかもしれない。」
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■ 一人ずつの願い
ハジメが全世界へ通信を送る。
「みんな。」
「自分の願いを教えて。」
最初にノノが答える。
「私は――。」
「みんなと楽しく旅をしたい!」
その願いが光になる。
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■ 次々と集まる願い
ヒカリ。
「大切な人と、また笑いたい。」
ソラ。
「知らない世界を見てみたい。」
カナタ。
「もう誰かを一人で背負わせたくない。」
トキ。
「明日の朝を見たい。」
トワ。
「時間が進む世界を守りたい。」
アオ。
「どんな世界の人とも友達になりたい。」
ミナト。
「海をいつまでも見ていたい。」
無数の願いが、光になって集まってくる。
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■ 悠真の願い
最後に、みんなが悠真を見る。
ノノが尋ねる。
「悠真は?」
悠真は少し考える。
これまでの旅を思い出す。
出会った人。
助けた人。
別れた人。
そして、今ここにいる仲間。
悠真は笑う。
「僕は、みんなが自分の未来を選べる世界であってほしい。」
その瞬間――。
悠真の胸から、これまでで一番強い光が生まれた。
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■ 『無』が反応する
巨大な『無』が初めて動きを止めた。
黒い空間に亀裂が走る。
ピシッ……。
ハジメが驚く。
「届いてる!」
ノノが叫ぶ。
「もっと!」
世界中から、さらに願いが集まる。
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■ 願いの銀河
白い空間が、無数の光で満たされる。
星のような願い。
一つ一つは小さい。
でも――。
数え切れないほど集まれば、巨大な銀河になる。
『無』がその光に触れる。
すると、黒い色が少しずつ薄くなっていく。
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■ 『無』の正体
突然、『無』の中心から声がした。
「……なぜ。」
悠真が答える。
「どうして世界を消すの?」
『無』は答える。
「私は……。」
「消したいのではない。」
全員が驚く。
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■ 本当の役割
『無』は続ける。
「私は、世界が生まれる前の場所。」
「役目は――。」
「終わったものを受け入れること。」
ハジメが気づく。
「だから、世界を消していたんじゃない。」
「終わったものを、無へ戻していた……。」
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■ 間違っていた使い方
『無』は答える。
「しかし、私は区別できなくなった。」
「終わった世界と、まだ続いている世界を――。」
「すべて同じものとして消していた。」
悠真が言う。
「じゃあ、終わっていない世界には触れなければいい。」
『無』が答える。
「その方法を知らない。」
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■ ハジメの提案
ハジメが前へ出る。
「だったら、一緒に決めよう。」
「どの世界が続きたいのか。」
「どの世界が終わるのか。」
「それを世界自身に選んでもらう。」
『無』が尋ねる。
「……選ぶ?」
「はい。」
ハジメは頷く。
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■ 新しい約束
世界の光が一つずつ輝く。
それぞれの世界が、自分自身の未来を選ぶ。
続きたい世界。
変わりたい世界。
新しい世界へ生まれ変わりたい世界。
すべて違う。
それでいい。
『無』は静かにそれを見つめる。
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■ 『終』が変わる
巨大な文字。
『終』
その一画が消える。
そして――。
新しい文字になる。
『環』
終わりではない。
始まりと終わりがつながる。
世界が生まれ、成長し、いつか役目を終え、また新しい世界の可能性になる。
そんな循環。
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■ 世界が救われる
『無』がゆっくり縮んでいく。
黒い亀裂が消える。
消えていた星が戻る。
光の道も復活する。
そして――。
第−∞−1世界に、初めて色が生まれた。
白だけだった空間に――。
青い空。
緑の草原。
色とりどりの花。
ハジメが目を輝かせる。
「……きれい。」
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■ ハジメの世界
悠真が笑う。
「ここも、もう一つの世界になったね。」
ハジメは頷く。
「うん。」
「今までは、何もない場所だった。」
「でも今は――。」
ノノが言う。
「みんなの願いがある場所!」
ハジメは嬉しそうに笑った。
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■ 新しい名前
ハジメはこの世界に名前をつける。
『はじまりの世界』
「ここは、世界が生まれる場所。」
「そして、終わった世界が新しい可能性へ戻る場所。」
トワが頷く。
「すばらしい場所になりそうですね。」
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■ 旅は続く
きずなの船へ戻る。
新しく仲間になったハジメとトキ、トワも乗り込む。
ノノが操縦席を見る。
「次はどこ?」
悠真が世界間時計を確認する。
すると――。
一つの世界が点滅していた。
『緊急依頼』
場所は――。
『第−100世界』
カナタが驚く。
「第−100?」
ゼロスが年代記を見る。
「この世界は……。」
ページをめくる。
「記録が一つもありません。」
悠真が尋ねる。
「どうして?」
ゼロスは首を横に振る。
「分かりません。」
その瞬間、通信が入る。
かすかな声。
『……誰か、聞こえますか?』
悠真が答える。
「聞こえるよ。」
通信の向こうから――。
『この世界には、誰もいません。』
一瞬、全員が黙る。
そして続く。
『でも、毎日誰かが私たちを呼んでいます。』
悠真は世界間時計を見つめた。
「誰もいないのに……誰かが呼んでいる?」
ノノが少し身を乗り出す。
「行ってみよう!」
きずなの船は、新たな未知の世界へ進んでいく。
その先に待っているのは――。
誰もいないはずの世界で、助けを求め続ける謎の声。




