時間のない世界
きずなの船は、第∞+2世界へ向かっていた。
世界間時計には、不思議な表示が出ている。
『時間:存在しません』
ノノが首をかしげる。
「時間がないって、どういうこと?」
ゼロスが答える。
「時間が流れていない、という意味でしょう。」
カナタが窓の外を見る。
「それなら、船も動かないんじゃない?」
悠真が笑う。
「それを確かめに行こう。」
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■ 到着
転移ゲートを抜ける。
すると――。
船が止まった。
本当に、突然だった。
エンジンは動いている。
計器も正常。
それなのに、船が一ミリも進まない。
ノノが驚く。
「動かない!」
ゼロスが時計を見る。
「……秒針が止まっています。」
悠真も自分の腕時計を見る。
針が完全に停止していた。
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■ 動かない世界
船から外へ出る。
そこには巨大な街があった。
しかし、すべてが止まっている。
空を飛ぶ鳥。
噴水の水。
風に揺れる木。
人々。
すべてが静止している。
ノノが恐る恐る鳥に近づく。
「これ……生きてるの?」
カナタが答える。
「たぶん。」
「ただ、時間が止まっている。」
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■ 唯一動いているもの
街の中央に――。
一人だけ動いている少女がいた。
少女は悠真たちを見る。
「やっと来た。」
悠真が尋ねる。
「君が救難信号を送ったの?」
少女は頷く。
「はい。」
「私はトキ。」
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■ 時間を失った理由
トキは街を案内する。
「この世界には、もともと時間がありました。」
「朝が来て、夜になって。」
「人々は成長して、季節も変わった。」
しかし、ある日――。
時間が止まった。
原因は不明。
ただ一つ分かっていることがある。
時間を止めたのは、この世界の住人だった。
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■ 時間を止めた人
悠真が尋ねる。
「なぜ?」
トキは答える。
「未来が怖かったからです。」
「歳を取ること。」
「別れること。」
「失敗すること。」
「だから、世界中の人が――。」
「時間を止めることを選びました。」
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■ 永遠の今日
ノノが驚く。
「ずっと今日のまま?」
「はい。」
トキが頷く。
「最初はみんな喜びました。」
「でも――。」
街を見渡す。
「何も変わらない世界は、何も始まらない世界でもありました。」
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■ トキだけが動ける理由
ヒカリが尋ねる。
「どうしてトキだけ動けるの?」
トキは胸元のペンダントを見せる。
小さな砂時計。
「これを持っているから。」
ゼロスが調べる。
「時間の核……。」
カナタが驚く。
「時間そのものが入っているのか?」
トキは頷く。
「でも、もう残り少ない。」
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■ 砂時計
砂時計の砂は――。
あと少ししか残っていなかった。
トキが言う。
「この砂が全部落ちたら、私も止まります。」
悠真が尋ねる。
「それまでに時間を戻さないといけない?」
「はい。」
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■ 時間の塔
街の中央には巨大な塔があった。
塔の最上階には――。
巨大な時計。
しかし針はない。
トキが言う。
「あれが時間の塔です。」
「でも、時間を動かすためには、時計の針が必要なんです。」
ノノが聞く。
「針はどこ?」
トキは首を横に振る。
「分かりません。」
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■ 時間の針
悠真たちは塔を調べる。
最上階へ到着する。
壁には文字が刻まれていた。
『時間の針は、過去・現在・未来の三本。』
ソラが言う。
「三本あるんだ。」
さらに下には――。
『過去の針は思い出。』
『現在の針は決断。』
『未来の針は希望。』
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■ 過去の針
一つ目の部屋。
そこには大量の写真。
この世界の人々の思い出だった。
トキが一枚の写真を手に取る。
幼いトキと家族。
トキは微笑む。
「これが……過去。」
写真が光り、一本の針に変わった。
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■ 現在の針
二つ目の部屋。
中央に三つのボタン。
『進む』
『戻る』
『止まる』
トキは悩む。
ずっと時間を止めていた世界。
「私は……。」
「進むを選ぶ。」
ボタンを押す。
一本の針が現れた。
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■ 未来の針
最後の部屋。
何もない。
トキが困る。
「希望って、どうやって見つけるの?」
悠真は答えない。
ノノが窓の外を見る。
「未来って、まだないんじゃない?」
悠真が頷く。
「だから、自分たちで作る。」
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■ 小さな希望
ノノが紙に絵を描く。
そこには――。
朝の太陽。
春の花。
夏の海。
秋の紅葉。
冬の雪。
そして、みんなが笑っている街。
トキが笑う。
「こんな未来……見てみたい。」
絵が光る。
三本目の針が現れた。
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■ 時計が動く
三本の針を時計へ取り付ける。
カチッ。
最初は動かない。
しかし――。
悠真が言う。
「過去を忘れない。」
カナタが続ける。
「今を選ぶ。」
ヒカリが言う。
「未来を信じる。」
ノノが叫ぶ。
「そして――。」
「時間を進める!」
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■ 世界が動き出す
カチ。
時計の針が動いた。
一秒。
二秒。
三秒。
止まっていた噴水が動く。
鳥が飛ぶ。
風が吹く。
木々が揺れる。
街の人々が動き出す。
「……え?」
「時間が……動いてる?」
街中から歓声が上がる。
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■ トキの涙
トキの砂時計を見る。
砂は止まっている。
そして――。
砂時計が消える。
トキが驚く。
「私、もうこれがなくても動ける。」
悠真が笑う。
「時間を自分で生きられるようになったんだよ。」
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■ 新しい朝
次の日。
この世界に初めて朝日が昇った。
人々は外へ出る。
「朝だ!」
「本当の朝だ!」
子どもたちは走り回る。
大人たちは笑う。
街には久しぶりに活気が戻った。
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■ トキの決断
トキは悠真たちに言う。
「私も、これから旅をしてみたい。」
ノノが目を輝かせる。
「一緒に来る?」
トキは少し考えて――。
「うん。」
悠真が笑う。
「じゃあ、今日から仲間だね。」
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■ 時間の世界を出発
きずなの船が宇宙港を出る。
トキは窓から自分の世界を見る。
朝日が街を照らしている。
「ありがとう。」
「また帰ってきます。」
悠真は頷く。
「いつでも待ってるよ。」
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■ 新しい警告
しかし、船が世界間回廊へ入った瞬間――。
世界間時計が鳴った。
ピピピッ!
表示されたのは――。
『時間異常:発生』
さらに――。
『複数世界の時間が同時に停止しています。』
トキが驚く。
「そんな……。」
ゼロスが青ざめる。
「一つの世界だけではありません。」
「このままだと――。」
モニターに、無数の世界が映し出される。
そのすべてで――。
時計が止まっていた。
カナタが呟く。
「誰かが、世界全体の時間を止めようとしている。」
悠真は前を向く。
「なら、探そう。」
トキも頷く。
「私も行きます。」
きずなの船は、止まり始めた無数の世界へ向けて加速する。
その先には――。
時間を操る謎の存在、
『時の王』
が待っていた。




