2010年の地球
第∞世界・宇宙港。
きずなの船は、転移ゲートの前で停止していた。
目的地は――。
地球・2010年。
ノノが地球の映像を見る。
「普通の星に見えるね。」
ゼロスが年代記を確認する。
「この時代の地球には、世界間移動の技術は存在しません。」
カナタが首をかしげる。
「なのに、未来から救難信号が届いた。」
悠真が頷く。
「そこが問題だね。」
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■ 2010年へ
転移ゲートが開く。
きずなの船が光の中へ入る。
次の瞬間――。
青い空。
白い雲。
広い海。
そして街並み。
巨大な宇宙都市ではない。
魔法の建物もない。
普通の道路。
普通の車。
普通の家。
ノノが驚く。
「本当に地球だ……。」
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■ 不思議な通信
船の通信機が鳴る。
ピッ、ピッ。
画面に文字が表示された。
『こちらです。』
場所は、とある小さな町。
悠真たちは船を隠し、町へ向かう。
しかし――。
誰もこちらを気にしていない。
当然だ。
この時代の人々にとって、異世界から来た船など存在するはずがない。
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■ 公園の少年
指定された公園へ行く。
そこには一人の少年がいた。
ベンチに座って、古い携帯電話を持っている。
少年は悠真を見る。
そして――。
驚いた顔をした。
「来てくれたんだ。」
悠真が尋ねる。
「君が救難信号を送ったの?」
少年は頷く。
「うん。」
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■ 少年の名前
少年は名乗った。
「僕はレン。」
ノノが尋ねる。
「どうして未来からの救難信号を送れたの?」
レンは携帯電話を見せる。
「これのおかげ。」
しかし、普通の携帯電話にしか見えない。
ゼロスが調べる。
「……違います。」
「この内部には、未来の技術が組み込まれています。」
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■ 未来から来た携帯電話
レンは説明する。
「この携帯電話は、僕のおじいちゃんが残してくれた。」
「でも、おじいちゃんは――。」
そこで言葉を止める。
悠真が聞く。
「どうしたの?」
レンは答える。
「未来では、この町が消えるんだ。」
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■ 消える町
レンの話によると――。
2010年から数十年後。
この町には大きな変化が起こる。
突然、人々の記録が消える。
写真。
住所。
学校の記録。
地図。
町の名前。
すべてが少しずつ失われ――。
最後には、町そのものが「存在しなかったこと」になってしまう。
ノノが驚く。
「アオゾラ世界と似てる……。」
カナタが頷く。
「名前を失う現象だ。」
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■ 原因を探す
悠真たちは町を調べる。
しかし、2010年の町には異常がない。
神殿もない。
魔法装置もない。
世界を消す機械もない。
ノノが困る。
「何も見つからないよ。」
そのとき、ソラが空を見上げる。
「……あれ。」
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■ 空に浮かぶ小さな光
青空に、小さな光が浮かんでいる。
星のように見える。
でも、昼間なのに消えない。
ゼロスが観測する。
「これは……。」
「世界間の信号です。」
悠真が驚く。
「2010年の地球から、別の世界へ信号が出ている?」
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■ 地下施設
信号を追って町の地下へ向かう。
そこには古い施設があった。
入口には看板。
『未来技術研究所』
レンが驚く。
「こんな場所、知らない。」
悠真が言う。
「まだ完成前だからだ。」
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■ 研究所の記録
内部のコンピューターには、一つの記録が残っていた。
『世界間通信実験』
2010年。
この時代の科学者たちは、偶然にも別世界の存在を発見していた。
そして未来へ信号を送る実験を始めていた。
しかし――。
実験は失敗。
世界の境界に小さな穴を開けてしまった。
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■ 境界の穴
穴は時間とともに大きくなっていた。
そこから流れ込むのは――。
物質ではない。
「存在を消す力」
だった。
それが町の記録を少しずつ消していた。
悠真が言う。
「このまま放っておけば、町そのものが消える。」
レンが聞く。
「どうすればいい?」
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■ 未来からのヒント
レンは携帯電話の裏側を開く。
中には、小さな紙が入っていた。
そこには未来の文字で――。
『穴を閉じるには、最初に開いた人の名前が必要。』
と書かれていた。
ノノが首をかしげる。
「最初に開いた人?」
ゼロスが記録を検索する。
そして――。
一人の研究者の名前を見つけた。
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■ 研究者の名前
『高橋ユウジ』
レンが驚く。
「その名前……。」
「僕のおじいちゃんと同じだ。」
悠真が聞く。
「おじいちゃんの名前は?」
レンは答える。
「高橋ユウジ。」
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■ 未来のレン
全員が顔を見合わせる。
レンのおじいちゃんが、この世界間通信実験の中心人物だった。
そして未来で――。
町を救おうとしていた。
しかし、途中で亡くなり、研究は途絶えた。
レンは祖父の残した携帯電話から救難信号を送ったのだった。
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■ もう一つのメッセージ
携帯電話が突然光る。
画面に、新しい文字が表示された。
『レンへ。』
レンが息をのむ。
「おじいちゃん……?」
続いて文章が表示される。
『もし、このメッセージを見ているなら――。』
『未来を変えるのは、未来の人間だけではない。』
レンの目に涙が浮かぶ。
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■ 2010年の選択
悠真は研究所の装置を見る。
「この時代で穴を閉じれば、未来も変わる。」
カナタが言う。
「でも、未来を変えすぎれば、レンの未来そのものも変わるかもしれない。」
悠真は考える。
「……それでも。」
レンを見る。
「目の前で困っている人を助ける。」
「それが僕たちのやり方だ。」
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■ 装置を起動
研究所の装置を起動する。
しかし――。
警告音が鳴る。
『世界境界・崩壊開始』
カナタが叫ぶ。
「まずい!」
地下施設全体が揺れる。
ノノが叫ぶ。
「どうするの!?」
ゼロスが答える。
「装置を止めるには、誰かが境界側へ行く必要があります!」
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■ レンの決意
レンが前へ出る。
「僕が行く。」
悠真が止める。
「危険だよ。」
レンは首を横に振る。
「僕のおじいちゃんが始めたことなら――。」
「僕が最後まで見届けたい。」
悠真はしばらくレンを見る。
そして――。
「分かった。」
「でも、一人では行かない。」
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■ みんなで閉じる
悠真。
ノノ。
カナタ。
ヒカリ。
ソラ。
アシタ。
そしてレン。
全員で装置を操作する。
境界の穴が少しずつ小さくなる。
しかし最後の一瞬――。
巨大な光が噴き出した。
その光の中に、人影が現れる。
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■ 未来から来た人物
「レン。」
レンが振り返る。
そこにいたのは――。
年老いた男性。
レンが息をのむ。
「おじいちゃん……?」
男性は笑う。
「大きくなったな。」
しかし、悠真たちは気づいていた。
この人物は――。
未来から来た高橋ユウジ本人だった。
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■ 最後の言葉
ユウジは悠真を見る。
「ありがとう。」
「私一人では、この問題を解決できなかった。」
悠真が尋ねる。
「あなたは、どうして過去へ?」
ユウジは答える。
「レンに伝えるためだ。」
そしてレンを見る。
「未来は、決まっていない。」
「だから――。」
「自分の未来を、自分で選びなさい。」
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■ 境界が閉じる
光が消えていく。
ユウジの姿も薄くなる。
レンが叫ぶ。
「おじいちゃん!」
ユウジは最後に笑った。
「ありがとう。」
そして――。
境界の穴が完全に閉じた。
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■ 町の未来
翌朝。
町は何も変わっていなかった。
人々もいる。
写真もある。
地図にも町の名前が残っている。
そしてレンの携帯電話には――。
新しいメッセージが一つ。
『未来は、これから作るものだ。』
レンは空を見上げる。
「うん。」
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■ 旅立ち
悠真たちはきずなの船へ戻る。
レンが手を振る。
「ありがとう!」
ノノも手を振る。
「元気でね!」
船が空へ上昇する。
2010年の地球が小さくなっていく。
カナタが悠真に尋ねる。
「次はどこへ行く?」
悠真は世界間時計を見る。
そこには――。
新しい世界が表示されていた。
『第∞+2世界』
しかし、その世界から届いているメッセージは――。
『助けを求めています。』
そして、もう一行。
『この世界には、時間がありません。』
悠真は時計を見つめた。
「時間がない世界……?」
ノノが笑う。
「じゃあ、急いで行かなきゃ!」
きずなの船は、新たな世界へ向けて加速した。




