一つだけの未来
第∞世界の姉妹レンタル本部。
巨大なモニターに映し出された依頼。
『私たちの未来を、一つだけ選んでください。』
悠真は腕を組んだ。
「一つだけ……か。」
ノノが首をかしげる。
「全部の未来を残すことはできないの?」
カナエは首を横に振った。
「第∞+1世界では、それができないのです。」
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■ 第∞+1世界
転移ゲートが開く。
悠真たちはゲートをくぐった。
すると――。
そこは巨大な白い都市だった。
建物は空中に浮かび、道路は光でできている。
しかし、人の姿がない。
ノノが辺りを見回す。
「静かすぎる……。」
カナタが言う。
「未来だけが存在して、人がいない世界なのか?」
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■ 三つの未来
中央広場に巨大な時計があった。
時計の周囲に、三つの扉が浮かんでいる。
一つ目。
『平和な未来』
二つ目。
『繁栄する未来』
三つ目。
『自由な未来』
カナエの説明が通信機から聞こえる。
「この世界では、未来が三つに分かれてしまいました。」
「そして、世界を維持するためには一つを選ばなければなりません。」
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■ 平和な未来
最初の扉を開く。
そこには争いのない世界が広がっていた。
人々は穏やかに暮らしている。
しかし――。
誰も新しいことをしようとしない。
失敗を恐れて、挑戦する人もいない。
ノノが言う。
「平和だけど……ちょっと寂しい。」
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■ 繁栄する未来
二つ目の扉。
そこには巨大な都市。
食べ物もエネルギーも豊富。
誰も困っていない。
しかし、街はすべて同じ。
建物も。
服も。
音楽も。
考え方まで。
悠真が気づく。
「便利だけど、みんな同じになってる。」
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■ 自由な未来
三つ目の扉。
そこには、色々な人々がいた。
それぞれ違う夢を持っている。
失敗する人もいる。
成功する人もいる。
意見がぶつかることもある。
でも――。
みんな自分で未来を選んでいる。
ヒカリが言う。
「大変そうだけど……。」
ソラが笑う。
「一番楽しそう。」
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■ 選択の時間
中央の時計が鳴る。
ゴーン……。
「残り時間、一時間。」
ノノが焦る。
「早く決めないと!」
しかし悠真は答えない。
三つの未来をじっと見つめている。
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■ カナタの意見
カナタが言う。
「僕なら、平和な未来を選ぶ。」
悠真が見る。
「どうして?」
「もう誰かを失う未来を見たくないから。」
悠真は頷く。
「分かる。」
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■ ノノの意見
ノノは二つ目の未来を見る。
「私は繁栄かな。」
みんなが驚く。
ノノは笑う。
「だって、誰もお腹を空かせなくていいんでしょ?」
「それって大事だよ。」
悠真は頷く。
「うん。確かに大事だ。」
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■ ヒカリとソラ
ヒカリは三つ目を見る。
「私は自由がいい。」
ソラも頷く。
「私も。」
ヒカリが続ける。
「自分で選んだ未来なら、失敗してもやり直せるから。」
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■ 迷う悠真
悠真は悩んでいた。
どれも間違いではない。
平和も大切。
豊かさも大切。
自由も大切。
一つを選べば、残り二つは消えてしまう。
「どうすればいいんだ……。」
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■ アオからの通信
そのとき通信が入った。
「悠真!」
アオだった。
アオゾラ世界からの通信だ。
「三つの未来のこと、聞いたよ。」
悠真が答える。
「アオなら、どれを選ぶ?」
アオは少し考える。
そして――。
「僕なら、三つとも大事にする。」
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■ 悠真の気づき
悠真が目を見開く。
「……そうか。」
カナタが聞く。
「何?」
悠真は三つの扉を見る。
「選択肢そのものを変えればいい。」
ノノが驚く。
「どうやって?」
悠真は中央の時計へ歩く。
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■ 四つ目の扉
時計の裏側。
そこには、小さな扉があった。
三つの扉にはない、何も書かれていない扉。
悠真が手を伸ばす。
カチッ。
扉が開く。
その向こうには――。
真っ白な空間。
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■ 何もない未来
カナエが驚く。
「そんな扉が……?」
ゼロスが年代記を確認する。
「記録にありません。」
悠真が笑う。
「だったら、ちょうどいい。」
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■ 自分たちで作る
悠真は言う。
「平和な未来も。」
「豊かな未来も。」
「自由な未来も。」
「どれか一つに決めるんじゃなくて――。」
「みんなが選べる未来を作ればいい。」
カナタが笑う。
「なるほど。」
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■ 三つの未来が動き出す
悠真が四つ目の扉に入る。
すると三つの未来から光が集まってくる。
平和。
繁栄。
自由。
三つの光が一つになる。
そして――。
巨大な世界が生まれた。
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■ 「選択の未来」
白い都市に色が戻っていく。
人々が現れる。
ある人は平和を選ぶ。
ある人は新しい仕事を始める。
ある人は冒険へ出る。
ある人は家族と暮らす。
誰もが――。
自分の未来を選んでいる。
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■ 世界の名前
中央の時計に文字が浮かぶ。
『選択世界』
カナエが驚く。
「未来を一つに固定しなかった……。」
悠真は笑う。
「未来は一つじゃなくていいんだよ。」
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■ 依頼人の正体
そのとき、広場に一人の少女が現れた。
白い服を着ている。
少女は悠真たちに頭を下げた。
「ありがとうございました。」
悠真が尋ねる。
「君が依頼したの?」
少女は頷く。
「はい。」
「私は、この世界の未来そのものです。」
ノノが驚く。
「未来が人になったの!?」
少女は笑う。
「はい。」
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■ 未来からの贈り物
少女は悠真に小さな箱を渡す。
「これは、あなたたちへの贈り物です。」
箱を開ける。
中に入っていたのは――。
一本の小さな鍵。
鍵には、
『帰』
という文字が刻まれていた。
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■ 帰るための鍵
ゼロスが鍵を見る。
「これは……。」
少女が答える。
「あなたたちが、どんな世界へ行っても。」
「いつでも帰ってこられる鍵です。」
悠真が驚く。
「そんなものが?」
少女は頷く。
「あなたたちは、たくさんの世界を旅しました。」
「だから――。」
「帰る場所も必要でしょう?」
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■ みんなの帰る場所
ノノが笑う。
「それなら安心だね!」
カナタも頷く。
「旅は続けられる。」
「帰る場所があるから。」
ヒカリとソラも笑う。
悠真は鍵を大切にしまった。
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■ ∞支部からの新情報
第∞世界へ戻ると、カナエが待っていた。
「実は、もう一件だけ依頼があります。」
ノノが驚く。
「また?」
カナエは頷く。
「はい。」
そして巨大モニターを表示する。
そこに映ったのは――。
地球。
悠真が驚く。
「地球?」
カナエは言う。
「この世界から、一つの世界へ救難信号が届いています。」
「その世界の名前は――。」
画面に文字が浮かぶ。
『地球・2010年』
悠真が目を丸くする。
「2010年……?」
カナタが時計を見る。
「過去の地球?」
カナエは頷く。
「はい。」
そして最後に、信号のメッセージが表示された。
『未来から来た人へ。助けてください。』
悠真は仲間たちを見る。
「行こう。」
きずなの船が再び動き出す。
次の目的地は――。
2010年の地球。
そこには、未来から助けを求める謎の人物が待っていた。




