もう一人の悠真
アオゾラ世界の地下。
古い記録に描かれていた人物を見て、悠真たちは言葉を失っていた。
そこに描かれていたのは――。
悠真と瓜二つの少年。
ノノが絵と悠真を見比べる。
「……そっくり。」
リナも驚く。
「髪型まで同じね。」
悠真自身も困惑していた。
「僕じゃない。」
管理者の女性が頷く。
「ええ。」
「あなたではありません。」
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■ 名前は「カナタ」
女性は記録を読み上げる。
「この人物の名前は――カナタ。」
「かつて、アオゾラ世界に住んでいた少年です。」
悠真が尋ねる。
「僕と同じ顔なのは?」
「分かりません。」
女性は首を横に振る。
「ただ、一つだけ記録が残っています。」
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■ カナタの目的
記録には、カナタの言葉が残されていた。
『世界には、終わりがある。』
『ならば、すべての世界を一つにすればいい。』
悠真が眉をひそめる。
「世界を一つに……?」
ゼロスが考える。
「世界同士の境界をなくそうとしたのかもしれません。」
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■ 世界の名前を盗んだ理由
カナタは、世界の名前を集めていた。
世界の名前には、その世界を維持する力が宿っている。
カナタはそれを利用して――。
世界同士をつなげようとした。
しかし計画は失敗。
名前だけが奪われ、世界は不安定になった。
そしてカナタは姿を消した。
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■ 一枚の写真
ソラが記録の奥から写真を見つける。
そこにはカナタが写っていた。
隣には――。
小さな女の子。
ヒカリが驚く。
「この子……。」
「ソラ?」
ソラも驚く。
「……違う。」
「でも、私にそっくり。」
写真の裏には、
『カナタとソラ――最後の二人』
と書かれていた。
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■ 二人の関係
ヒカリがソラを見る。
「もしかして、カナタは……。」
ソラは首を振る。
「分からない。」
「私の記憶には、カナタなんて人はいない。」
そのとき。
ソラの胸元が光った。
「えっ……?」
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■ 消された記憶
ソラの周囲に、映像が現れる。
幼いソラ。
そしてカナタ。
二人は一緒に遊んでいた。
カナタが笑う。
「いつか、全部の世界を見てみよう。」
幼いソラも笑う。
「うん!」
しかし――。
最後の場面だけ、黒く塗りつぶされていた。
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■ 失われた一日
ヒカリが尋ねる。
「何があったの?」
ソラは頭を押さえる。
「分からない。」
「そこだけ、記憶がない。」
悠真が言う。
「だったら、そこにカナタが消えた理由がある。」
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■ 世界の名前を盗んだのは……
管理者の女性が口を開く。
「カナタは悪い人ではありませんでした。」
「世界を救おうとしていた。」
「けれど――。」
女性は悲しそうに続ける。
「方法を間違えた。」
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■ カナタの最後の言葉
古い記録には、最後のメッセージが残っていた。
『僕が全部を背負えばいい。』
『そうすれば、誰も世界を失わない。』
悠真はその言葉をじっと見る。
「一人で全部を背負おうとしたんだ。」
ノノが言う。
「そんなの、大変すぎるよ。」
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■ 悠真との違い
アシタが悠真を見る。
「カナタと悠真は似ている。」
悠真が聞く。
「どこが?」
「誰かを助けたいと思っているところ。」
「でも、一つだけ違う。」
悠真が首をかしげる。
アシタは笑った。
「悠真には、一人で抱え込まない仲間がいる。」
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■ カナタの居場所
突然、世界間時計が動き出した。
カチ……。
文字盤に新しい文字が浮かぶ。
『カナタ:所在不明』
そして――。
その下に小さな文字。
『推定:第−∞世界』
悠真が驚く。
「第−∞世界に戻った?」
ゼロスが頷く。
「可能性は高いです。」
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■ もう一つの記録
管理者が最後の資料を出す。
そこには、カナタが作った装置の設計図があった。
中央に巨大な時計。
周囲に無数の世界。
その中心には――。
一つの空白。
「これは何?」
悠真が尋ねる。
管理者は答える。
「カナタが最後に探していたもの。」
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■ 「原世界」
資料には、その名前が書かれていた。
『原世界』
すべての世界が生まれる前。
第−∞世界よりもさらに前。
世界という概念さえ存在しなかった場所。
そこに――。
カナタは何かがあると考えていた。
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■ カナタからのメッセージ
突然、設計図が光る。
古い映像が再生された。
カナタがこちらを見ている。
「もし、この映像を見ているなら――。」
「僕の計画は失敗した。」
「でも、まだ諦めていない。」
そしてカナタは――。
悠真と同じ顔で笑った。
「いつか、君と会うことになる。」
悠真が驚く。
「僕と……?」
映像はそこで途切れた。
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■ 新しい航路
世界間時計が再び動く。
今度は、一つの航路が表示された。
『原世界』
ノノが目を輝かせる。
「行こう!」
悠真は頷く。
「うん。」
ヒカリとソラも船に乗り込む。
アオゾラ世界の人々が港から見送る。
「気をつけて!」
「また帰ってきてね!」
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■ 出発
きずなの船が空へ飛び立つ。
しかし、しばらくすると――。
船の前に、もう一隻の船が現れた。
黒い船。
船首には――。
白い鳥の紋章。
ゼロスが驚く。
「この船……。」
悠真が尋ねる。
「知ってるの?」
ゼロスは答えた。
「カナタが使っていた船です。」
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■ 黒い船からの通信
突然、通信が入る。
「悠真。」
全員が凍りつく。
聞こえてきた声は――。
悠真自身とよく似ていた。
「やっと会えた。」
悠真が答える。
「カナタ?」
通信の向こうから笑い声。
「そう。」
「君が今まで世界をつないできたなら――。」
「僕は、世界を終わらせる。」
悠真の表情が変わる。
「どうして?」
カナタは答えた。
「世界を救うためだよ。」
黒い船が加速する。
そして二隻の船の間に――。
巨大な光の裂け目が開いた。
その先に見えるのは――。
まだ誰も知らない、原世界。




