忘却の海
第−7世界を出たきずなの船は、真っ白な海へ入った。
空も白い。
海も白い。
水平線さえ見えない。
ヒカリが船の先から海を見つめる。
「ここが……忘却の海。」
ゼロスが銀河年代記を開く。
しかし――。
ページが真っ白になっている。
「記録が……消えている。」
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名前が消える
ノノが自分の名前を言おうとする。
「私は――。」
突然、言葉が止まった。
「……あれ?」
悠真が驚く。
「どうしたの?」
ノノは困った顔をする。
「自分の名前が、分からなくなりそうだった。」
全員が黙り込む。
忘却の海には――。
記憶を消す力がある。
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名前を呼ぶ
悠真はすぐに仲間の名前を呼んだ。
「ノノ!」
「リナ!」
「ユイ!」
「ミライ!」
「アシタ!」
「ハジメ!」
「イチ!」
「ヒカリ!」
みんなが返事をする。
「はい!」
「いるよ!」
「ここにいる!」
声が重なって――。
白い海に小さな波紋が広がった。
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忘れないために
ヒカリが気づく。
「名前を呼び合えば、忘れにくくなるんだ。」
悠真は頷く。
「そうみたいだね。」
ノノが笑う。
「じゃあ、ずっと呼び合おう!」
「悠真!」
「いるよ。」
「ノノ!」
「いる!」
二人の声が海に響いた。
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海の中の記憶
突然、海面に映像が浮かんだ。
誰かの誕生日。
誰かの卒業式。
誰かと初めて出会った日。
楽しかった旅行。
家族との食事。
世界から消えてしまった、たくさんの思い出。
ミライが呟く。
「全部……ここに流れてきたんだ。」
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記憶の島
船の前に小さな島が現れた。
島には巨大な時計台がある。
しかし時計の文字盤には――。
数字がない。
代わりに、
『思い出した日』
と書かれている。
ヒカリが島を見る。
「ここ……知ってる気がする。」
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ヒカリの記憶
島に上陸すると、ヒカリの足元に光が集まった。
すると――。
幼いヒカリが映し出される。
誰かと遊んでいる。
誰かと笑っている。
そして――。
一人の少女がヒカリに言っていた。
「いつか、また会おうね。」
ヒカリが目を見開く。
「この子……。」
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「ソラ」
少女の名前は――。
ソラ。
ヒカリが思い出す。
「僕には……妹がいた。」
悠真たちは驚く。
「妹?」
ヒカリは頷く。
「ずっと一緒だった。」
「でも、世界が忘却の海に沈んだとき――。」
「ソラだけ、どこかへ消えた。」
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時計塔の地下
ヒカリたちは時計塔へ入る。
地下には、古い扉があった。
扉には――。
『ソラの記憶』
と刻まれている。
ヒカリが扉に触れる。
「ソラ……。」
すると扉が開いた。
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消えた世界
中には、一つの小さな世界が保存されていた。
青い空。
白い雲。
小さな家。
そして――。
二人の兄妹が暮らしていた。
ヒカリが震える。
「僕たちの世界……。」
悠真が尋ねる。
「どうして消えたの?」
ヒカリは答えられない。
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世界を消したもの
すると、保存された世界の空が突然暗くなる。
巨大な黒い影が現れる。
アシタが反応する。
「この気配……。」
「空白とは違う。」
ゼロスが年代記を見る。
そして――。
恐ろしい文字を見つけた。
『忘却者』
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忘却者
黒い影が言う。
「思い出す必要はない。」
「過去は終わった。」
「名前も。」
「世界も。」
「家族も。」
「すべて忘れれば、苦しむことはない。」
ヒカリが叫ぶ。
「違う!」
「忘れたくない!」
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ヒカリの願い
ヒカリは拳を握る。
「ソラとの思い出は――。」
「僕にとって大切なんだ。」
「楽しかったことも。」
「悲しかったことも。」
「全部、僕のものだ!」
その瞬間。
ヒカリの胸から強い光が生まれた。
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忘却者が怯える
黒い影が後退する。
「なぜ……。」
悠真が言う。
「思い出は、過去に置いていくものじゃない。」
「未来へ持っていくものだから。」
ノノも叫ぶ。
「ソラのこと、みんなで覚える!」
仲間たちも頷く。
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ソラの声
すると――。
どこからか、少女の声が聞こえた。
「お兄ちゃん。」
ヒカリが振り向く。
「ソラ!」
しかし姿は見えない。
声だけが続く。
「ずっと待ってた。」
ヒカリの目が輝く。
「どこにいるの?」
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「忘却の海の底」
ソラが答える。
「私は、海の底にいるの。」
ヒカリが海を見る。
すると白い海の下に――。
巨大な都市が浮かび上がった。
そこには無数の建物。
無数の記憶。
そして――。
中央に巨大な城。
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最深部への航路
ゼロスが地図を確認する。
「海底都市の中心に、強い反応があります。」
アシタが言う。
「そこにソラがいる。」
悠真は船を見上げる。
「じゃあ、行こう。」
ノノが頷く。
「ソラを迎えに!」
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忘却の海の底へ
きずなの船が光に包まれる。
船体が変形し――。
海中を進める形へ変わった。
ヒカリは船の前方を見る。
その目には、決意が宿っている。
「待ってて、ソラ。」
「今度は――。」
「絶対に忘れない。」
船は白い海の底へ潜っていく。
その先に待っていたのは――。
巨大な海底都市と、そこを守る謎の門番。
門番が静かに目を開く。
「記憶を取り戻した者よ。」
「ここから先へ進むなら――。」
巨大な扉が開く。
「自分が忘れた『一番大切な記憶』を思い出せ。」
ヒカリが息をのむ。




